米対中戦略の落とし穴
―― ビジョンなきゼロサム思考の弊害
2022年10月号

中国が世界のどこかで何かを試みると、その国の政府や住民が何を望んでいるかも十分考えずに、とにかく対抗しようとする罠にワシントンははまっている。自由に使えるリソースについての現実的な評価を基盤とする長期ビジョンがないため、どの領域や地域に優先順位をつけるかにさえ苦労している。より良いアプローチの指針は、その世界ビジョンに求めるべきだ。つまり、恐れるものではなく、求めるものをベースとする思想とビジョンが必要だ。制裁であれ、関税であれ、軍事行動であれ、アメリカの政策を判断する基準は、中国の国益をどれだけ損なえるか、相手に対する優位を得られるかどうかではなく、「アメリカが望む世界へ向けた進歩がどれだけ得られるか」に定める必要がある。