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2022年12月10日発売

フォーリン・アフェアーズ・リポート
2022年12月号

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フォーリン・アフェアーズ・リポート2022年12月号 目次

迫り来る嵐

  • ロシアの衰退という危険
    脅威がなくならない理由

    アンドレア・ケンドール・テイラー、マイケル・カフマン

    雑誌掲載論文

    ロシアのパワーと影響力が衰退しているとしても、その脅威が今後大きく後退していくわけではない。たとえプーチンが敗れても、ロシアの問題は解決されないし、むしろますます大きくなっていく。欧米は、この現実を認識し、ロシアがおとなしくなることへの期待を捨て、モスクワの標的にされているウクライナへの支援を続けなければならない。ロシアの脅威は変化するとしても、今後もなくならない。

  • レッドチャイナの復活
    習近平のマルクス主義

    ロバート・カプラン

    雑誌掲載論文

    習近平率いる中国は、共産党による政治・社会の統制時代へ回帰し、少数意見や個人の自由のための空間は小さくなっていくはずだ。経済政策も市場経済路線から国家主義的アプローチへ戻され、国際的現状を変化させることを目的とする、ますます強硬な外交・安全保障政策が模索されるようになるだろう。

  • 対中露二正面作戦に備えよ
    新しい世界戦争の本質

    トーマス・G・マンケン

    雑誌掲載論文

    アメリカが東欧と太平洋で二つの戦争に直面すれば、米軍は長期的なコミットメントを強いられる。今後に備えるには、アメリカの国防産業基盤を直ちに拡大・深化させる必要がある。部隊をどのように動かすかなど、新しい統合作戦概念も必要になる。(第二次世界大戦期同様に)多数の戦線、戦域における戦争という戦略環境のなかで、アメリカの軍事的焦点を、どのタイミングでどこに向かわせるかも考えなければならない。世界レベルでの軍事紛争を勝利に導くには、アメリカにとってその存在が不可欠な同盟諸国との調整と計画をもっと洗練していく必要がある。

  • 蘇るロシアの歴史的行動パターン
    プライドと大きな野望、そして脆弱なパワーという現実

    スティーブン・コトキン

    Subscribers Only 公開論文

    自らの弱さを理解しつつも、特別の任務を課された国家であるという特異な意識が、ロシアの指導者と民衆に誇りを持たせ、一方でその特異性と重要性を理解しない欧米にモスクワは反発している。欧米との緊密なつながりを求める一方で、「自国が軽く見られている」と反発し、協調路線から遠ざかろうとする。ロシアはこの二つの局面の間を揺れ動いている。さらにロシアの安全保障概念は、外から攻撃される不安から、対外的に拡大することを前提としている。この意味でモスクワは「ロシアが旧ソビエト地域で勢力圏を確立するのを欧米が認めること」を望んでいる。

  • 習近平の本質
    奢りとパラノイアの政治

    蔡霞

    Subscribers Only 公開論文

    習近平は中国の政治派閥のすべてから反発を買っている。彼が伝統的な権力分配構造を破壊したことに憤慨し、その「無謀な政策が党の将来を危うくしている」と考えているエリートは少なくない。民間企業を締め上げ、政策の細部にまで介入して民衆を苦しめる統治スタイルへの社会の反発も大きい。いまや、天安門事件以降初めて、中国の最高指導者は政府内部の反対意見だけでなく、激しい民衆の反発と社会騒乱の現実的リスクに直面している。今後、統治スタイルがさらに極端になれば、彼がすでに引き起こしている内紛は激化し、反発は大きくなる。習近平が脅威を感じ、大胆な行動に出れば、ますます反発が大きくなるという悪循環が生じるかもしれない。

  • そして「欧米と中露」の対立へ
    現状を規定する歴史の源流とは

    スティーブン・コトキン

    Subscribers Only 公開論文

    変化の源流は第二次世界大戦期にあり、冷戦期に流れは大きくなった。西側を基盤に戦後に形成された欧米の勢力圏が各国に繁栄と平和を提供しているのに対して、ロシアがウクライナで、中国がアジア地域およびアジアを越えて形成しつつある勢力圏は閉鎖性と強制を特徴とする。現在の中国は、外からの封鎖や制裁に耐えられるように、戦争を別とすれば、ナチス・ドイツや帝国日本が模索した戦略をとっている。プーチンが世界にロシア包囲網を築かれるなか、習近平はそうした努力をさらに強化していくはずだ。帝国は消えては現れるが、(経済・政治)ブロックは存続していく。だが、欧米は明確な優位をもっている。それは失敗から学べることだ。

  • ロシア対外問題行動の源泉
    辞任した外交官が振り返るロシア外交の欠陥

    ボリス・ボンダレフ

    雑誌掲載論文

    私がウクライナ侵攻で思い知ったことの一つは、それまでの20年間に目撃してきたことに大いに関係していた。ゆっくりとだが、政府が自らのプロパガンダにとらわれ、歪められてしまっていた。ロシアの外交官は長年、ワシントンに対決路線をとり、嘘とつじつまの合わない言葉を並べて、ロシアの対外的干渉を正当化するように強いられてきた。私たちは仰々しいレトリックを使って、モスクワに命じられたことをそのまま繰り返すように教育されていた。だが、最終的に、外国だけでなく、ロシアの指導部もこのプロパガンダに感化されるようになった。

  • 穏健化した欧州の右派ポピュリズム
    民主主義が勝利する歴史的理由

    シェリ・バーマン

    雑誌掲載論文

    「過激主義の政治集団が民主主義の大きな脅威になるかどうかは、それが登場した社会の本質に左右される」。民主主義の規範と制度が社会に力強く定着している社会では、反民主主義や過激主義をいくらアピールしても支持者はほとんど得られないために、急進派は穏健化せざるを得なくなる。効率的に民意を汲み取れる民主的社会において、反民主主義や急進主義が受け入れられる余地がほとんどないことは歴史が裏付けている。

  • 強大化した北朝鮮の核の脅威
    ―― 平壌の核ドクトリンと韓国、東アジア

    スー・ミ・テリー

    雑誌掲載論文

    金正恩は、2022年9月に、核の「先制使用」ドクトリンを公表した。核兵器で米本土を脅かす力をもっているだけではない。北朝鮮の核は、北東アジアで軍拡競争を引き起こす危険がある。問題は、北朝鮮の脅威が増大するなか、トランプ政権以降のアメリカの安全保障コミットメントが、かつてほど手堅くはないようにみえることだ。実際、北朝鮮の核攻撃によるアメリカの脆弱性が高まるなか、東アジアの同盟国がアメリカの「核の傘」に依存し続けられるかどうか、はっきりしない状況にある。

  • サウジの新しい世界ビジョン
    対米パートナーシップの終わり

    カレン・ヤング

    雑誌掲載論文

    もはやサウジはかつてのようなアメリカのパートナーではない。むしろロシアと組んで、石油市場への影響力とサウジの未来ビジョンを守ろうとしている。世界はエネルギー不安の時代に入りつつあるが、化石燃料需要は少なくともあと20年は続く。国際システムがますます流動化するなか、サウジは国際関係でこれまで以上に大きな役割を果たすことになるのかもしれない。

  • 日本の核ジレンマと国際環境
    能力も資源もあるが・・・

    マーク・フィッツパトリック

    Subscribers Only 公開論文

    反核感情の強い日本の科学者コミュニティが(政府による)核開発の要請に応じるとすれば、安全保障環境が大きく悪化した場合に限られる。そして、日本の政策決定者たちが核武装を真剣に考えるとすれば、韓国が核武装するか、ピョンヤンが現在の核の兵器庫を温存したままで朝鮮半島に統一国家が誕生した場合だろう。一方で、日本が核開発に乗り出せば、北京は軍備増強路線を強化し、北朝鮮による対日先制攻撃リスクを高めるかもしれない。

  • 強大化する中国の核戦力
    変化するパワーバランスと抑止

    アンドリュー・F・クレピネビッチ

    Subscribers Only 公開論文

    既存の2大核保有国と肩を並べることで、中国は核の三極体制という、きわめて不安定な核システムへのパラダイムシフトを起こしつつある。冷戦期とは違って、核軍拡競争のリスクが高まり、国家が危機に際して核兵器を利用するインセンティブも大きくなる。三つの核大国が競合すれば、二極体制の安定性を高めていた特質の多くが不安定化し、信頼性も低下する。中国がロシア同様に核大国の仲間入りすることをアメリカは阻止できないが、その帰結を緩和するためにできることはある。

  • 関係修復へと動いたロシアとサウジの思惑
    中東の影響力をめぐる攻防

    アンナ・ボーシェフスカヤ

    Subscribers Only 公開論文

    1932年の王国誕生以降、サウジアラビアとソビエト・ロシアは、中東におけるほぼすべての戦争や対立をめぐってことごとく別の立場をとってきた。しかし、2000年5月にロシアの権力者となったプーチンは、米サウジ関係の緊張をうまく利用しようと、2007年にリヤドを訪問した。プーチンはリヤドとの経済関係を強化し、アメリカと中東同盟国の関係に楔を打ち込みたいと考えている。

  • エネルギーの新地政学
    エネルギー転換プロセスが引き起こす混乱

    ジェイソン・ボルドフ、メーガン・L・オサリバン

    Subscribers Only 公開論文

    クリーンエネルギーへの転換がスムーズなものになると考えるのは幻想に過ぎない。グローバル経済と地政学秩序を支えるエネルギーシステム全体を再構築するプロセスが世界的に大きな混乱を伴うものになるのは避けられないからだ。予想外の展開も起きる。例えば、産油国は、転換プロセスの初期段階ではかなりのブームを経験するはずで、クリーンエネルギーの新しい地政学が石油やガスの古い地政学と絡み合いをみせるようになる。クリーンエネルギーは国力の新たな源泉となるが、それ自体が新たなリスクと不確実性をもたらす。

  • ウクライナ危機と新エネルギー秩序
    地政学・気候変動リスクと政府介入の拡大

    ジェイソン・ボルドフ、メーガン・L・オサリバン

    Subscribers Only 公開論文

    ウクライナ戦争が引き起こしているエネルギー危機は、各国の関心を「地政学的エネルギーリスク」に向かわせ、「今後の気候変動対策」と「現状でのエネルギーの必要性」間のバランスをわれわれに否応なく意識させている。仮に世界が戦略的エネルギーブロックの形成へ向かえば、この数十年におけるエネルギー市場のつながりは解体し始め、市場断片化へと向かっていく。注目すべきは、経済的ナショナリズムと脱グローバル化だけでなく、今後のエネルギー秩序が、最近では例のないレベルでのエネルギー部門への政府介入によって定義されるようになると考えられることだ。

Current Issues

  • ウクライナは冬を越せるのか
    欧米の支援疲れ、難民危機、電力不足

    メリンダ・ヘリング、ジェイコブ・ヘイルブラン

    雑誌掲載論文

    キーウが直面している問題は、資金不足だけではない。ロシア軍によるエネルギーインフラ攻撃で、ウクライナ全土で停電が起きている。・・・欧米は、資金援助、電力と暖房の復旧に必要な機器の提供、ウクライナのインフラをミサイル攻撃から守る防空システムの供与など、さまざまな対策をとることで、ウクライナがこの冬を乗り切れるように助けなければならない。ワシントンと同盟国がウクライナ支援に失敗すれば、今度はヨーロッパの別の戦場でプーチンと再び対峙することになる。

  • 右へ急旋回するイスラエル
    強硬派ネタニヤフの新路線は

    ダーリア・シェインドリン

    雑誌掲載論文

    イスラエルは、ネタニヤフをさらに右へと向かわせる「全面的右派」連立への道を歩んでいるようだ。現実にそうなれば、次の政権はイスラエル史上、もっとも極端な右派政権になるかもしれない。イスラエルは、政治的には右派多数派の専制、社会的には少数派である正統派と超正統派の専制というかつてない時代に入ろうとしている。・・・

  • ドル高の悪夢から逃れるには
    準備通貨を多様化すべき理由

    バリー・アイケングリーン

    雑誌掲載論文

    ドル高が進むと、中・低所得国のドル建て債務の重荷が増し、持続可能性が脅かされる。原材料価格もドル建てであるため、対ドルで通貨安になると資源輸入国のコストや物価が上昇し、この流れがインフレを誘発する。・・・長期的には、各国の中央銀行が外貨準備を多様化し、ドルからユーロ圏や中国あるいはより小規模な国の通貨へと取引を多様化することが解決策になる。そうすれば、各国は連邦準備制度理事会(FRB)という一国の中央銀行の決定に左右されにくくなる。

  • 気候変動と感染症
    温暖化と感染症リスクの拡大

    クレア・クロブシスタ、リンゼー・メイズランド

    雑誌掲載論文

    多くの研究が、気候変動と人獣共通感染症の脅威拡大との関連を指摘している。温暖化によってウイルスの宿主の生息域と数が拡大し、ヒトとの接触、感染経路が増えているからだ。この状況を受けて、近年では、人間、動物、自然環境のつながりを重視した公衆衛生の考え方、「ワンヘルス」という概念が広がりをみせている。・・・

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