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権威主義体制の台頭に関する論文

激変する欧州安全保障構造
―― ロシアのウクライナ支配がヨーロッパを変える

2022年4月号

リアナ・フィックス  ジャーマン・マーシャル財団 レジデントフェロー  マイケル・キメージ  カトリック大学 教授(歴史学)

ロシアがウクライナを支配するか、広く不安定化させれば、米欧にとって困難な新時代が始まる。ヨーロッパにおけるアメリカの優位は制約され、ヨーロッパは、EUやNATOの中核メンバーしか守れなくなり、加盟国以外の国は孤立する。米欧の指導者たちは、欧州安全保障構造の見直しとロシアとの大規模な紛争を回避するという二つの課題に直面し、いずれにおいても、核武装した敵と直接対決するリスクを考慮しなければならなくなる。アメリカと同盟国は、ウクライナでのロシアの軍事行動の結果、新たな欧州安全保障秩序を構築するという課題に十分な準備ができていないことを認識することになるだろう。欧米はロシアを過小評価してはならない。希望的観測に基づくストーリーに依存すべきではない。

ウクライナ侵攻というプーチンの大きな誤算
―― ウクライナ民衆の決意を支えよ

2022年4月号

チャールズ・A・クプチャン  米外交問題評議会シニアフェロー(ヨーロッパ担当)

プーチンの攻撃的で拡張主義的な野心を明らかにした今回の侵攻は、軍事的境界で分断されるヨーロッパへと時計の針を巻き戻すことになるかもしれない。ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキアのNATO4カ国はウクライナと国境を接しており、新たな脆弱性に直面する危険がある。ロシアの侵攻が欧米と中ロブロックとの冷戦2.0を引き起こすことも考えられる。しかし、北京がモスクワと距離を置くようになる可能性もある。プーチンは物理的な意味でウクライナ支配を再び確立するかもしれないが、政治的、道徳的な意味での支配は実現できない。「誰がウクライナを失ったのか」というロシア人の質問への答えはプーチンということになるだろう。

北朝鮮危機と台湾有事
―― 半島危機と台湾有事のリンケージ

2022年3月号

ソンミン・チョ 米国防総省 アジア太平洋安全保障研究センター 教授 オリアナ・スカイラー・マストロ  スタンフォード大学 国際問題研究所センターフェロー

北朝鮮がアメリカとその同盟国をミサイル発射で挑発したタイミングで、中国が他の地域で行動に出る恐れがある。すでにそのリスクは高まっているのかもしれない。中国と競い合っているアメリカにとっては特に深刻なダメージになるだろう。戦略的競争の時代にある現在、朝鮮半島、東シナ海、台湾海峡は、良くも悪くも、ますます関連性とリンケージを高めている。こうした安全保障環境の変化に対応するには、日米韓の戦略家がこれらの問題をパッケージ化して捉え、対応策を考案しなければならない。金正恩や習近平を牽制するには、必要なら二つの戦争を同時に戦い、その双方に勝利できることを立証する必要がある。

アメリカは台湾をめぐる戦争で敗北する軌道にある。だが今からでも路線を見直せる。既存のすぐに手に入る軍事資源の分配を見直し、より効率的な計画を立て、重要な同盟関係をうまく生かせば、アメリカは早ければ2020年代の半ばまでには、台湾をめぐる戦争を阻止し、必要であれば相手に勝利する能力を手に入れているはずだ。中国共産党の自制心や10年以上先にならなければ利用できない技術に賭けるのではなく、アメリカの議会と政府は、新たな太平洋防衛戦略を遂行しなければならない。「バトルフォース2025」を新たに構築すれば、アメリカとその同盟国は、中国の侵攻を短期的に抑止し、必要に応じて撃退できるようになる。

機密情報公開のリスクと恩恵
―― 情報公開と抑止の微妙なバランス

2022年3月号

ダグラス・ロンドン 元CIA秘密情報部上級作戦担当官

米英は、ロシアのウクライナ攻撃の可能性を示唆する機密情報を次々と世界に公表してきた。機密情報を公開すれば、相手の行動をある程度抑止できるかもしれないし、情報を利用してイベントを形作ることもできるかもしれない。だがこのやり方は、アメリカの情報活動についての洞察を敵に与え、相手が機密保持態勢を強化する恐れもある。ワシントンがロシアの行動と意図を明らかにすればするほど、プーチンが逃げ口上を使って面目を保つのは難しくなるのは事実だろう。だが、それにも限度がある。バイデン政権は、大きな暴露が強いインパクトを与えるだけでなく、自らの手を縛ることにならないように注意すべきだろう。

ロシアの意図とアメリカの対応
―― 軍事攻撃で何が起きる

2022年3月号

アレクサンダー・ビンドマン  元国家安全保障会議欧州担当部長 ドミニク・クルーズ・バスティロス  ローフェア研究所のリサーチアソシエイト

プーチンの目的は、ウクライナの軍事力を疲弊させ、キエフを混乱に陥れ、最終的にウクライナを破綻国家にすることだ。プーチンがそう望むのは、ウクライナが手に負えない敵となり、次第にロシアの安全保障上の深刻な脅威となっていく危険をこの段階で摘みとっておきたいと考えているからだ。冷戦後の欧州安全保障構造の解体も模索している。バイデンはすでに「私の推測では、プーチンは侵攻してくる」とコメントしている。ウクライナで大規模な武力衝突が起これば、大惨事になる。世界は、第二次世界大戦以降の欧州で、最大規模の軍事攻撃が起きるかどうかの瀬戸際に立たされている。

プーチン・ドクトリンの目的
―― 勢力圏の確立とポスト冷戦秩序の解体

2022年3月号

アンジェラ・ステント ブルッキングス研究所 非常駐シニアフェロー

「欧米は30年にわたってロシアの正統な利益を無視してきた」。この確信がプーチンの行動を規定している。近隣諸国、旧ワルシャワ条約機構加盟国の主権上の選択を制限するロシアの権利を再び主張し、そうした制約を課すロシアの権利を欧米に認めさせることを彼は決意している。要するに、ロシアのことを、近隣地域に特別な権利をもち、あらゆる重大な国際問題について発言権をもつ、尊敬し、畏怖すべき大国として接するようにさせることが大きな狙いだ。プーチン・ドクトリンは、世界の権威主義政権を擁護し、民主主義国家を弱体化させることも意図している。ソビエト崩壊という結末を覆し、大西洋同盟を分裂させ、冷戦を終結させた地理的解決策を再交渉すること。これがプーチンの包括的な目的だ。

習近平が描く新世界秩序
――「中国の夢」を阻む最大の障害

2022年2月号

エリザベス・エコノミー  スタンフォード大学フーバー研究所  シニアフェロー

「東の世界が台頭し、西洋は衰退している」と主張する北京は、「世界は習近平のビジョンを受け入れている」と考えているようだ。しかし、中国モデルを採用することに派生する政治・経済コストが明らかになるにつれて、多くの国は習近平構想にあまり興味を示さなくなっている。全人代で「世界は中国のためにある」と確信しているかのような自信を彼はみせつけたが、そのような過信が仇となって、中国がその対外行動ゆえに外国で反発を買っていることに中国の指導者は気づいていないのかもしれない。習近平が成功できるかは、そうした世界の反発に対応できるかに左右される。そうできなければ、さらに誤算を重ね、彼が考えるのとは別の方向に世界秩序を変えることになるのかもしれない。


エルドアン時代の終わり?
―― 権威主義者をいかに退場させるか

2022年2月号

ソネル・カガプタイ  ワシントン近東政策研究所 シニアフェロー

2022年にはトルコのインフレ率は20%を超えると予想されており、もはや経済が好転する見込みはなくなりつつある。しかも、野党のリーダーたちは、エルドアンを倒すために2023年の選挙に向けて連帯することを約束している。これまで政治腐敗に手を染め、権力を乱用してきただけに、ひとたび権力ポストを追われれば、エルドアンは起訴される可能性が高く、それだけに大統領の座を維持するためにあらゆることを試みるだろう。公正な投票を妨害したり、投票結果を無視したりするかもしれない。トルコの民主主義の根幹を揺るがすことなく、スムーズな政権交代をいかに実現するか。これが、いまやこの国の切実な課題だろう。

ウクライナ危機の本質
―― モスクワの本当の狙い

2022年2月号

アンジェラ・ステント ブルッキングス研究所 シニアフェロー

ロシアによる国境地帯への戦力増強は、ワシントンの関心を引くことだけが目的ではない。キエフへの圧力を高めることで、ウクライナ近隣のヨーロッパ諸国を不安にさせ、ロシアの真の目的がどこにあるのかをアメリカに憶測させることも狙いのはずだ。実際、モスクワの意図を曖昧にすることが、実は目的なのかもしれない。ロシアの高官たちはこれまでも、その動機を隠し、敵やライバルに絶えずその意図を憶測させる「戦略的曖昧性」を創り出そうと試みてきた。だが、こうした曖昧さゆえに、ロシアの意図を読み違え、米欧が対応を誤るリスクは高まる。・・・

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