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国防と安全保障に関する論文

いまこそイランを軍事攻撃するタイミングだ
―― 封じ込めは最悪の事態を出現させる

2012年2月号

マシュー・クローニッグ
前米国防長官室ストラテジスト

アフガンとイラクでの戦争がやっと幕引きへと向かい始め、米財政が苦しい状況に追い込まれるなか、アメリカ人はさらなる紛争など望んではない。しかし、イランの核開発が成功した場合に何が起きるかを考えれば、状況を傍観することは許されない。イランの核施設に対する慎重に管理された空爆作戦をいま実施した方が、核武装したイランを数十年にわたって封じ込めるよりも、はるかにリスクは小さくて済む。実際、現状を放置して核武装を許し、核を持つイランを封じ込めていくのは最悪の選択肢だ。イランが核開発に向けた進展を遂げている以上、「通常兵器による攻撃か、将来における核戦争の可能性か」のいずれかを選ばざるを得ない状況にある。ワシントンは、イランの核施設に対する空爆を実施し、イランの報復攻撃を受け止めた後、危機を安定化へと向かわせる戦略をとるべきだ。現在、危機に正面から対処すれば、将来においてはるかに危険な事態に直面するのを回避できるだろう。

CFRインタビュー
イランはすでに核弾頭を搭載できるミサイルを保有している

2012年1月号

マイケル・エルマン 英国際戦略研究所シニアフェロー

イランは、アメリカ(やイスラエル)と湾岸諸国に対して、自国が攻撃されれば相手に大きなダメージを強いる能力を持っていることをアピールしたいと考えている。これが、ホルムズ海峡封鎖の警告を含む、最近におけるイランの一連の行動と過激な発言の真意だと思う。2003年以降もイランが核兵器の開発を試みているか?その動かぬ証拠を公的文書に見いだすことはできないが、イランが湾岸地域の都市やイスラエルを脅かせる弾道ミサイル領域でかなりの進展を遂げているのは間違いない。そうしたミサイルには、これまでイランが独自に開発に取り組んできた2段式固体燃料型のセッジール2ミサイルも含まれ、このミサイルはいまや配備できる状態にある。セッジール・ミサイルを設計した当時からイランが核弾頭の搭載を想定していたかどうかはわからない。だが、状況からみれば、セッジール・ミサイルの開発は核兵器の獲得を前提に進められたと考えてもおかしくはない。

イランへの軍事攻撃か、 核武装と核戦争のリスクを受け入れるか

2011年12月号

エリック・S・エデルマン 元米国防次官
アンドリュー・F・クレピネビッチ 米戦略予算分析センター会長
エヴァン・ブラデン・モントゴメリー 米戦略予算分析センター リサーチフェ

核分裂の連鎖を引き起こす中性子発生装置など、核兵器生産に必要な、さまざまなパーツの生産をイランが試みていたことが今回のIAEAリポートで明らかになった。すでにテヘランはウラン濃縮を進め、兵器級ウランを生産できる低濃縮ウランの備蓄を増やしている。つまり、IAEAの分析が正しいとすれば、イランは数カ月で核兵器を生産できるようになる。仮にイランが核武装して中東が核時代に突入すれば、そこに出現する核秩序は非常に不安定なものになる。(イランが数発の核弾頭を獲得しても、イスラエルは100―200の核弾頭をすでに保有しており)こうした核戦力の規模の違いゆえに、何らかの危機が起きれば、双方は相手に先制攻撃をかける大きなインセンティブをもつようになるからだ。・・・アメリカは程なく、イランの核武装化を阻むために軍事力を行使すべきか、それとも、核武装したイランと地域的核戦争というリスクを受け入れるかという困難な選択に直面することになる。

CFR Interview
アメリカは変化するアジアの戦略環境にどう関わるか
――経済と安全保障のバランス

2011年12月号

エヴァン・フェイゲンバーム  米外交問題評議会アジア担当シニア・フェロー

アジア諸国の経済利益と安全保障利益が次第に衝突しつつある。安全保障領域ではアメリカが依然として重要な役割を果たしているが、経済領域ではいまや中国が地域的中枢を担い始めている。アジアの経済と安全保障の間に生じているこの不均衡が、これまでとは異なる戦略環境を作り出し、これがアメリカとアジア諸国の双方に大きな課題を作り出している。問題は、中国が愚かにもこれらの諸国を往々にして不安にさせる行動をとっていることだ。このために、アジア諸国は、経済的には中国に多くを依存しつつも、安全保障領域ではアメリカへの依存を高め、経済と安全保障のバランスをいかにとっていくかに苦慮している。一方、アメリカにとっての課題は、安全保障の後見役を果たしつつも、アジアにおける経済のゲームの中枢にいかにして身を置くかだ。交渉が続けられている環太平洋パートナーシップ(TPP)のような地域的貿易合意が重視されているのは、まさにこの理由からだ。・・・重要なポイントは、アジアの安全保障が安定していなければ、アメリカがそこから経済利益を引き出すこともできなくなり、そして、アメリカ抜きでは、アジアの安全保障が成立しないことだ。

漂流する日本の政治と日米同盟

2011年9月号

エリック・ヘジンボサム ランド研究所シニア・ポリティカルサイエンティスト
エレイ・ラトナー ランド研究所アソシエート・ポリティカルサイエンティスト
リチャード・サミュエルズ マサチューセッツ工科大学教授

もはや日米関係が未来を明確に共有しているとは言い難い。改革によって(官僚主導から政治主導への)制度上の明確な権限移譲が実現するどころか、むしろ政治家の抗争、政治家と官僚の抗争が誘発され、その結果、権力の空白が生じ、政府の政策決定能力が損なわれている。これが日米関係、日米同盟にとって何を意味するかを考えなければならない。アメリカは日本に国益を有しているし、日本が困難な状況に陥った場合には、手を差し伸べる道義的な責任も負っている。だが、日本の先行きは依然として不透明で、しかも、いまや国防予算削減の時代にある。ワシントンはアジアにおける重要な目標を定義し、それに応じて資源を振り分けていくことを考えるべきだ。日米同盟を守っていくのが最優先課題でなければならないが、ワシントンは他の地域的なパートナーとより緊密に協力していく態勢を整えておくべきだろう。

CFRミーティング
アジアの米軍基地再編と沖縄
―― 普天間移設問題に関する米議会の立場

2011年8月号

ジム・ウェッブ 米上院外交委員会東アジア・太平洋小委員会 委員長、元米海軍省長官

何年もかけてまとめた外交合意を変更するには、具体的な代替策が必要になる。そこで、私とレビン上院議員が(普天間の移設問題に)介入した。われわれはグアム、沖縄、東京で、米軍及び相手国・現地の関係者から意見を聞いた。その後、まとめた提言では、普天間の海兵航空隊機能を嘉手納空軍基地に移して統合すれば、手詰まり状況を打開し、よりタイムリーにコスト面でもより効率的に問題に対応できると指摘した。われわれは嘉手納空軍基地の規模の削減も提言したが、この点は日本のメディアではほとんど報道されなかったようだ。嘉手納基地から削減される戦力を、日本における他の空軍基地、現状では機能の半分も使用されていないグアムのアンダーソン空軍基地に移すこともできる。(ジム・ウェッブ)

中国の意図は何か

2011年8月号

アンドリュー・ネーサン コロンビア大学政治学教授

「悲劇的な紛争を回避するには、アメリカは中国の台頭を悠然と受け入れるべきだ」。こう主張するヘンリー・キッシンジャーは、中国外交を高く評価している。アメリカが外交を取引とみなしているのに対して、中国は外交を心理学でとらえ、外国からのゲストを恐れさせ、不快にするか、あるいは、中国側の富、寛大さ、冷静さを見せつけることで、相手がすり寄ってくるように仕向けるとキッシンジャーは指摘する。一方、フリードバーグは、中国の意図は、「東アジアにおける支配的なパワーとしてのアメリカに取って代わり、おそらくは、アメリカを東アジア地域から締め出す」ことにあるとみなし、アメリカに好ましいパワーバランスを維持することで、中国の台頭に対する一定の境界線を引くべきだと主張している。二人の立場は、共和党主流派内における対中戦略の亀裂を見事に浮き彫りにしている。だが、いずれにしても、中国にはアメリカをアジアから締め出せるような力はない。そうなるとすれば、アメリカがアジアからの全面撤退を決意した場合だけだろう。・・・

「カダフィを権力ポストから追放するというアメリカの政策目的」と「それを実現するために進んで何をするか」の間に大きなギャップが存在する。このため、アメリカ政府は大きな混乱に直面している。短期的には目的を引き下げて、状況を安定化させるしかない。停戦を強く求めるべきだし、これ以上多くの人命が失われないように手をつくす必要がある。このためなら、当面、カダフィが権力ポストに居座り続けるのを認め、この間、リビアが短期的に二つに分断されることになっても仕方がないだろう」(R・ハース)

イラン核武装の脅威と封じ込めの限界
―― イラン、イスラエル、サウジによる核秩序の危うさ

2011年3月号

エリック・S・イーデルマン 前米国防次官
アンドリュー・F・クレピネビッチ 戦略予算評価センター(CSBA)会長
エバン・ブラデン・モントゴメリー CSBAリサーチフェロー

イランが核開発に成功した場合に、短期的にもっとも心配しなければならないのは、イランとイスラエルの対立が激化し、両国がともに相手に対する核の先制攻撃を試みる危険があることだ。長期的には、サウジその他の中東諸国が独自の核開発を模索するようになり、核の軍拡レースが生じ、地域秩序を大きく不安定化させるかもしれない。この場合、中東にはイラン、イスラエル、サウジという三つの核保有国が誕生する可能性が高く、この複雑で不安定な核秩序のなかで、イラン封じ込めを成功させるのは容易ではない。現状で必要なのは、外交努力を強制力で支え、拡大抑止レジームの基盤を築き、軍事キャンペーンが最後に残された妥当な選択肢となった状況でそれを選択できるように、中東に展開する空軍力と海軍力を増強しておくことだ。

アジアは多極化し、中国の覇権は実現しない

2010年12月号

キショール・マブバニ シンガポール国立大学行政大学院院長

アジアの国際環境は多極化していく。中国が台頭しているとはいえ、誰もがアメリカがアジアでの強固なプレゼンスを維持していくことを願っているし、インドもパワーをつけて台頭しているからだ。この環境では、中国は地政学的に非常に慎重な行動をとらざるを得ない。中国にとっての悪夢のシナリオは、あまりに高圧的な路線をとって反発を買い、アメリカ、日本、ロシア、インド、さらにはベトナム、オーストラリアを結束させてしまうことだ。当然、中国はこの悪夢のシナリオが現実と化すのを避けようとするだろうし、自国の行動をもっと慎重に考えるようになると思う。誰もが唯一の超大国として中国が台頭してくるのではないかと心配しているが、私はそうはならないと考えている。(K・マブバニ)

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