トランプが日本に突きつけた課題
―― トランプ制御策を超えて
2017年10月号
これまで日本政府は「ドナルド・トランプを制御すること」に努め、市民もそうした政府のやり方を現実主義的な視点から支持してきた。だが、そのアプローチにも限界がみえ始めている。トランプが日本に突きつけているもっとも根本的な課題は、日本のこれまでの成長に大きな役割を果たしてきた「リベラルな民主的秩序がどうなっていくか」という側面にある。当然、日本は自由貿易体制を含む、リベラルな民主的秩序を維持していくための試みを強化していく必要がある。今後の日本は、アメリカが主導するリベラルな秩序の受益者としてではなく、むしろ、秩序を守るために全力を尽くし、アメリカをこの秩序につなぎとめる必要がある。