パラノイア思考に陥ったプーチン
―― 孤立と妄想とエスカレーションリスク
2022年4月号
ロシアのウクライナ戦争がかくも失態続きである最大の理由は、ロシアのプーチン大統領が、軍事計画を親しいアドバイザーにさえぎりぎりの段階まで話さなかったことにあるようだ。すでにひどくパラノイア(偏執・妄想症)化していた彼は、自分の意図を悟られぬようにすることに執着し、侵攻のタイミングと規模を軍と国家安全保障会議の高官たちにさえ知らせなかった。しかも、思い通りに進まぬ作戦を前に、いらだち紛れにさらにエスカレーション策をとる恐れがある。一方、欧米も未知の領域に足を踏み入れている。ロシアがアメリカの重要なインフラを標的にサイバー攻撃を試みれば、さらなる経済制裁やサイバー空間での反撃が必要になるかもしれない。しかし、それが何を意味するかを考えるべきだ。ロシアを支配しているのが、孤立したパラノイアの指導者で、すでに大きな誤算を繰り返している人物であることを忘れてはならない。
