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NSAの無節操なスパイ活動
―― 安全保障とプライバシー保護の間

ヘンリー・ファレル ジョージ・ワシントン大学准教授(政治学、国際関係論)
アブラハム・ニューマン ジョージタウン大学准教授

Senseless Spying

Henry Farrell ジョージ・ワシントン大学准教授(政治学、国際関係論)。様々な国籍の研究者が参加する政治ブログ「Crooked Timber」の執筆者の一人で、その記事はクリスチャン・サイエンス・モニター紙、ワシントン・タイムズ紙、ナショナル・ジャーナル誌などのマスメディアで取り上げられている。専門は、EUとヨーロッパ統合、政治とブログ、電子商取引(イーコマース)。アブラハム・ニューマンと共著で、国土安全保障の国際化をテーマとする本を執筆中。

Abraham Newman ジョージタウン大学准教授。専門は国際政治経済学。著書にProtectors of Privacy ―― Regulating Personal Data in the Global Economy(Cornell University Press, 2008)などがある。

2013年8月号掲載論文

NSA(米国家安全保障局)がEU(欧州連合)に対して諜報活動を行っていたことが露見すると、ヨーロッパの指導者たちはアメリカに対する怒りを露わにした。ドイツ政府のある高官は、アメリカのやり方は「冷戦期におけるわれわれの敵の手法を想起させる」と状況を皮肉った。長年にわたって、対テロをめぐる情報共有とプライバシー保護のバランスを協議してきた米欧間には情報活動に関する一定の了解と合意がこれまで存在し、当初、ヨーロッパはアメリカに苦言を呈しつつも、比較的落ち着いた対応をみせていた。だが、テロとは何の関係もないEUの官僚たちをNSAが監視対象にしていたことが発覚すると、ヨーロッパにおける振り子は安全保障から再びプライバシーの保護へと大きく振れ、米欧関係は動揺している。ワシントンが関係修復を望むのなら、アメリカもヨーロッパ同様に、政府から独立したプライバシー保護のための組織を国内で立ち上げ、安全保障とプライバシー保護のバランスをとるべきだろう。

  • 米諜報活動をめぐるヨーロッパの対米不信
  • 安全保障かプライバシー保護か
  • 振り子は再びプライバシー保護重視へ
  • プライバシー・コミッショナー

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