Foreign Affairs Update
大学ランキングが助長する知的孤立主義
―― より社会に目を向けた政策志向の研究を
Rank Irrelevance― How Academia Lost Its Way
2013年11月号掲載論文
「大学の研究者の多くは今や現実社会に目を向けなくなり、象牙の塔に引き籠もっている。・・・研究スタイルにばかりこだわり、・・・研究全般に「現実からの逃走」の兆候がみられる」。そして大学ランキングが、こうした大学の知的孤立主義を助長している。たしかに、ランキングの利便性は疑いようがない。大学の経営陣にとっては、限られた資金をどこに投資するかを判断する指針にできるし、学生や親は、特定の大学に大きな関心を寄せるようになり、政府や篤志家は、どこの大学にグラントや寄付を提供するかの指標にできる。問題は、主要な大学ランキングは研究者一人当たりの論文の数や論文の引用数といった細かな指標でアカデミックな優劣を判断し、政策志向、社会志向の研究が評価の対象にされていないことだ。学術的関心に目を向けているだけでは、社会的関心や懸念にも応えていくという大学における研究の内示的な社会契約を踏みにじることになる。
- 社会とのつながりを失った大学での研究
- ランキングは何を促し、何を抑え込んでいるか
- バラバラのランキング
- 知的孤立主義
<社会とのつながりを失った大学での研究>
大学のランク付けは、教授と大学に進学する学生だけが関心を持つアカデミックなゲーム、知的詳細へのこだわりのように思えるかもしれない。しかし、こうしたランキングは、多くの人が考えているよりはるかに重要な意味を持っている。高等教育機関は知識を真摯に追求するとともに、広範な社会目的へ貢献することを目的にデザインされているからだ。例えば、国際関係論の場合、よりよい外交政策の立案へ貢献することがその目的になる。
全米研究評議会(NRC)の大学院ランキングは、もっとも信頼のおける基準とされている。各大学は、このランキングの順位を上げることを重要な目的の一つに据えている。しかし、学問分野を縦割りにして評価するNRCのランキングアプローチが、研究者たちに、実社会とつながりを持つ研究を行うことへの意欲を失わせている。特に政治学部では、研究者たちを狭い学問領域へと向かわせ、国際関係やその他の政策関連分野を軽視する風潮を助長している。・・・
この論文はSubscribers’ Onlyです。
フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。
なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。
(C) Copyright 2013 by the Council on Foreign Relations, Inc.,and Foreign Affairs, Japan