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論文データベース(最新論文順)

CFRミーティング
「ハイテク・チャイナ」の課題と意味合い
 ――中国の技術開発力を検証する

2006年5月号

スピーカー
ウィリアム・T・アーチー  米エレクトロニクス協会会長兼最高経営責任者
アダム・シーガル  米外交問題評議会シニア・フェロー
司会
アン・G・K・ソロモン  戦略国際問題研究所(CSIS) シニア・アドバイザー

シリコンバレーで5年から7年働いた経験をもつ中国人、カーネギーメロン大学で科学技術を教えていた中国人などがいまや母国へと帰国している。帰国後、彼らは自分で研究所や企業を立ち上げるか、中国に進出している多国籍企業で働いている。(A・シーガル)

中国側からの技術移転を求める圧力は大きい。不本意ながら、米企業が要請に応じる場合もあれば、拒絶する場合もある。日本企業は米企業よりも、中国側の技術移転要請に強く抵抗する傾向がある。日本企業が、どの程度抵抗し続けられるかはよくわからない。(W・アーチー)

イランの核開発に打つ手はあるのか
――外交、軍事攻撃、あるいは封じ込めか

2006年5月号

◎スピーカー
リュエル・マーク・ゲレット アメリカン・エンタープライズ研究所レジデントフェロー
ケニース・M・ポラック ブルッキングス研究所セバン中東研究センター所長
◎司会
リチャード・N・ハース 米外交問題評議会(CFR)会長

「イランを軍事攻撃できるかどうか。その答えはイエス。攻撃後のイラン国内状況は、当初は今よりも悪くなるし、反体制派や改革主義者は抑圧される。長期的に大きな反体制運動が起きるか。答えはイエス。対米テロは起きるか。これは間違いなく起きる」(R・ゲレット)

「イランの核施設は大規模なトンネルで繋がれていることもわかっている。このトンネルを破壊するのは非常に難しい。ペンタゴンでこのトンネルを破壊するにはどうすればよいかが研究されているが、これを破壊するには、地表貫通型核兵器が必要だと言われている」(K・ポラック)

サダム・フセインの妄想
――旧イラク軍高官たちが証言する

2006年5月号

ケビン・ウッド 防衛アナリスト
ジェームズ・レーシー 米統合軍司令部軍事分析官
ウィリアムソン・マレー 米海軍大学歴史学客員教授

2003年4月、バグダッドは陥落し、歴史的に最も秘密主義で残忍な政権の実態を解明する機会が生まれた。米統合軍司令部は、かつてはアクセスできなかったイラク政府文書を基に、サダム・フセイン政権がどのように機能し、行動していたかをテーマとする検証を命じた。拘束された数十人の政治・軍事指導者への聞き取り、数十万の公文書を基盤とする2年がかりのプロジェクトのリポートのポイントをここに掲載する。

イラク・パースペクティブ・プロジェクト
―― サダム・フセインの幻想

2006年4月号

ケビン・ウッド/防衛アナリスト
ジェームズ・レーシー/米統合軍司令部軍事アナリスト
ウィリアムソン・マレー/米海軍大学歴史学特別客員教授
マイケル・ピース/「イラク・パースペクティブ・プロジェクト」共同執筆者
マーク・スタウト/「イラク・パースペクティブ・プロジェクト」共同執筆者

米統合軍司令部は、2004年に作戦分析統合センター(JCOA)に、イラク戦争中にサダム・フセインが何を考えて、どのように行動していたかを分析するように命じ、その分析結果が『イラク・パースペクティブ・プロジェクト――サダム政権高官はイラク自由作戦をどうみていたか』という200ページを超えるリポートにまとめられ、2006年3月24日に公表された。フォーリン・アフェアーズ英語版5・6月号には、JCOAリポートの筆者であるケビン・ウッド、ジェームズ・レーシー、ウィリアムソン・マレーがその主要なポイントを抜粋し、まとめなおした「サダムの幻想」が掲載されている。ケビン・ウッドをプロジェクトリーダーとするイラク・プロスペクティブ・プロジェクトの分析チームは、イラクに関して公開されている情報を入念に調べあげた上で、イラクへ向かい、現地でイラク政府・軍高官の聞き取りを行うとともに、押収したイラク政府文書を精査した上で、この2年がかりのプロジェクトを分析報告として発表している。邦訳分は、フォーリン・アフェアーズには掲載されていない、米統合軍司令部JCOAリポート「イラク・パースペクティブ・プロジェクト」の統括部分からの抜粋・要約。日本語版では次号(6月10日発売5月号)に「サダム・フセインの幻想」の全文を掲載予定。(フォーリン・アフェアーズ日本語版編集部)

エネルギー資源輸出国のロシア、経済成長を支えるのに必要なエネルギー資源を求める中国。互いの経済的必要性を満たす両国の接近を自然のなりゆきと考える専門家も多い。だが、両国の接近は貿易領域に留まらない。「アメリカの影響力を封じ込める」という共通の戦略目標を掲げる中国とロシアは、貿易だけでなく、中央アジアにおける資源開発や安全保障、そして、北朝・イランの核開発問題をめぐっても協調・共闘路線をとっている。両国は、アメリカの覇権に対抗するために広範な領域での外交問題について政策のすりあわせを行い、協調している。また、「ロシアが中国の後ろ盾となれば、経済的にも軍事的にもますます日本の立場は危うくなる」と中ロ連合の日本への余波を指摘する専門家もいる。アメリカの覇権に対抗する中ロ連合を軸に、東アジアの地政学はどう変化していくのか。

 アラブ世界は、イランの「核技術保有宣言」を前に困惑している。イランと多くのアラブ諸国の関係はすでに緊張しており、今後イランが核兵器開発能力を手にすれば、ますますアラブ諸国とイランの関係は悪化していく危険がある。核武装したイランは中東のパワーバランスを揺るがし、アラブ各国における宗派上の少数派であるシーア派を勢いづけ、最悪の場合には、中東で核の軍拡レースが起きると考える専門家もいる。
 しかし一方で、世論調査や新聞報道からみて、イスラムの同胞であるイランがアメリカを相手に一歩も引かぬ姿勢をとっていることを頼もしく思っているアラブ人もいる。彼らは、ワシントンのイスラエル寄りの路線、シーア派主導のイラク構築路線、中東民主化構想のことを、中東秩序の安定にとってイランの核技術獲得以上の脅威とみなしている。一般にアラブの指導者はイランの非核化を望んでおり、現在の危機が外交的に解決されることを期待している。

イラク戦争の情報と政策

2006年4月号

ポール・R・ピラー/前米中央情報局(CIA) 近東・南アジア情報分析官

ブッシュ政権は政策を決める判断材料として情報を用いるという、政策と情報の通常のモデルを逆さにし、すでに下されている政治決断を正当化するために情報を選択的に用いた。米情報コミュニティーのイラクの大量破壊兵器(WMD)に関する間違った情報分析が政策決定者に判断を誤らせたわけではない。むしろ、イラクに関する戦前の情報収集・分析に関して特筆すべきは、この数十年間でもっとも重要なアメリカの政策決定において、情報がほとんど無視されたという点にある。ブッシュ政権は、イラク戦争に向けて米市民を動員するために生の情報を選択的に利用したにすぎない。

「イランが低濃縮ウランの製造に成功したからといって、国際社会が一つにまとまるとは思えない」。むしろ、米欧の連帯は不安定になってきているとイラン問題の専門家レイ・タキー(CFRシニア・フェロー)はみる。「アメリカが制裁に同調するように求め出せば、中国やロシアだけでなく、ヨーロッパも難色を示し出すかもしれない。イランが低濃縮ウランの開発に成功したからといって、自分たちの経済利益、――ロシアの場合は、経済利益と戦略利益――を脇に置いて、アメリカの懲罰路線に同意するということにはならないだろう」。同氏は、もはや核技術をイランに放棄させるのは無理であり、今後の開発の進展を枠にはめるための外交交渉を行うしか手はないと述べ、アメリカの妥協が必要だと強調した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。

CFRミーティング
米印核合意を支持する

2006年4月号

スピーカー 元駐インド・アメリカ大使 ロバート・ブラックウィル
司会 CNN国家安全保障担当記者 デービッド・エンソア

アメリカ内でインドとの核技術協力に反対する人々は、「インドの核施設のほぼすべてを国際原子力機関(IAEA)の恒久査察体制の下に置くしかない」と主張し、インドの核武装は南アジア、そして国際的な不安定化要因であり、インドの核武装解除を目的にすべきだと明言する。一方インドは合意の条件としてIAEAの査察下に置くべきとされる核施設の数が多すぎると反発し、これでは核抑止力が弱まり、いずれ抑止力そのものを失うことになると危機感を抱いている。核不拡散レジームに参加しないまま核を保有したインドに民生用核技術と燃料を提供することのバランスシートは何か。

中台安定化時代の始まり  ――そして台湾は独立を望まなくなった

2006年4月号

ロバート・S・ロス ボストンカレッジ政治学教授

台湾海峡周辺地域へのミサイルと戦闘機の配備を強化した中国は、2000年までには、アメリカが軍事介入する前に台湾の繁栄を破壊できるだけの軍事力を整備していたし、急速な経済成長によって台湾経済を左右するような大きな経済的影響力も手に入れていた。北京の台湾に対する軍事的、経済的な影響力を前に、台湾の有権者は、台湾の独立を唱える陳総統と民進党に見切りをつけ、中国と折り合いをつけていくことを選択し、ここに、台湾独立を求める機運は事実上、消え去った。中国と台湾の関係が平和的に改善されていけば、米中戦争のリスクも低下する。北京、台北、ワシントンが軍事・防衛体制を調整する機会さえ生まれることになる。

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