金融新秩序構築への八項目提案
1999年10月号

ここに示す新金融秩序構築の提案意図は、危機の発生を減らし、その悪影響を緩和することはもちろん、投機に直接かかわっているわけでもないのに金融・通貨危機のダメージをもろに受けてしまう数多くの無実な人々を守ることにある。大切なのは、実行可能な改革に的を絞った現実的なプランを速やかに実施することだ。とりわけ重要なのは、通貨ペッグ制をやめて変動相場制へと移行し、必要以上の外貨借入を回避する仕組みを構築することだ。さらに、危機に見舞われた新興市場に一律に緊縮財政の実施を求めるIMFの姿勢を変えるような客観的で柔軟な基準の導入を目指した改革も必要である。変動相場制へと移行し、ここで提起したIMF改革を実施すれば、緊縮財政と金融引き締めの必要性そのものが低下するはずである。その結果、社会保障支出がひどく圧迫されることもなくなり、危機に見舞われた諸国の貧困者や失業者の窮状を緩和できる。現実主義に徹し、新金融秩序の構築を急がなければならない。危機が発生し、絶望的な貧困に打ちのめされている人々を前に、完璧な秩序の構築が完成するまで待ってほしいと頼むことなどできないのだから。