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安倍ビジョンと日本の安全保障
―― ナショナリズムと安全保障の間

ジェニファー・リンド ダートマス大学准教授

Why Shinzo Abe Thought Japan Had to Change: Will His Vision for a Stronger Country Outlive Him?

Jennifer Lind アメリカの日本研究者。ダートマス大学准教授、ハーバード大学ライシャワー日本研究所ファカルティアソシエート、英チャタムハウス・アソシエートフェロー。フォーリン・アフェアーズでは「日本の歴史認識と東アジアの和解を考える――反動を誘発する謝罪路線の危うさ」(FAR2009年5月号)、「中国が支配するアジアを受け入れるのか―― 中国の覇権と日本の安全保障政策」(FAR2018年3月号)などを発表している。

2022年8月号掲載論文

リベラル派は、安倍首相(当時)に日本の過去の暗黒部を直視して償うことを求め、保守派は、彼の国の誇りを重視する姿勢、軍事力増強と国際的安全保障活動への参加を強化しようする試みを称賛した。多額の債務を抱え、人口減少によって長期的に不利な経済状況に直面するなかで、日本は今後防衛費を増額させていくことになるだろう。それでも、現状は安倍元首相が掲げたビジョンからはかけ離れているし、実際に彼のビジョンにたどり着けるかどうかも、わからない。現実には、市民も多くの政治家も、中国がますます支配力を強めるアジアで(具体的な対策をとるのではなく)漫然とよい方向に進むことを願っているにすぎない。安倍は、安全保障議論を進めて国を導くことのできる知的枠組みと政治的洞察力を備えた数少ない指導者だった。その死が日本にとって悲劇的な損失であることは誰もが認めている。・・・

  • 復活した日本
  • 先見性と洞察力
  • ビジョンの政治家
  • ナショナリズムと安全保障の間
  • 日本にとっての悲劇的な損失

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