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論文データベース(最新論文順)

中国とインドはアフリカをめざす
 ――中印との貿易をアフリカの経済開発につなげるには

2008年4月号

ハリー・G・ブロードマン  世界銀行アフリカ地域経済顧問

 アフリカと中国、インドの貿易がこれまでにないペースで拡大しており、アフリカの指導者は、現在の中国とインドとの経済関係をもっとうまく利用して成長に弾みをつけるべきだろう。中国とインドのアフリカへの進出拡大は、アフリカ諸国が限られた一次産品への極端な依存状況から脱し、労働集約的な軽工業品とサービス産業へとシフトしていく大きな機会を提供している。
 この機会を生かすには、改革を通じて市場競争力や統治の質を高め、インフラを整備し、好ましい投資環境を整備しなければならない。改革がきちんと実行されれば、中国とインドのアフリカへの経済進出は、世界の最貧層の3億人が暮らし、最も困難な開発上の問題を抱えるアフリカの発展と世界経済への統合を実現するためのかつてない呼び水になるかもしれない。

中国とインドはアフリカをめざす
―― 中印との貿易をアフリカの経済開発につなげるには

2008年4月号

ハリー・G・ブロードマン 世界銀行アフリカ地域経済顧問

アフリカと中国、インドの貿易がこれまでにないペースで拡大しており、アフリカの指導者は、現在の中国とインドとの経済関係をもっとうまく利用して成長に弾みをつけるべきだろう。中国とインドのアフリカへの進出拡大は、アフリカ諸国が限られた一次産品への極端な依存状況から脱し、労働集約的な軽工業品とサービス産業へとシフトしていく大きな機会を提供している。この機会を生かすには、改革を通じて市場競争力や統治の質を高め、インフラを整備し、好ましい投資環境を整備しなければならない。改革がきちんと実行されれば、中国とインドのアフリカへの経済進出は、世界の最貧層の3億人が暮らし、最も困難な開発上の問題を抱えるアフリカの発展と世界経済への統合を実現するためのかつてない呼び水になるかもしれない。

人民元の切り上げ要求は間違っている

2008年4月号

デビット・D・ホール  アメリカン・プロスペクト誌共同編集長
リリック・ヒューズ・ホール チャイナ・オンライン発行人 

ワシントンでは人民元の切り上げで米中間の貿易不均衡を是正できると考えられているが、そもそも貿易不均衡は米議会が考えているほど大きな脅威ではない。中国の貿易黒字の拡大を、中国が世界経済、そしてアメリカの企業と消費者に数多くの利益をもたらしている結果とみなすこともできる。
 ……人民元の切り上げを求めていかに熱い議論を展開し、仮にそれが実現するとしても、アメリカの対中貿易赤字が削減するとは考えにくい。むしろ、中国の経常黒字を減らし、貿易収支を均衡させると思われるのは、中国の税制改革、企業・金融部門の改革、段階的な企業の財務状況の公開、内需拡大の奨励策だろう。
 より重要で大きな課題は、中国のグローバル経済への統合プロセスをいかにしてうまく成功させるかだ。そのためには、9番目のメンバーとしてG8に中国を迎え入れるための改革を行うべきだ。

CFRインタビュー
分裂する中国社会と
ナショナリズムの行方
――チベット問題は氷山の一角にすぎない

2008年4月号

エドワード・フリードマン  ウィスコンシン大学政治学教授

経済開放政策が中国社会を揺るがしている。現状の開放策を維持するか、それとも中国らしさを支える伝統的な価値へと回帰するかをめぐって、地域も軍もナショナリストたちさえも内に分裂を抱えている。
 改革開放路線を導入した鄧小平は、当初から「反帝国主義スローガン」に代わる国の統合と連帯を図るツールが必要なことを理解していた。経済開放策を導入しようとしているのに、「反帝国主義スローガンではなじみが悪い。そこで、(国を束ねるツールとして)誕生したのがナショナリズム路線だった」。だが、あまりにナショナリズムを多用すれば、近隣諸国の多くをアメリカ側へと追いやってしまうことに気づいた胡錦涛は、一転、近隣諸国への柔軟外交に転じた。
 そしていまやナショナリストたちは、アメリカとの良好な関係を可能な限り維持するか、それとも、ヨーロッパや東南アジアとの貿易と投資の流れをもっと強化し、アメリカへの依存状況を軽くするかで割れている。
 邦訳文は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)のエドワード・

CFRインタビュー
サイバースペースと
未来形戦争を考える

2008年4月号

ウィリアム・T・ロード 米空軍サイバーコマンド司令官

米軍は、軍が使用するサイバースペース、つまり、軍のデジタルリソース、コンンピューターインフラの防衛構想を強化している。
 米軍のサイバーコマンドの司令官に任命されたウィリアム・T・ロードは、サイバー空間の攻撃にはコストがほとんどかかからないために、攻撃してくる相手は数多くいると指摘し、「大規模な軍隊を持たない国も、現実世界では考えようもなかった攻撃を国その他のターゲットに挑めるようになった」と指摘し、「戦争のスタイルそのものが変わってくると思う」と今後を予測した。
  聞き手は、グレッグ・ブルーノ(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。

CFRインタビュー
「イージーオイル」時代の終わり

2008年4月号

イェルーン・ファン・デルフェール  ロイヤル・ダッチ・シェル最高経営責任者

開発しやすく、市場への搬出も容易なイージーオイルの生産は、10年もすれば頭打ちとなり、その後は、再生可能エネルギー、あるいは開発・生産の難しいオイルサンドなどの非在来型石油資源への移行が、スムーズではなくとも、しだいに進んでいくことになるかもしれない。
 ロイヤル・ダッチ・シェルの最高経営責任者(CEO)、イェルーン・ファン・デルフェールは、石油需要の今後をこう示唆する一方で、2008年の石油需要は2007年を上回ると考えられると指摘する。アメリカやヨーロッパで何が起きようと、中国とインドその他の南アジア、北東アジアの経済成長が、それを補ってあまりある需要を作り出す、と。今後における重要なポイントは、イージーオイルに比べて、アクセス・開発が難しく、コストもかさむ非在来型石油資源の場合、石油企業が市場の需要増に反応するのに、より多くの時間がかかるようになることだと同氏は強調した。
  聞き手は、リー・ハドソン・テスリク(www.cfr.orgのアシスタント・エディター)。

CFRブリーフィング
地球温暖化対策の
「経済的課題」を考える 

2008年4月号

トニ・ジョンソン スタッフライター

世界各国の指導者は、地球温暖化が世界経済を脅かすという認識を共有しだしている。ブッシュ政権は温室効果ガス排出量の上限枠を導入することには依然として消極的だが、次期大統領有力候補者と民主党が過半数を占める米議会は、温室効果ガス排出削減措置の法制化をすでに公約に掲げている。流れが変化するとともに、議論も熱を帯びてきている。
 最大の懸案の一つは、「経済にダメージを与えずに温室効果ガスを削減させる最適のアプローチ」が何であるかを決めることだ。炭素税なのか、排出権取引なのか。環境規制によって損なわれるであろう米国内企業の競争力維持を目的とするグリーン関税の導入は、世界貿易機関(WTO)のルールを踏みにじり、世界貿易を混乱させることにはならないか。
 地球温暖化対策は雇用の創出や新たな環境技術の開発と導入を促し、経済にプラスの波及効果を与えるのか、それとも、環境への配慮が経済を抑え込んでしまうのか論争は続いている。

なぜ民族は国家を欲しがるか
――歴史を規定しつづけるエスノナショナリズムの力

2008年4月号

ジェリー・Z・ミューラー 米カトリック大学歴史学教授

「(いまや世界各国で)都市化が進み、識字率が上昇し、政治的に民族集団を動員することも容易になっている。こうした環境下で、民族集団間に出生率や経済成長の格差が存在し、これに新たな移民の流れが加われば、今後も、国の構造や国境線がエスノナショナリズムによって揺るがされることになる。……エスノナショナリズムは、近代国家の形成プロセスが表へと引きずり出す人間の感情と精神にかかわる本質であり、連帯と敵意の源である。形は変わるとしても、今後長い世代にわたってエスノナショナリズムがなくなることはあり得ないし、これに直接的に向き合わない限り、秩序の安定を導き出すことはできない」

アメリカはアジアの台頭にうまく対応できるのか
――問題をつくりだしているのは欧米世界ではないか

2008年4月号

スピーカー
キショール・マブバニ/国立シンガポール大学公共政策大学院長
司会
エレン・L・フロースト/ピーターソン国際経済研究所客員研究員

いまや誰もがアジアをはっきりとしたモデルとみなしている。そしてアジアにおける新しいストーリーとは、アジアが一つにまとまりつつあることだ。人の自由な流れがアジアでは起きている。……新しいアジアの形成は、世界にとって大きな貢献となる。その理由は、これが、安定した世界秩序に利益を見いだし、グローバル秩序の混乱を望まず、西洋と協調したいと望む責任ある利害共有者を大幅に増やしていることを意味するからだ。……若いイスラム教徒たちにとっては、「西洋を模範とする道を歩むか、それともオサマ・ビンラディンに従うか」しか道はなかったが、いまでは、「自分たちも中国やインドに続こう」と考えだしている。

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