ビッグデータの台頭
2013年6月号

歴史のほとんどの時期を通じて、われわれは比較的限られたデータを前提にものを考えてきた。そのような時代に重視されたのがサンプリングだ。ランダムに抽出されている限り、選挙の出口調査のように、サンプリングで全体を推し量ることができた。だがビッグデータの台頭によって、かつては量的に計測できなかった世界をデータ化できるようになった。これによってわかるのは、なぜ現象が起きているかの因果関係ではなく、あくまで相関関係だ。例えば、カナダの医療チームは、未熟児の心臓の鼓動、血圧、呼吸、血中酸素のレベルを含む16の重要な兆候をデータ化し、病気の発症を予見することに成功している。誰が法に触れる行為を行いそうなのか、どのビルで火災が起きそうなのかも、ビッグデータで量的に計測されつつある。ビッグデータは政府の機能、そして政治の本質も変化させることになるかもしれない。だが、それが社会を監視する政府の力を強め、ビッグデータ権威主義を出現させる恐れもある。・・・