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国防と安全保障に関する論文

紛争と人道的危機
―― イスラエル・ハマス戦争(10/17)

2023年11月号

クリスティーナ・ブーリ CFR リサーチ・アソシエーツ(中東研究)
ダイアナ・ロイ ライター・エディター www.cfr.org

ガザ住民の避難場所は限られている。イスラエルは封鎖の一環として、ガザとの2つの境界を閉鎖した。ガザとラファ検問所(国境)を共有するエジプトが唯一の避難先だ。しかし、アメリカや国連の要請にもかかわらず、エジプト政府は民間人のための避難回廊を設置することに消極的で、イスラエルの空爆によってラファはすでに機能不全の状態にあるとしている。「もはや、食料、電気、燃料を気にしている段階ではない」と人道支援団体パレスチナ赤新月社のスポークスマン、ネバル・ファルサフはAP通信に語っている。「今心配なのは、生き残れるかどうかだ」

大いなる誤算
―― ガザ侵攻というイスラエルの間違い(10/14)

2023年11月号

マーク・リンチ ジョージ・ワシントン大学 教授(政治学)

ガザ侵攻は、人道的、道徳的、戦略的な大惨事を引き起こすことになるだろう。イスラエルの長期的な安全保障を損ない、パレスチナ人に計り知れない人的ダメージを強いるだけでなく、中国との競争におけるアメリカの核心的利益さえも脅かす。作戦を先に進めるイスラエルの動きは、国際社会の激しい批判にさらされる。しかも、この紛争は、新たなパレスチナ人の強制移住の引き金となる恐れがあるし、ガザ侵攻はヒズボラを行動に駆り立てるレッドラインになるかもしれない。イランについては、これまでのところ、アメリカもイスラエルも自制的な立場をとっているが、長期化する戦争のダイナミクスが何を引き起こすは分からない。戦争が長引けば、世界はイスラエル人とパレスチナ人の犠牲者の映像を目の当たりにし、さらに予期せぬ混乱の事態に直面することになるかもしれない。

機能不全のアメリカ
―― 中露を抑止できるのか

2023年11月号

ロバート・M・ゲーツ 元米国防長官

アメリカは、ひどく危険な状況にある。攻撃的な敵対国に直面しつつも、相手を思いとどまらせるのに必要な団結と強さを結集できずにいる。米市民は内向きになり、議会は言い争い、大統領もアメリカの役割について十分な説明をしていない。習近平やプーチンのような指導者をうまく抑止するには、確固としたコミットメントと一貫した対応を示さなければならない。だが現実には、機能不全がアメリカのパワーを不安定で信頼できないものにしている。リスクを冒しやすい独裁者を、潜在的に壊滅的な事態をもたらす、危険な賭けに向かわせようとしている。・・・

追い込まれたエルドアン
―― トルコへの毅然たる新アプローチを

2023年11月号

ヘンリ・J・バーキー リーハイ大学教授(国際関係論)

「強い反応を示せば彼の挑発に乗ることにならないか」。ワシントンはこれまでエルドアンの挑発にどう対応するかに苦慮してきた。だが、ますます支離滅裂な即興路線をとり、トルコ経済の運営を見誤ったことで、ついに彼も追い詰められている。ほぼ間違いなく、トルコ経済は、国際通貨基金(IMF)の支援を求めざるを得なくなるし、大惨事を回避するには、アメリカから援助を求めざるを得なくなる。一貫して毅然と行動することで、アメリカはトルコとの新たな関係を築くことができる。イタリアやポルトガルとの関係に近い、正常な関係をトルコとの間で構築しなければならない。そのチャンスをつかむ必要がある。

イスラエルがガザに侵攻すれば
―― ヒズボラ、西岸、イラン(10/9)

2023年11月号

ブルース・ホフマン 米外交問題評議会シニアフェロー(テロ、テロ対策担当)

ヒズボラとハマスとの長年のつながり、そしてヒズボラとハマスをともに支えるイランがこれらのテロ集団を存続させることに大きな関心をもっていることを考えると、イスラエルがガザへの地上戦を開始した場合、ヒズボラは基本的に自らの意思だとしても、完全にイランの意向に同調して、イスラエルとの戦争に参戦する可能性が高い。この場合、その帰結は非常に大きなものになる。さらに、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ武装勢力はいつ行動を起こしてもおかしくなく、イスラエルが大規模な地上攻撃を試み、ガザを再占領すれば、そのリスクは一気に高まるだろう。この場合、別の疑問が生じる。三正面戦争に直面した場合、イスラエルは、テヘランがその手下に攻撃を控えるように求めることを期待して、イランをターゲットにして圧力を高める行動をとるだろうか。

ハマスのイスラエル攻撃
―― イランの関与レベルは(10/8)

2023年11月号

レイ・タキー 米外交問題評議会シニアフェロー

サウジ・イスラエルの関係正常化が実現すれば、湾岸地域が対イランでまとまる危険があり、テヘランはそのような合意を阻止しようと躍起になっていた。イスラエルとイランの水面下での戦争はしばらく前から展開されてきた。革命防衛隊コッズ部隊のトップ、エスマイル・カアニ将軍が、ハマスの代表を含む過激派と会合を開き、イスラエルへの攻撃を調整するように促したとも報じられている。イスラエルも、イランの高官や科学者、シリアで活動するイラン系民兵組織を攻撃のターゲットにしてきた。一方で、(イランが支援する)ヒズボラの活動、レバノンに紛争が飛び火するかが、ワイルドカードとみなされている。・・・

台湾海峡で中国を抑止するには
―― アメリカの能力と決意を示せ

2023年11月号

デビッド・サックス 米外交問題評議会フェロー
イヴァン・カナパシー 元国家安全保障会議 ディレクター

いまや、外交は綻びをみせ、抑止力は形骸化している。しかも、中国のリスク許容レベルは高まり、台湾海峡における不安定化要因は増える一方だ。ワシントンは、対中抑止力が低下していることを認識した上で、武力行使が破滅的な結果を招くことを習近平に理解させるために、さらなる措置を講じなければならない。そのためには、北京との摩擦が大きくなることを受け入れ、台湾の戦闘能力を高め、台湾軍の訓練や米軍アドバイザーの派遣を含めて、台湾のために軍事介入するアメリカの能力と決意を示さなければならない。アメリカとパートナーは、武力行使が解決策にはならないことを中国に認識させる必要がある。

台湾がとるべき道
―― 対話による戦争回避を

2023年11月号

侯友宜 台湾国民党 総統候補

国民党の北京へのアプローチは、中国による武力行使への反対に留まるものではない。非対称戦争能力を慎重に強化し、完成させる一方で、中国との誤解をなくして、いかなる危機も両岸の対話を通じて解決していくことにある。平和には対話も必要であり、私は中華民国の憲法と法律に則したやり方で、北京との建設的な交流を試みるつもりだ。台湾海峡とインド太平洋地域の安定を維持するために、抑止(Deterrence)、対話(Dialogue)、ディエスカレーション(De-escalation)という「三つのD」戦略を私は提案する。

流動化したロシア政治
―― プーチン体制の衰退と新タカ派の台頭

2023年10月号

タチアナ・スタノバヤ カーネギー国際平和財団 ロシアユーラシア・センター シニアフェロー

モスクワは疲弊し、プーチンは内部抗争に対処できずに孤立している。人々は反乱を前にしても無気力な対応を示す政府に困惑し、エリートたちは再び体制が脅かされれば逃げだそうと考えている。戦争はロシアを変化させた。プーチン体制、エリートのプーチンへの認識、この戦争への民衆の態度などに、大きな変化が生じている。もちろん、プーチン体制が否定され、現体制が崩壊するとは限らない。それでも、現在の流れは、ロシアをはるかにまとまりのない国、つまり、内部矛盾と紛争にあふれ、より不安定で先のみえない国に変化させている。プーチンが築き上げた国内秩序は一段と揺らぎ、世界はより危険で、予測不可能なロシアと対峙することになるだろう。

新時代の米台関係
―― 中国にどう対処するか

2023年9月号

スーザン・ゴードン 共同議長
マイケル・マレン 共同議長
デビッド・サックス プロジェクト・ディレクター

アメリカの台湾政策を、「現状に不満を募らせ、能力を高め、強硬になり、リスクを許容する中国」に対処できるように進化させなければならない。世界で経済的にもっとも重要な地域の未来は、アメリカが中国を抑止し、台湾海峡の平和を維持することに成功できるかにかかっている。中国が台湾を併合し、水中監視装置、潜水艦、対空防衛部隊などの軍事資産を現地に配備すれば、この地域における米軍の活動は制限されるし、アジアの同盟国を防衛する能力も制約される。つまり、アメリカの政策立案者は、中国が台湾を攻略すれば、台湾だけでなく、第一列島線の未来や、西太平洋全域へのアメリカのアクセスと影響力を維持する能力が危機にさらされることを理解する必要がある。

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