CFR Briefing
後発医薬品をめぐる
途上国と製薬メーカーの攻防
2013年9月号

公衆衛生上の「国家的緊急事態」に直面した国には、製薬メーカーのパテントを無視して、国内で後発医薬品を生産することがWTO合意によって認められている。この「強制ライセンシング」を用いて途上国が後発医薬品を生産できるようになれば、医薬品を安価に提供できるようになり、感染症対策その他への大きな助けになる。一方、製薬メーカーは、多くのコストを要する新医薬品の研究開発にはパテントが守られることが依然として不可欠だと考えている。だが、感染症だけでなく、ガンなどの慢性疾患、非感染性疾患用の医薬品に途上国が強制ライセンシングを適用すれば、先進国における製薬産業の収益構造の中枢がダメージを受け、最終的に、慢性疾患対策上の医薬品開発のインセンティブとイノベーションが損なわれると指摘する専門家もいる。問題は、途上国が強制ライセンシングを導入したがる理由が何であるかが、はっきりしないことだ。感染症の流行とは別に、国内医療産業の育成がその意図ではないかとも考えられている。・・・