本誌一覧

2026年4月10日発売

フォーリン・アフェアーズ・リポート
2026年4月号

購読はこちら

フォーリン・アフェアーズ・リポート2026年4月号 目次

米中関係と同盟諸国

  • アメリカ後のアジア
    米戦略の破綻と中国の優位

    ザック・クーパー

    雑誌掲載論文

    アメリカがアジアへの経済的・政治的関与を削減していくにつれて、中国が、同盟国やパートナーを切り崩していくリスクにわれわれは直面している。すでに、こうした諸国の多くは、これまでの同盟や連携を再考し、北京の方がより魅力的なパートナーかもしれず、中国が地域の覇権国になるのは避けられないとの結論に近づいている。このために、第1列島線上の少数の国の防衛を重視するアメリカの戦略さえ、もはや維持できないかもしれない。アジア重視路線から離れ、後退を受け入れることが、アメリカのアジアにおける利益を守る最善の方法ではない。だがそうなるのは、避けられないだろう。

  • 米中衝突を回避せよ
    瀬戸際からの後退を

    デビッド・M・ランプトン、王緝思

    雑誌掲載論文

    われわれ二人は両国における長年の研究者として、ほぼ60年にわたって米中関係の変動を経験してきた。両国が対立の影に覆われていることは理解している。しかし、米中の次の世代が新たな冷戦に突入する未来は何としても避けなければならないと考えている。周到な政策をタイムリーにとらなければ、現在の流れと競争に状況が支配され、世界的な帰結を伴う対立リスクを高めることになる。世界が必要としているのは、伝統的な米中エンゲージメントへの回帰ではない。両国を瀬戸際から後退させる、新しい関係の正常化だ。

  • 米同盟諸国の苦悩
    アメリカ後の選択肢を求めて

    フィリップ・H・ゴードン、マーラ・カーリン

    Subscribers Only 公開論文

    安全保障と防衛をアメリカに依存する同盟民主諸国を中心に形成された戦後世界は、トランプによってすでに破壊されている。国内に分断を抱え、国防より社会保障の支出を優先する傾向のある同盟諸国は、トランプのやり方が永続化しないことを願い、時間稼ぎをして、様子見をしている。だが、それは賢明ではない。同盟を不必要な重荷とみなすトランプの立場を、アメリカ人も共有し、グローバルリーダーの重荷を背負うことにはいまや消極的だからだ。同盟諸国は、早急にアメリカ後に備えるべきだ。核開発を含めて、国防領域の自立を試みる国も出てくるかもしれない。同盟諸国がアメリカに代わる選択肢をもたないことは、危険であるばかりか、無責任と言えるだろう。

  • 揺るがされたアメリカへの信頼
    不安定化する世界

    カレン・ヤーヒ=ミロ

    Subscribers Only 公開論文

    トランプは、立場を後退させる前にまず取引を提案する。戦争を拡大する前に、戦争を終わらせると約束する。同盟国を叱責し、敵対国を受け入れる。唯一のパターンとは、パターンが存在しないことだ。一部の分析家が指摘するように、トランプのアプローチは一時的な国際的勝利を一部でもたらしている。だが長期的には、このアプローチでアメリカが強化されることはない。最終的に、各国は他国と連帯して国を守る道を選ぶはずだからだ。その結果、アメリカの敵対国リストは増え、同盟関係は弱体化する。つまりワシントンはますます孤立し、その威信を回復する明確な道筋を見失う可能性がある。

  • 新しい世界の創造へ
    もう過去には戻れない

    レベッカ・リスナー、ミラ・ラップ・フーパー

    Subscribers Only 公開論文

    トランプ政権の2期目が終わる頃には、古い秩序は修復不可能なまでに崩壊しているだろう。トランプ後を担う大統領は、多極化した、複雑な国際秩序を理解し、そこでアメリカがどのような役割を果たすかを決めなければならない。すべてを見直す必要がある。民主的価値へのコミットメントにはじまり、同盟関係、貿易、国防戦略までのすべてを再検証しなければならない。そうしない限り、ポスト・トランプの遺産という視点だけで米外交の将来を考え、これに過剰反応する危険がある。いまや、新しいテクノロジー、台頭する新興国が出現し、これに、長年の緊張が組み合わさることで、カオスが作り出されている。「ポスト・プライマシー」ビジョンの形成が急務だ。

  • 東南アジアの選択
    なぜ中国に傾斜しているか

    ユエンフォン・コン、ジョセフ・チンヨン・リウ

    Subscribers Only 公開論文

    「米中のどちらかを選んでいる」という自覚はないのかもしれないが、東南アジア諸国の多くが、アメリカから離れて、中国へ傾斜しているのはいまや明らかだろう。しかし、そのパワーを北京がどのように使うかをめぐって、地域諸国が大きな懸念をもっているのも事実だ。実際、この地域のエリートを対象とする調査で「誰を信頼しているか」という問いで、第1位に選ばれたのは日本で、中国は4位だった。流れは中国にあるとしても、北京が地域諸国の懸念を和らげ、信頼を勝ちとるには、まだ、やるべきことが多く残されている。だが、2期目のトランプ政権の政策が、北京がこの課題を克服するのを容易にするのかもしれない。

  • 新しい経済地理学
    ポストアメリカ世界の荒涼たる現実

    アダム・S・ポーセン

    Subscribers Only 公開論文

    トランプの新路線が望ましい再編を促すと考える人もいる。だが、彼の政策を前に、各国の政府と企業が、最終的にニューノーマルを受け入れ、アメリカに利益がもたらされるという見方は、幻想にすぎない。それどころか、トランプの世界では、誰もが苦境に陥るし、アメリカも例外ではない。アメリカに最大の利益をもたらし、同盟国やパートナーに安心と繁栄をもたらしてきたシステムを彼は破壊してしまった。特に、カナダ、日本、メキシコ、韓国、イギリスなど、米経済ともっとも密接に結びつき、これまでのゲームルールを忠実に守ってきた諸国の経済は大きなダメージを受けるだろう。トランプは楽園への道をつくり、カジノを建設した。だが、その駐車場はやがて空っぽになるはずだ。

  • 米中の大いなる取引を
    関係リセットの条件

    呉心伯

    Subscribers Only 公開論文

    世界には、米中がともに繁栄する余地が十分に残されている。トランプ大統領と習近平国家主席の相性は悪くなく、生産的なつながりを形作れるかもしれない。トランプは、中国、ロシア、アメリカという主要国が互いの国益を尊重し、紛争を回避する世界秩序を広く模索しており、これは中国の立場とも重なり合う。つまり、北京とワシントンの指導者は、現在の世界では、米中間の勢力均衡だけでなく、大国間協調(米中間の積極的な連携)が必要であることに同意している。米中の経済問題、台湾、朝鮮半島、日本、南シナ海問題をいかに管理し、国際システムをいかに改革していくか。これらで、米中関係の今後は左右されるだろう。

  • 中国のニューフロンティア戦略
    米中競争の核心

    エリザベス・エコノミー

    Subscribers Only 公開論文

    北京は中国の経済・政治・安全保障利益を反映できるように国際システムを改革したいと考えているだけでなく、海底や北極圏の開発、宇宙探査やインターネットを主導することをイメージし、米ドル支配ではない国際金融システムを構築することを望んでいる。こうした目標を達成するために、北京はこれらの領域にすでに長期にわたって莫大な資源を投入している。もっとも重要なのは、北京がこうした努力を粘り強く続けていることかもしれない。ワシントンは、世界の主要領域で中国がパワーを構築していることの全体像に、ようやく気づき始めたばかりだ。

超大国の実像と虚像

  • トランプ政権と泥棒政治
    政治腐敗の手段と化した外交

    アレクサンダー・クーリー、ダニエル・ネクソン

    雑誌掲載論文

    トランプは米外交政策を、自分の富を増やし、地位を高め、家族・友人・側近の小さなサークルに利益をもたらすために利用している。外交を支えるインフラを解体して、自分の親族や知人、友人に重要な外交交渉を委ねている。そこで生まれるのは、主権国家間の拘束力のある二国間合意というより、むしろ個人間の取り決めに近い。合意は意図的に曖昧にされることが多く、一部の要素は公表されるが、他の要素は後日明らかにされるか、あるいは完全に隠蔽される。このやり方が続けば、トランプ外交は、アメリカの立憲主義だけでなく、世界における民主主義の存続そのものを脅かすことになる。

  • 中国のスマートな権威主義
    魅力的な政治経済モデル

    ジェニファー・リンド

    雑誌掲載論文

    すでに中国は電気自動車、バッテリー、ドローン、ロボティクスといった産業における世界の技術最先端に到達している。しかも、社会・政治的統制力を維持しつつ、こうしたイノベーションに成功している。統制を維持しつつ、イノベーションも実現する「スマートな権威主義」の指導者たちは、できるときには社会を開放し、やらなければいけないときには統制を強化する。調整が絶えず必要だとしても、このバランスを適切に保てば、イノベーションを促す「包括的な制度」がなくとも技術革新が開花する。中国の「スマートな権威主義」の成功は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ベトナムなどの指導者にとって魅力的なモデルを提供している。

  • 追い込まれた民主主義
    非自由主義インターナショナルの台頭

    ニック・チーズマン、マティアス・ビアンキ、ジェニファー・シール

    Subscribers Only 公開論文

    非自由主義の権威主義国家が台頭を続ける一方で、民主主義国家は衰退している。2025年には45カ国が民主主義から離れて、独裁体制に移行し始めた。いまや完全な民主国家とみなせるのは、世界にわずか29カ国しか残されていないという見方もある。非自由主義の指導者たちの共通項は、権力を個人に集中させ、抑制と均衡を弱体化させ、政治的操作のために偽情報を利用することだ。さらに、多元主義を空洞化させ、反対勢力を非合法化することで、政治的権利と市民的自由を後退させる。しかも、国境を越えた非自由主義のネットワークを形作っている。すでに、世界のパワーバランスは独裁体制にとって有利な方向へ傾きつつある。民主国家連合に流れを覆す方法はあるのか。

  • トランプ政治の恐るべき現実
    米民主主義の復活はあり得るか

    スティーブン・レヴィツキー、ルーカン・A・ウェイ、ダニエル・ジブラット

    Subscribers Only 公開論文

    政治的敵を標的にして、ルールや規制が選択的に利用されれば、法律は兵器と化す。いまや、トランプ政権の報復を恐れて、全米の大学、メディア、弁護士事務所、財団を含む多くの組織や個人が行動を見直し、自己規制することも多くなった。だが、勝負はまだついていない。今後のアメリカでの選挙は政策対立だけでなく、民主主義対権威主義という、より根本的な選択を伴うものになるはずだ。民主主義を守るために裁判所にだけ頼るわけにもいかない。「王様はいらない」集会だけでは民主主義は復活しない。市民は(投票、法廷、社会という)三つの領域におけるすべての手段を通じて行動しなければならない。もはや流れは止められないと考え、権威主義の衝撃を過大評価して、宿命論に陥るべきではない。

  • 「アメリカの世紀」の終わり
    ドナルド・トランプとアメリカパワーの終焉

    ロバート・O・コヘイン、ジョセフ・S・ナイ・ジュニア

    Subscribers Only 公開論文

    この80年間にわたって、アメリカは、強制ではなく、他を魅了することでパワーを蓄積してきた。アメリカパワーを強化する相互依存パターンを破壊するのではなく、維持するのが賢明な政策だ。トランプが、米同盟諸国の信頼を低下させ、帝国的野望を主張し、米国際開発庁を破壊し、国内で法の支配に挑戦し、国連機関から脱退する一方で、それでも中国に対抗できると考えているのなら、彼は失意にまみれることになるだろう。アメリカをさらにパワフルにしようとする彼の不安定で見当違いの試みによって、アメリカの支配的優位の時代、かつてヘンリー・ルースが「アメリカの世紀」と命名した時代は無様に終わるのかもしれない。

  • 中国の未来を考える
    「権威主義的繁栄」の影響力

    ラナ・ミッター

    Subscribers Only 公開論文

    習近平体制は、欧米と対立する一方で、ロシアを助け、国内では監視体制を強化し、少数民族を抑圧してきた。だが、現状から直線的にとらえて中国の将来を考えるのは、今も昔も間違っている。20年後に中国を担うのは、今よりも開放的な時代を青春期に経験している、現在40代の若いエリートたちだ。民主的でも、リベラルでもないかもしれないが、未来の中国はそれでも世界に「権威主義的繁栄」という政治・経済モデルを提供できる国に進化しているかもしれない。地政学的・経済的大国を目指し、その過程で、「中国の本質」を見失わないという、清朝期の二つの願いを実現することに北京は成功するのかもしれない。もちろん、それには条件がある。

  • 習近平の中国の強さ
    反改革開放路線の目的とは

    ジョナサン・A・ジン

    Subscribers Only 公開論文

    習近平は、中国のもっとも明白な弱点は、40年にわたる改革開放路線の副作用にあるとみている。急速な成長は中国に豊かさとパワーをもたらしたが、一方で優柔不断、政治腐敗、外国への依存という問題も作りだした。後にどのように評価されるかはともかく、習は、こうした中国の弱点の多くを明らかにし、反改革開放路線をとることで、レジリエンスを高めようとしている。政治・社会の管理というレーニン主義の中核まで党の贅肉を削ぎ落とし、革命のためでも改革のためでもなく、技術工業力と軍事力をつけて、中国の地政学的な地位を着実に高めるための規律ある前進を実現することが彼の目的だ。

  • 習近平は父から何を学んだか
    その経験と政治的教訓

    オービル・シェル

    Subscribers Only 公開論文

    1962年、毛沢東政権の幹部だった父・習仲勲が政治的に粛清されたとき、習近平はまだ9歳だった。父が粛清されたことは習近平の心の傷となった。10代のときに、子供たちが憧れる共産主義青年団への入団を8回も拒絶されたことは大きな屈辱だったはずだ。毛沢東が死去した1976年、鄧小平が政権に復帰し、父・習仲勲はようやく北京に戻ることを許され、深圳で新しい経済特区を立ち上げることにも関わった。2002年に習仲勲は死去し、その10年後、息子は中国の最高指導者になった。習近平は父親の改革主義の足跡をたどり、法の支配を前提とするシステムを採用し、自由経済を歓迎するようになると多くの人々が考えていた。だが、そうはならなかった。

日本と台湾

  • 危険な世界にいかに備えるか
    問われる日本の安全保障戦略

    岡野正敬

    雑誌掲載論文

    いまや人々は、かつてより外交政策を注意深く見守り、自分の立場を支える情報を消費する傾向がある。それだけに、国家安全保障の実務を担当する者は、過去の担当者たち以上に、丁寧にその決定を社会に説明し、擁護していかなければならない。現在の脅威についての理解を社会と共有できなければ、日本が有効な対策を講じるのは難しい。安全保障上の複雑な脅威とアメリカとの新たな関係に適応していくには、強力な防衛力と情報力、そして経済力が求められる。しかし、緊張と分裂の少ない未来を築くためには、外交が必要になる。今こそ外交的エンゲージメントに力を入れるべきだと私は確信している。

  • 高市ビジョンと地政学
    揺れ動く世界と日本の選択

    マイケル・J・グリーン

    雑誌掲載論文

    高市の戦略は「アメリカか、中堅国との連携強化か」という偽りの二者択一を強いるものではない。むしろ、アメリカを中核に、アジアやヨーロッパへ広がる経済・安全保障のパートナーシップの広範な連合を築かなければならないという認識に基づいている。これが、中国の威圧に対抗する上で唯一の実行可能なアプローチだろう。彼女の目標は、アメリカとの安全保障関係をさらに強化することを軸に、より好ましい地域的パワーバランスを取り戻すことにある。そのビジョンは、揺るがされた世界秩序に直面する責任ある国家にとって、もっとも現実的な今後の道筋を示している。

  • 台湾と中国の新しい関係を
    米中双方との対話を

    鄭麗文

    雑誌掲載論文

    台北は、北京との管理された対話チャンネルを開く必要がある。信頼できる抑止力を維持し、現状の変更につながるかもしれない挑発的行動を避けるとともに、海峡間の開かれた対話チャンネルを再開・維持することで、紛争リスクを低下させられるからだ。アメリカにとっても、複雑な関係を管理する有能なパートナーは、常に安心感を与える必要のある依存国よりも好ましいはずだ。北京にとっても、台湾との安定した関係を構築することは、圧力をかけて台北をワシントンとの排他的な連携へと向かわせるよりも、すぐれたやり方だろう。鍵は透明性にある。二大国は台湾が相手国とどのような関係にあるかを理解する必要があり、それによって双方が台湾の安定と繁栄から恩恵を引き出せるようになる。

  • 日本を一人にしてはいけない
    中国のアジア太平洋覇権を阻むには

    ダン・ブルメンタール、、マイク・クイケン、ランドール・シュライバー

    Subscribers Only 公開論文

    日米は重要な岐路に立たされている。東京が、中国との長期にわたる対立に備えて大胆な措置をとり続けるなか、ワシントンのコミットメントは揺らいでいる。東京は難しい部分をこなしてみせた。今度はワシントンが立場を強化しなければならない。中国は、アジア太平洋の覇権を握るという野望を実現する上で、日米同盟が最大の障害であることを理解している。経済的にレジリエントで、外交的に活発で、軍事能力の高い日本なら、台湾を孤立させ、近隣諸国を威圧し、アメリカがこの地域に関与するコストを引き上げる北京の計画を損なうことができる。アメリカは、日本と同盟国にとって台湾有事は存立にかかわるという高市の発言を支持して、同盟国と共にあることを示す必要がある。

  • 安倍ビジョンと日本の安全保障
    ナショナリズムと安全保障の間

    ジェニファー・リンド

    Subscribers Only 公開論文

    リベラル派は、安倍首相(当時)に日本の過去の暗黒部を直視して償うことを求め、保守派は、彼の国の誇りを重視する姿勢、軍事力増強と国際的安全保障活動への参加を強化しようする試みを称賛した。多額の債務を抱え、人口減少によって長期的に不利な経済状況に直面するなかで、日本は今後防衛費を増額させていくことになるだろう。それでも、現状は安倍元首相が掲げたビジョンからはかけ離れているし、実際に彼のビジョンにたどり着けるかどうかも、わからない。現実には、市民も多くの政治家も、中国がますます支配力を強めるアジアで(具体的な対策をとるのではなく)漫然とよい方向に進むことを願っているにすぎない。安倍は、安全保障議論を進めて国を導くことのできる知的枠組みと政治的洞察力を備えた数少ない指導者だった。その死が日本にとって悲劇的な損失であることは誰もが認めている。・・・

  • 中国が支配するアジアを受け入れるのか
    中国の覇権と日本の安全保障政策

    ジェニファー・リンド

    Subscribers Only 公開論文

    現在のトレンドが続けば、そう遠くない将来に、中国はアメリカに代わって、東アジアの経済・軍事・政治を支配する覇権国になるだろう。そして、地域覇権国は近隣諸国の内政にかなり干渉することを歴史は教えている。中国に対抗できるポテンシャルをもつ唯一の国・日本は、特に重要な選択に直面している。日本人は軍備増強には懐疑的で、むしろ、経済の停滞と高齢社会のコストを懸念しており、引き続き、銃よりもパンを優先する決断を下すかもしれない。だが実際にそうした選択をする前に、中国が支配するアジアにおける自分たちの生活がどのようなものになるかについて日本人はよく考えるべきだろう。北京は尖閣諸島の支配権を握り、日米関係を弱体化させ、中国の利益を促進するために、さらに軍事的・経済的強制力をとり、日本の政治に干渉してくるかもしれない。

  • 同盟の流動化と核拡散潮流
    次の核時代に備えよ

    ギデオン・ローズ

    Subscribers Only 公開論文

    最近の展開からも、ウクライナやその他の国々への防衛支援をめぐるアメリカのコミットメントが完全には信用できないことは明らかだろう。ワシントンが安全保障コミットメントを果たすとは信用しなかったフランスのドゴール大統領は正しかった。拡大抑止(核の傘)はまやかしであり、それを信じた人々はお人好しのカモだった。なぜフランスに倣って、核戦力を獲得して、国の安全を確保しないのかと多くの国がいまや考えているはずだ。このまま秩序が解体し続ければ、韓国は、おそらく、この拡散潮流に乗って最初に核を保有する国になるだろう。ソウルが核武装すれば、東京もそれに続き、最終的にはオーストラリアもこれに加わるかもしれない。ヨーロッパでも同じ流れが生じつつある。

  • 米中戦争と台湾・第一列島線
    戦争の長期化・広域化と多領域化に備えよ

    アンドリュー・F・クレピネビッチ

    Subscribers Only 公開論文

    アメリカとその同盟国は、核兵器によるエスカレーションの可能性は小さいとしても、何カ月も何年も続き、経済、インフラ、市民生活に莫大なコストを強いる中国との大国間戦争が何を意味するかを考え始めるべき段階にある。中国と米主導の連合軍との通常戦争は長期化し、地理的に広域化するだけでなく、その対立は、世界経済、宇宙、サイバースペース等の多くの領域に飛び火する危険がある。しかも、中国が第一列島線に沿った主要な島嶼を占領した場合、アメリカとその同盟国が許容範囲に近いコストでそれらの島々を奪還するのは非常に難しい。どちらの側にとっても決定的な軍事的勝利の見込みがない以上、この戦争は数年以上にわたって続く危険がある。・・・

  • 台湾に迫り来る嵐
    北京を行動に駆り立てる複合要因

    ユン・サン

    Subscribers Only 公開論文

    台湾を巡る習近平の決断を左右する最大の要因は、アメリカが介入してくるかどうかだ。そして北京は、「ドナルド・トランプほど台湾に無関心で、台湾海峡に軍事介入してくる可能性が低い米大統領は今後現れない」と確信している。だが、2026年11月の中間選挙で民主党が米議会を制し、トランプ支持派の勢いが衰えれば、この見通しも変化してくるかもしれない。トランプ政権の今後、中国の後継プロセスの作用、ロシアのウクライナ戦争、台湾政治の流れからみても、北京は、現状を台湾攻略のチャンスだと考えている可能性がある。

イラン戦争とエネルギー危機

  • 未曾有のエネルギー危機
    イランとホルムズ海峡

    マイケル・フロマン、ダン・ポネマン、ジェイソン・ボルドフ

    雑誌掲載論文

    (ホルムズ海峡を経由しない)サウジアラビアのパイプラインの価値は(積み出し港である)ヤンブー輸出ターミナルのキャパシティによって制約される。同ターミナルは最大で1日あたり約450万バレルを輸出できるように設計されているが、実際にはそれよりはるかに低い能力しかない。さらに、その輸出ターミナルやそこで積み込み可能なタンカーは、フーシ派の攻撃にさらされる危険がある。(ダン・ポネマン)

    現状は、中国の長期的なエネルギー安全保障戦略の正しさを裏付けている。中国は、経済の電力化を促進することで石油輸入を抑制し、石炭や再生可能エネルギーなどの国内資源からより多くの電力を生産すること、そして約14億バレルに達する巨大な戦略石油備蓄を強化することに重点を置いてきた。(ジェイソン・ボルドフ)

    いかなる手段を用いても、湾岸地域から十分な量の石油を運び出すことはできない。パイプライン、備蓄放出、浮体式貯蔵施設からの放出を考慮に入れても、おそらく1日あたり1000万バレル以上の供給不足が生じると考えられる。(マイケル・フロマン)

  • ホルムズ海峡とイランの優位
    米国にまともな選択肢はない

    ケイトリン・タルマッジ

    雑誌掲載論文

    イランは、機雷、ミサイル、ドローン、小型潜水艦、ドローンボート、武装高速艇を組み合わせて、ホルムズ海峡のタンカー航行を脅かすことをかねて計画してきた。これらによって、イランによる集中攻撃にさらされる空間がホルムズ海峡で形成されれば、これを解体するのは容易ではない。アメリカはイランによる機雷敷設を阻止することに集中し、より大規模な戦争からの出口を探るべきだ。そうしない限り、ワシントンは、ホルムズ海峡における船舶航行に対する妨害行為が、イランがかねてより準備し、今まさに展開しようとしている数ある対応策のほんの一部に過ぎないことを思い知ることになるだろう。

  • 兵器化されたエネルギー資源
    復活した戦略ツールの脅威

    ジェイソン・ボルドフ、ミーガン・L・オサリバン

    Subscribers Only 公開論文

    ワシントンは、ロシアやイランの石油を購入する国々に厳しい制裁措置を検討し、北京は、半導体、軍事アプリ、電池、再生可能エネルギーに不可欠な重要鉱物やレアアースの輸出を定期的に制限している。いまや、世界市場そのものが分断され、エネルギーが新たに兵器化されている。各国は、エネルギーの兵器化が間違いなく引き起こす変動から市民と企業を守る方法を見いだす必要がある。リスクを減らすには、生産量を増やすだけでなく、消費量を減らし、クリーンエネルギー投資を増やさなければならない。実際、気候変動の脅威そのものよりも、エネルギー安全保障強化の必要性が、クリーンエネルギーの導入と化石燃料の使用削減の強力なインセンティブを作り出すことになるかもしれない。

  • エネルギーの新地政学
    エネルギー転換プロセスが引き起こす混乱

    ジェイソン・ボルドフ、メーガン・L・オサリバン

    Subscribers Only 公開論文

    クリーンエネルギーへの転換がスムーズなものになると考えるのは幻想に過ぎない。グローバル経済と地政学秩序を支えるエネルギーシステム全体を再構築するプロセスが世界的に大きな混乱を伴うものになるのは避けられないからだ。予想外の展開も起きる。例えば、産油国は、転換プロセスの初期段階ではかなりのブームを経験するはずで、クリーンエネルギーの新しい地政学が石油やガスの古い地政学と絡み合いをみせるようになる。クリーンエネルギーは国力の新たな源泉となるが、それ自体が新たなリスクと不確実性をもたらす。途上国と先進国だけでなく、ロシアと欧米の対立も先鋭化する。クリーンエネルギーへの移行が引き起こす地政学リスクを軽減する措置を講じないかぎり、世界は今後数年のうちに、グローバル政治を再編へ向かわせるような新たな経済・安全保障上の脅威を含む、衝撃的な一連のショック(非継続性)に直面するだろう。

  • 重要鉱物とサプライチェーン
    クリーンエネルギーと大国間競争

    モーガン・D・バジリアン、グレゴリー・ブリュー

    Subscribers Only 公開論文

    再生可能エネルギーへのシフトには、リチウム、コバルト、ニッケル、銅などの重要鉱物を確保することが不可欠だ。しかし、重要鉱物の生産はほんの一握りの国に集中している。インドネシアが世界のニッケルの30パーセントを、コンゴ民主共和国が世界のコバルトの70パーセントを生産している。しかも、重要鉱物の加工と最終製品の製造は中国に集中している。世界のリチウムの59%、その他の重要鉱物の80%近くを精製し、電気自動車用電池の先端製造能力の4分の3以上を中国が独占している。これら重要鉱物の調達がうまくいかなくなればエネルギー転換は立ちゆかなくなる。多様かつ強靭で安全なサプライチェーンを構築し、国内外の重要鉱物へのアクセスを高めるには何が必要なのか。

  • 原油供給とアメリカの軍事戦略
    ペルシャ湾岸からの米軍撤退を

    チャールズ・L・グレーザー、ローズマリー・A・ケラニック

    Subscribers Only 公開論文

    湾岸石油の供給混乱を阻止するために必要なコストは、いまや軍事関与によって得られる恩恵を上回りつつある。冷戦期には国家安全保障と経済的繁栄の二つがペルシャ湾岸に関与する目的だったが、いまや重視されているのは経済的繁栄だけだ。しかもほとんどのアメリカ人が経済利益のために米軍をリスクにさらすことに否定的になり、ペルシャ湾岸への軍事介入の敷居は高くなっている。むしろ、湾岸石油の大規模な供給混乱の衝撃を緩和する非軍事的クッションに投資して、軍事コミットメントをやめるための選択肢を作り出すべきではないか。実際、戦略備蓄を増大させれば、アメリカは(ホルムズ海峡)封鎖その他で市場に供給されなくなった原油を(当面は)代替できる。消費を抑える燃費基準の引き上げも、ガソリン税の引き上げも、供給の乱れの衝撃を小さくする助けになる。短期的にはともかく、最終的には湾岸への軍事関与を打ち切るための措置をとる必要がある。

  • 中国のエネルギー地政学
    クリーンエネルギーへの戦略的投資

    エイミー・マイヤーズ・ジャッフェ

    Subscribers Only 公開論文

    トランプ政権が石油・天然ガスを重視し、パリ協定に背を向けるなか、すでに中国は戦略的にクリーンエネルギー大国の道を歩みつつある。新エネルギー戦略が成功すれば、世界の気候変動との闘い、さらには地域的同盟関係や貿易関係の双方において、中国はアメリカに代わる最重要国に浮上する。クリーンエネルギーテクノロジーの輸出国として中国は、各国に石油・天然ガスの輸入量さらには二酸化炭素排出量を減らす機会を提供できるし、相手国政府との関係も強化できる。冷戦期のアメリカが、ソビエトとの宇宙開発競争に敗れた場合の経済的・軍事的余波を認識して、対抗策をとったように、ワシントンは中国の再生可能エネルギーへの移行にも、同様の対策をとるべきだろう。アメリカは、世界のエネルギー市場における優位を手放すリスクを冒している。

  • 中国経済モデル 強さの源泉
    北京の方程式とワシントンの誤認

    ダン・ワン、アーサー・クローバー

    Subscribers Only 公開論文

    北京は今後を左右する経済戦略部門を選び、そこに補助金を注ぎ込んだ。しかし、これだけでは北京の産業政策は説明できない。レジリエントな技術大国となるために必要な奥深いインフラを整備したからこそ、中国は成功した。パワフルな電力網とデジタルネットワークを中核とするイノベーション・エコシステムを形作り、高度な製造知識をもつ大規模な労働力も育んだ。これが大きな力となっている。関税や規制でワシントンが中国の成長のタイミングを遅らせようとしても効果はない。ライバルを弱体化させる方法を考える時間を減らし、ワシントンは、自国を活力ある、ベストの状態にもっていく方法を考える必要がある。

Current Issues

  • プレサイス・マスの時代とドローン
    シャヘドとルーカス

    マイケル・C・ホロウィッツ、ローレン・A・カーン

    雑誌掲載論文

    戦闘機、戦車、巡航ミサイルといった高度な能力の開発・配備では依然としてアメリカが主導権を握っているが、監視用ならびに短距離・長距離攻撃用の低コストで自律性の高いドローンの開発・配備ではイラン、ロシア、ウクライナが先行している。そして、高価な兵器で安価な兵器を無力化するワシントンのやり方は持続不可能だ。拡張性のある低コストの精密兵器やセンサーの広範な配備で特徴づけられる「プレサイス・マス」の時代にあって、アメリカは「卓越した軍事能力以」上のものを必要としていることを理解する必要がある。「ドローンが必要だ。それも大量に、今すぐに必要だ」。

  • キューバはどこへ向かうのか
    アメリカの圧力とキューバの未来

    ルット・ディアミント、ローラ・テデスコ

    雑誌掲載論文

    電力供給は停止し、ガソリンスタンドの待ち時間は数時間に及び、学校は休校し、病院は手術を中止している。ゴミが路上に山積みにされている。もはや、ハバナはほとんど対応能力をもっていない。実際、いつ崩壊してもおかしくはない。トランプが軍事介入に踏み切る可能性は低く、交渉と外交的圧力によってキューバの政治変革を試みるだろう。問題はそこからだ、革命は最終章に近づいているようにみえるが、その終わりがどのようなものになるか、そしてその後何が起こるかは―依然としてわからない。

  • 驚異的なドローン革命
    ウクライナからいかに学ぶか

    ジョン・ファイナー、デイヴィッド・シャイマー

    Subscribers Only 公開論文

    ウクライナ軍の前線部隊は、ドローンの戦場におけるパフォーマンスを軍需企業に伝え、企業側はこれを基にシステムを常に改善し続けている。アメリカを含む世界のほとんどの国々は、兵器のフィードバックと改善という領域でウクライナに大きな後れをとっている。すでにウクライナとロシアは、ドローンなどの防衛技術にAIを徐々に組み込むことで、イノベーションをさらに進化させている。もしアメリカがウクライナ支援から手を引けば、実績のある防衛技術や戦場における知見、ロシアの軍事パフォーマンスに関するデータへのアクセスを失う危険がある。

  • 自律型戦争の夜明け
    ドローンを制御するAI

    エリック・シュミット、グレッグ・グラント

    Subscribers Only 公開論文

    ロシアもウクライナも、ハードウエア、ソフトウエアそして戦術をよどみなく改良し続けているために、この戦争は息を呑むようなスピードで進化している。膨大な数の監視用ドローンを飛ばすことで、ほぼすべての部隊の動きが可視化され、前線付近で動くものは、それがなんであれ、数分以内に攻撃される。ドローンが敵のドローンと戦うケースも増えている。自律型ドローンスウォーム(大編隊)の攻撃を調整できるAIの開発がいまや焦点とされている。戦争の第1段階はハードウエアの有無が戦況を左右し、双方が新しいタイプのドローン、ペイロード、弾薬に投資したが、次の段階はソフトウエアが焦点になるだろう。

  • 未来の戦争と新しい兵器
    新しい戦争はすでに具体化している

    マーク・A・ミリー、エリック・シュミット

    Subscribers Only 公開論文

    ウクライナ戦争が他のヨーロッパ地域へ拡大すれば、北大西洋条約機構(NATO)とロシアは、ともに地上ロボットと空中ドローンをまず投入することで、人間だけでは攻撃も防御もできない広範な前線をカバーすることになるだろう。すでに戦争の本質は変化している。イスラエル軍は、AIプログラム「ラベンダー」を使って、ハマスの戦闘員を特定し、彼らの自宅を爆撃している。人が攻撃の承認にかける時間はわずか20秒だ。最悪のシナリオでは、AI戦争は人類を危険にさらす恐れさえある。人間だけによる戦闘シミュレーションと比べて、AIモデルでは、核戦争を含めて、戦争が突然エスカレートする傾向があることがわかっている。

  • 再生したロシア軍
    戦闘経験から学習・応用へ

    ダラ・マシコット

    Subscribers Only 公開論文

    2022年にウクライナ侵攻を開始した当時、ロシア兵たちは与えられた任務に必要な訓練さえ受けていなかった。そもそも戦争で戦うことさえ知らされていなかった。指揮系統も正常には機能しなかった。だが、もはや、当時を前提に状況を捉えることはできない。すでにロシア軍は学習組織への変貌を遂げている。モスクワは戦闘経験を蓄積・分析し、そこから得た教訓を軍および国防エコシステム全体に拡散している。戦時経験を体系的に把握し、制度に組み込むとともに、戦後の軍改革につなげようとしている。AI意思決定システムとAI搭載兵器をどのように実戦配備するかの検討もすでに開始している。

デジタルマガジン

カスタマーサービス

平日10:00〜17:00

  • FAX03-5815-7153
  • general@foreignaffairsj.co.jp

Page Top