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に関する論文

イランショックとエネルギー安全保障
―― 国際市場とエネルギー自給の間

2026年5月号

ジェイソン・ボルドフ コロンビア大学 気候変動研究大学院 共同学院長
ミーガン・L・オサリバン ハーバード大学 ケネディスクール 教授(国際関係論)

ホルムズ海峡危機を前に、多くの国が、統合されたエネルギー市場を脆弱性のルーツとみなし、エネルギー自給を模索するようになるだろう。協調的な世界秩序がほころぶにつれて、相互依存よりも、地政学が優先され、エネルギー不安が高まっているからだ。長期的には、各国が国内のエネルギー市場を保護しようとする試みが、世界のエネルギーシステムを再編していくのかもしれない。だが、エネルギー自給を高めるために、国境の内側に後退することでエネルギー安全保障を強化できると考えるのは幻想に過ぎない。むしろ、破綻することなく、ショックを吸収できるだけの強靭なシステムを構築することを目標にしなければならない。

核使用リスクと現代の戦争
―― ウクライナ戦争の教訓

2026年4月号

レベッカ・リスナー 米外交問題評議会 シニアフェロー
ジョン・K・ウォーデン マサチューセッツ工科大学 国際問題研究所 シニアアナリスト

「核使用のリスクを無視できない国際環境のなかで、高度に破壊的な通常戦争を長期的に戦い、戦闘のなかで、エスカレーションの引き金となるレッドラインを常に探り、しかも、同盟国やパートナーとのリスク許容レベルやエスカレーション管理を調整しなければならない」。これがウクライナ戦争の教訓に他ならない。この環境のなかで、同盟国やパートナーとともに、ともに核を保有する大国間戦争をいかに管理していくかが、今後問われることになる。あらゆるケースで、長期戦に勝利するために、(エネルギーや戦略資源の)国家備蓄、防衛産業基盤、そしてサイバー攻撃や経済ショックへの国家としてのレジリエンスを強化するための投資が必要になる。

トランプ外交の本質
―― 国内政治問題と対外路線

2026年5月号

マイケル・カーペンター 国際戦略研究所 上級研究員

いまや国内の政治問題が国際行動に影響を与えることは多く、アメリカも例外ではない。マドゥロを排除することに成功した作戦と同様に、テヘランのアヤトラ・ハメネイを殺害した空爆作戦も、アメリカの国内政治というレンズで捉える必要がある。実際、支持率の低迷や国内のスキャンダルが、手っ取り早い対外戦争へつながっていくことも多い。しかも、ベネズエラやグリーンランドのケースは、トランプ政権が国際法を無視していること、そうすることがアメリカにとって都合が良ければ同盟国やパートナーを犠牲にすることも厭わないことを示している。いまや米外交は、非自由主義・民主国家のスタイルへ近づきつつある。

二つのイスラエル
―― 宗教化する政治と攻撃的対外路線(2026/3/20)

2026年5月号

エラン・ヤシブ テルアビブ大学 経済学教授

イスラエルはより貧しく、抑圧的な国になり、対外的に攻撃的になっている。イラン戦争はその具体例だ。欧米世界の多くでジェノサイドと批判されたガザにおける軍事作戦からも、その攻撃性は明らかだろう。こうした行動の背景には、イスラエル政治の宗教化と社会の経済的分断がある。リベラルで生産性の高い人々の発言力が低下する一方で、保守的で生産性の低い社会層の影響力が拡大している。反ネタニヤフのリベラル派は外への移住を試み、ネタニヤフは、超正統派と宗教的ナショナリストをまとめて政治的連立を維持しようと試みている。イスラエルは、皮肉にも、この流れによって、1979年以降のイランを後追いしようとしている。

高市ビジョンと地政学
―― 揺れ動く世界と日本の選択

2026年4月号

マイケル・J・グリーン シドニー大学 アメリカ研究センター所長

高市の戦略は「アメリカか、中堅国との連携強化か」という間違った二者択一を強いるものではない。むしろ、アメリカを中核に、アジアやヨーロッパへ広がる経済・安全保障のパートナーシップの広範な連合を築かなければならないという認識に基づいている。これが、中国の威圧に対抗する上で唯一の実行可能なアプローチだろう。彼女の目標は、アメリカとの安全保障関係をさらに強化することを軸に、より好ましい地域的パワーバランスを取り戻すことにある。そのビジョンは、揺るがされた世界秩序に直面する責任ある国家にとって、もっとも現実的な今後の道筋を示している。

プレサイス・マスの時代とドローン
―― シャヘドとルーカス

2026年4月号

マイケル・C・ホロウィッツ 外交問題評議会シニアフェロー (テクノロジー・イノベーション担当)。
ローレン・A・カーン ジョージタウン大学 安全保障・新興技術センター シニアリサーチ・アナリスト

戦闘機、戦車、巡航ミサイルといった高度な能力の開発・配備では依然としてアメリカが主導権を握っているが、監視用ならびに短距離・長距離攻撃用の低コストで自律性の高いドローンの開発・配備ではイラン、ロシア、ウクライナが先行している。そして、高価な兵器で安価な兵器を無力化するワシントンのやり方は持続不可能だ。拡張性のある低コストの精密兵器やセンサーの広範な配備で特徴づけられる「プレサイス・マス」の時代にあって、アメリカは「卓越した軍事能力以上のもの」を必要としていることを理解する必要がある。「ドローンが必要だ。それも大量に、今すぐに必要だ」。

ホルムズ海峡とイランの優位
―― 米国にまともな選択肢はない

2026年4月号

ケイトリン・タルマッジ マサチューセッツ工科大学 政治学准教授

イランは、機雷、ミサイル、ドローン、小型潜水艦、ドローンボート、武装高速艇を組み合わせて、ホルムズ海峡のタンカー航行を脅かすことをかねて計画してきた。これらによって、イランによる集中攻撃にさらされる空間がホルムズ海峡で形成され、これを解体するのは容易ではない。アメリカはイランによる機雷敷設を阻止することに集中し、より大規模な戦争からの出口を探るべきだ。そうしない限り、ワシントンは、ホルムズ海峡における船舶航行に対する妨害行為が、イランがかねてより準備し、今まさに展開しようとしている数ある対応策のほんの一部に過ぎないことを思い知ることになる。

中国のスマートな権威主義
―― 魅力的な政治経済モデル

2026年4月号

ジェニファー・リンド ダートマス大学 政治学准教授

すでに中国は電気自動車、バッテリー、ドローン、ロボティクスといった産業における世界の技術最先端に到達している。しかも、社会・政治的統制を維持しつつ、こうしたイノベーションに成功している。統制を維持しつつ、イノベーションも実現する「スマートな権威主義」の指導者たちは、できるときには社会を開放し、やらなければいけないときには統制を強化する。調整が絶えず必要だとしても、このバランスを適切に保てば、イノベーションを促す「包括的な制度」がなくても技術革新が開花する。中国の「スマートな権威主義」の成功は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ベトナムなどの指導者にとって魅力的なモデルを提供している。

台北は、北京との管理された対話チャンネルを開く必要がある。信頼できる抑止力を維持し、現状の変更につながるかもしれない挑発的行動を避けるとともに、海峡間の開かれた対話チャンネルを再開・維持することで、紛争リスクを低下させられるからだ。アメリカにとっても、複雑な関係を管理する有能なパートナーは、常に安心感を与える必要のある依存国よりも好ましいはずだ。北京にとっても、台湾との安定した関係を構築することは、圧力をかけて台北をワシントンとの排他的な連携へと向かわせるよりも、すぐれたやり方だろう。鍵は透明性にある。二大国は台湾が相手国とどのような関係にあるかを理解する必要がある。それによって双方が台湾の安定と繁栄から恩恵を引き出せるようになる。

危険な世界にいかに備えるか
―― 問われる日本の安全保障戦略

2026年4月号

岡野正敬 前国家安全保障局(NSS)局長

いまや人々は、かつてより外交政策を注意深く見守り、自分の立場を支える情報を消費する傾向がある。それだけに、国家安全保障の実務を担当する者は、過去の担当者たち以上に、丁寧にその決定を社会に説明し、擁護していかなければならない。現在の脅威についての理解を社会と共有できなければ、日本が有効な対策を講じるのは難しい。安全保障上の複雑な脅威とアメリカとの新たな関係に適応していくには、強力な防衛力と情報力、そして経済力が求められる。しかし、緊張と分裂の少ない未来を築くためには、外交が必要になる。今こそ外交的エンゲージメントに力を入れるべきだと私は確信している。

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