新興市場のための自助ガイド
1999年4月号

一九九七年以来、世界各地を襲っている金融危機は、今後も間違いなく起こる。「死と税金から人間が逃れられないように、世界は国際経済危機から逃れられない」のだ。しかも、最後の貸手である国際通貨基金(IMF)のやり方では、うまくいかないことはすでに自明であり、韓国はその具体例である。細かな条件をつけた、小出しの救済パッケージでは、危機克服に必要とされる短期的信頼を回復できない。幸い、経常収支の赤字、短期借り入れの肥大化など、新興市場国で通貨危機を起こす犯人はわかっているし、その連鎖のメカニズムも大筋で判明している。端的に言えば、新興市場諸国にとっての悪夢である取りつけ騒ぎまがいの通貨危機に対する防波堤は、外貨準備など、流動性を増す以外にない。「大規模な外貨準備、外貨融資へのアクセスなど、大量の国際的流動性を持つ国は、通貨投機の対象にはなりにくい」のだ。知恵を絞るべきは、新興市場諸国がいかにして流動性を増すかである。