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論文データベース(最新論文順)

ブッシュ政権の対中、対日政策を検証する

2005年12月

エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

北京が鳥インフルエンザ問題をめぐって十分な情報公開をしているとは断言できない。深刻な状態にあることを公表することへのためらいがみられるし、鳥インフルエンザに関して地方から正確な情報が寄せられているかどうか、北京の指導者自身、確信がもてずにいる。中国問題の専門家エリザベス・エコノミー(CFRシニア・フェロー)は、鳥インフルエンザの情報公開であれ、知的所有権の保護であれ、中国が国際社会で責任ある国家とみなされるには、国内の統治システムを抜本的に改革し、特に、地方において優れた統治システムを確立することが不可欠だと主張し、「それには長い時間を必要とする」とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

エネルギー資源をめぐる米中衝突を避けるには

2005年12月号

スピーカー
ジョセフ・リーバーマン 米上院議員(民主党・コネチカット州選出
司会
ウィリアム・マーチン 前米エネルギー省副長官

北京が世界のエネルギー供給を1人で押さえてしまおうとすれば、中国と、アメリカその他の諸国が衝突するのは目に見えている。アフリカ、中東、ロシア、南米と、中国は世界中で石油資源の供給を押さえようときわめて利己的で攻撃的な資源調達戦略をとっている。中国のエネルギー調達戦略が今後も攻撃的でナショナリスティックなままなら、われわれは問題に遭遇することになるし、その兆しはすでにある。状況を放置すれば、たんに中国との間で資源獲得競争が起きるだけでなく、紛争の瀬戸際まで追い込まれる。資源をめぐる米中競争が深刻な事態へと至る前に、石油への依存を減らしていくための米中共同の研究開発プロジェクトを実施する必要がある。

M・レアードが回顧するイラク戦争とベトナムの教訓(上)

2005年11月号

メルビン・R・レアード/ニクソン政権国防長官

ベトナムの屈辱とは、われわれがベトナムに介入したことではなく、最終的にわれわれが同盟勢力を裏切ってしまったことだ。パリ協定の約束に背を向けて、米議会が南ベトナムへの援助を打ち切ったために南ベトナム軍は総崩れになり、結局は崩壊した。イラク戦争にも同じことが言える。米政府と議会の連帯を維持することが、イラクでの対ゲリラ戦を遂行するうえでも非常に重要である。アメリカのイラクへのコミットメントが、将来においても尊重されるように、それが何を意味するかを現在理解しておく必要がある。イラク問題に関するアメリカ国内での論争は、議会と政府間の連帯を損ない、ゲリラ勢力に希望を与え、イラクに送り込まれているアメリカの兵士たちを危機にさらすだけだ。

イラク連合国家構想を推進せよ

2005年11月号

レスリー・ゲルブ/米外交問題評議会名誉会長
ジュディ・ウッドルフ/前CNNアンカーパーソン

イラクはすでに三つの地域に分裂している。米軍がイラクに駐留する限り、ゲリラ勢力が勝利を手にすることはないが、北部、中央部、南部の三つの地域間の主要勢力間の政治的取り決めが成立しない限り、われわれがイラクで勝利を勝ち取ることはできない。そして、クルド人、シーア派、スンニ派という三つの集団間の政治的取り決めの切り札が、連合国家としての枠内でイラクの3地域に大幅な自治権を与えることだ。すでにこの方向での流れが生まれつつある。

サウド・サウジ外相が語るテロとイラク

2005年11月号

サウド・ファイサル・ サウジアラビア外相
ファリード・ザカリア/フォーリン・アフェアーズ誌前副編集長

「(イラクの)シーア派とスンニ派間に内戦が起きるのを放置すれば、それでイラクは終わりだ。分裂するだけでなく、各地域で紛争が起き、この地域全体が出口のない混乱へと陥っていく。イラクの紛争にイランもトルコも介入してくる。アラブ世界全体が紛争へと巻き込まれていく。したがって、まずスンニ派とシーア派の和解を成立させる必要がある」(サウド・ファイサル)

地球温暖化、異常気象と今後のエネルギー資源
―― 二酸化炭素固定技術を推進せよ

2005年11月号

ジュリオ・フリードマン ローレンス・リバモア研究所二酸化炭素管理プログラム責任者
トーマス・ホーマー・ディクソン トロント大学平和・紛争研究センター所長

増大するエネルギー需要と不安定な原油価格を前に、一部の先進国は石炭や石油に代わる代替エネルギーの開発を試みている。だがコストのかかる代替エネルギーへの転換では問題の一部しか解決できない。地球温暖化問題を抱えつつも、人類社会は依然として二酸化炭素を放出する化石燃料にエネルギー源を頼らざるを得ない状況にある。幸い、大規模な気候変動を引き起こさずに化石燃料を利用できる技術がある。それが、「二酸化炭素固定技術」と「二酸化炭素の地中貯留技術」を組み合わせたゼロエミッションの石炭ガス化複合発電施設だ。

アメリカの強大化と世界の反発
――アメリカは地域バランサーへの回帰を

2005年10月号

スティーブン・ウォルト/ハーバード大学教授

アメリカ人は自国が支配的な優位を持っていることを世界のためになると考えているかもしれないが、他の国々はアメリカの支配的な優位の意味合いを測りかねており、そのパワーを牽制する方法をすでに見いだしている。これが現実だとすれば、アメリカは、域外に身を置きつつ秩序バランスの維持に貢献するという伝統的な役割に立ち返るべきではないか。パワーバランスの維持は地域諸国に委ね、介入するとすれば、地域的なパワーバランスが崩壊し、死活的なアメリカの利益が敵対勢力によって脅かされている場合に限定する路線を取るべきではないか。

イラクで平和を勝ち取るには
――治安強化・拡大戦略を

2005年10月号

アンドリュー・F・クレピネビッチJr./戦略・予算評価センター所長

イラクから米軍が時期尚早に撤退すれば、ゲリラ勢力による武力抗争が血なまぐさい内戦へとエスカレートし、シリアとイランがイラクに大がかりに介入してくる危険もある。一方、ゲリラ勢力を殺害することに焦点を合わせた現在の米軍戦略にも出口はない。だが、イラクの治安を強化し、イラク人治安部隊を十分に訓練して、イラク人が治安を守り、国を再建するための機会を与えれば流れは変えられるし、米軍の段階的なコスト削減にも道が開けてくる。

ネパールの大いなる危機
――紛争のなかに取り残された民衆たち

2005年10月号

ブラッド・アダムス/ヒューマン・ライツ・ウォッチ・アジアディレクター

ネパール人の多くは、もうどうにもならないと感じている。毛沢東主義派に食料や隠れ家を提供することを拒むと「階級の敵」「反動分子」として処刑され、たとえ不本意であったとしても食料や隠れ家を提供すると今度はネパール国軍に毛沢東主義派との共謀の罪に問われる。国軍は、毛沢東主義派と、何とか生き延びようとしただけの民衆(同上)を区別できないし、区別しようとさえ試みない。いまやネパールは国家崩壊の瀬戸際まで追い込まれている。

現在の中国を理解するには
――屈辱の歴史の重荷と共産党の変革

2005年9月号

キショール・マブバニ/リー・クアンユー行政大学院院長

北京にとって、中国の台頭は、かつては列強の草刈り場とされ、内戦に苦しんだ1世紀に及ぶ国内的変動の時代についに終止符が打たれたことを意味する。先進国が形づくる近代世界に仲間入りを果たせるいま一歩のところまでついにやってきたと彼らは感じている。一方、アメリカの政策決定者たちは、中国共産党が大きな自己変革を成し遂げていることに気づかずに、現在の中国政府は共産主義時代の名残をとどめる古い体質をもっていると否定的に考え、中国の台頭を危険視している。

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