パンデミック対策を左右する政府への信頼
―― 誰がどのように情報を伝えるか
2020年12月号
パンデミックに相対的にうまく対応できた国とそれに失敗した国の違いはどこにあるのか。リスクコミュニケーションにおいて重要なのは「何が問われているか」だけでなく、「誰が」情報や懸念を「どのように」伝えるかだ。要するに、情報を伝える側が信頼されていなければ、市民が耳を傾けることもない。実際、事実に反する説明をした政治家もいる。米大統領は2月の時点で、「それはインフルエンザのようなもので、制御できるし、いずれいなくなる」とさえ表明した。効果的な治療法がなく、人々が既存の免疫をもたない新型ウイルスに直面して、市民が互いに自らを守れるようにするために、政府ができる唯一のことは「自分を守るために何が必要かについて市民を納得させること」だ。特に自由な社会においては、そうした試みの成功は政府と市民の間に信頼があるかどうかに左右される。