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に関する論文

ハートランド対リムランド(上)
―― 次の世界秩序をめぐる抗争

2026年8月号

マイケル・ベックリー タフツ大学 政治学准教授
ハル・ブランズ ジョンズ・ホプキンス大学 特別教授

中国・ロシア・イラン・北朝鮮などの「ハートランド」勢力が、軍事・経済・技術・デジタルネットワークを通じて米主導の「リムランド」秩序に挑戦している。アメリカ、欧州、東アジアなどのリムランド連合は、経済規模、技術力、市場、金融・資源面で優位にあるが、その力を戦略的に組織化できていない。ハートランド勢力は「領土的な勢力圏に分割され、産業上のチョークポイントで支配される世界」を望んでいる。現状で問われているのは、リムランドがまとまりのあるパワーの中枢として行動するのか、それとも緩やかで脆弱な集合体のままであるかだ。国際秩序を有利に形作れるかは、リムランド連合がそのパワーを戦略に転換できるかにかかっている。

拡大抑止の崩壊と米同盟諸国
―― 韓国とNATOの選択

2026年8月号

ジェニファー・リンド ダートマスカレッジ 准教授
ダリル・G・プレス ダートマスカレッジ 教授

冷戦期とは違って、いまや戦争は主に地域的なもので、アメリカは対外関与を控えつつある。このような世界で、アメリカが遠く離れた同盟国のために核戦争を遂行すると信じるのは難しい。自国の安全のためにアメリカが自己破滅のリスクを冒すとは確信できずにいる同盟国は数多くある。実際、韓国は、自国の安全保障に責任を負わなければならないと最終的に判断するかもしれない。ヨーロッパ諸国も、東欧における核抑止力を強化するために何らかの措置を講じる必要があるとの結論に達するかもしれない。今後、核開発や核共有が検討されることになるだろう。ワシントンにとっての最善の選択肢は、同盟国が独自の抑止アプローチを形作れるように支援し、新しい抑止体制への移行期における戦争リスクを低下させることだろう。

習とトランプの駆け引き
―― 揺るがされる台湾の命運

2026年8月号

リチャード・ハース 米外交問題評議会 名誉会長
デビッド・サックス 外交問題評議会 フェロー

中国はトランプ政権の台湾政策を揺るがし、「アメリカが台湾をどう扱うべきか」についての新たな規範を確立しようとしている。アメリカの台湾へのコミットメントを弱めることで、台北を無力化し、自国の影響下に引き込もうとしている。実際、アメリカが台湾へのコミットメントを弱めれば、台北の防衛への決意、地域同盟のネットワークも弱まり、中国に有利な状況が生まれる。これを回避するには、ワシントンは台湾支援の継続と抑止力の強化への意思を明確に示す必要がある。

中東におけるアメリカの未来
―― 軍事的成果と戦略的敗北?

2026年8月号

デーナ・ストラウル ワシントン近東政策研究所 研究ディレクター

イラン戦争で圧倒的なパワーをみせつけつつも、アメリカは戦略目標を達成できず、中東におけるアメリカへの信頼も失墜している。実際、イラン戦争でアメリカは兵器備蓄を危険なまでに浪費し、もはや、同じレベルの戦争を現状で戦う力は残されていない。米市民は、これ以上の中東関与を望んでいないし、湾岸諸国もアメリカ以外にも防衛パートナーを求め始めている。アメリカにとって、現在の中東における最大の問題は、軍事的成果を戦略的勝利に結びつけられずにいることだ。今回の戦争は、アメリカパワーの決定的な矛盾を象徴するものとして歴史に刻まれることになるのかもしれない。

米中関係の本質
―― 競争的共存の条件

2026年8月号

汪錚 シートン・ホール大学 教授(外交、国際関係学)

半導体であれ、レアアースであれ、米中双方は相手に対する手段や影響力をもっているが、どちらもそれを決定的には行使できない。これは、米中が「グローバルな経済・技術システムから相手を完全には排除できない状況を共有していること」を意味する。ともに相手を傷つけられるが、戦略的に無意味な存在に追いやることはできない。だからこそ米中は、デカップリングにも、新たな相互依存にも向かっていない。つまり両国間のダイナミクスは「競争的共存」ということになる。それには、米中がともに自制し、紛争を管理し、特に「台湾をめぐる戦略的安心感」を育むことが必要になる。

米軍基地と戦時アクセス権
―― 台湾危機と日豪基地

2026年7月号

レイチェル・メッツ ジョージ・ワシントン大学 アシスタント・プロフェッサー

敵の近隣諸国で基地アクセスを確保できれば、敵国を米軍の短距離兵器の射程に組み込み、補給線を短縮し、作戦を持続できる。つまり、同盟国やパートナー国の領土、領空、領海、またはインフラを軍事作戦のために利用する権利を認める戦時アクセス権があれば、世界中の国をアメリカの「隣国」に変えることができる。だが、戦時アクセス権を認める国は、米軍がその国から攻撃を試みることで、リスクにさらされる。イラン戦争で湾岸諸国が直面したのと似たような状況に陥る。台湾を中国による侵攻から防衛する計画は、戦時にオーストラリアと日本(そして潜在的にはフィリピンと韓国)の基地にアクセスすることを前提にしている。だがこれらの国が、国内の滑走路から米軍機が出撃することを許せば、中国のミサイルが自国の軍事インフラに降り注ぐ危険を考慮しなければならなくなる。

マラッカとホルムズ
―― アジアの水路を守るには

2026年7月号

リン・クオック ブルッキングス研究所 フェロー(アジア政策)

弱小国であってもチョークポイントを兵器化できること、そして大国が広範なコストを(世界に)課すことも辞さないことを明らかにしたホルムズ危機が、アジアで再現されればどうなるだろうか。アメリカがマラッカ海峡の通過を制限し、中国が台湾海峡を封鎖すれば、世界経済に大きな衝撃が走るだろう。アジアの水路は世界的な貿易、エネルギー、半導体のサプライチェーンの要に位置しており、その混乱は世界経済を揺るがすものになりかねない。すでに米中は、インドネシア諸島の二次的な海上回廊をめぐって主導権を握ろうと競い合っているようだ。

教皇レオ14世の存在理由
―― トランプ批判は何を意味するのか

2026年7月号

ビクター・ゲイタン 米ナショナル・カトリック・レジスター紙 国際上級特派員

教皇レオ14世は「戦争が流行となり、戦争への熱意が広がっている」と新年のあいさつで現状を批判し、その後、アメリカの枢機卿たちも、イラン戦争の道徳性に疑問を表明した。アメリカの行動を批判するアメリカ出身の教皇は、トランプ批判勢力の意外な中心人物になるとともに、前任の進歩主義的なフランシスコ時代には分裂していた米カトリック教徒の結束を強化できるかもしれない。保守的すぎると一部にみなされた教皇(ベネディクト16世)と、進歩主義的すぎるとみなされた教皇(フランシスコ)を経て、アメリカの聖職者や多くのカトリック教徒は、レオ14世を「ちょうどいい」存在とみている。これで、カトリック教徒は一つになれるのかもしれない。

トランプ政権と新貿易秩序
―― 安全保障、貿易の均衡、成長を実現する

2026年7月号

ロバート・ライトハイザー 米通商代表(2017―2021)

トランプ政権のアジェンダは、機能不全に陥っている既存の貿易システムを、バランス・透明性・主権という原則に基づく新たなシステムに置き換えていくことにある。新秩序の最大の目的は、経済安全保障、国家安全保障を実現することだ。地政学的敵対国への富の移転を防がなければならない。さらに、各国が恒常的な貿易不均衡を是正し、公正な競争と経済安全保障を両立させることが目標とされる。貿易収支の均衡へのコミットメントに基づく新たな国際貿易体制は、世界経済全体で好ましい資源の分配を実現し、参加国に広く共有される恩恵を生み出し、予測可能性がもたらされるはずだ。

日韓の核武装論を再検証する
―― 核拡散の連鎖を防ぐには

2026年6月号

ビクター・チャ ジョージタウン大学 特別教授
クリスティ・ゴヴェラ オックスフォード大学 准教授(日本政治・国際関係学)

韓国での世論調査では、核武装への支持率が75―80%に達し、日本でもかつてタブーとされてきた核問題についてオープンな議論をすることに、市民の56%以上が賛成している。こうしてメディアは、両国の核武装論を大きく取り上げるようになった。だが、実際の政策に大きな影響力をもつ両国の戦略エリートの多くは核保有に慎重な態度を崩していない。むしろ、単独で核を保有するよりも、アメリカとの同盟関係を通じた「核の共有」を模索する方が好ましいと考えている。ただし、こうした現状も、駐留米軍の規模が削減されるか、あるいは、日韓のどちらかが、核保有へ動けば、大きく揺るがされる危険がある。

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