ロシア政府の高官や政府に近い専門家の多くは、昨今における欧米の行動を非常にシニカルにみている。「ワシントンは、エジプトでの影響力を確保しようと古くからの同盟パートナーであるムバラクを見限り、石油契約を維持するためにリビアとの戦争に関与し、アメリカの第五艦隊の基地が存在するという理由でバーレーンへのサウジ介入に見て見ぬふりをした。そしていまや、イランからアラブ世界における唯一の同盟国をとりあげようと、シリアのアサド政権を倒そうとしている」。ロシアはこれらの戦争に直接的な利害は持っていない。だが少なくとも、危険で根拠を失いつつあるかにみえるアメリカの地域戦略の尻馬に乗りたいとは考えていない。・・・モスクワのシリアへの態度は、最近におけるリビアの運命、シリアの反体制派に対する不信、そして、アメリカの意図に対する懸念によって規定されている。
