マクロンとル・ペン
―― 仏大統領選の行方
2017年5月号

フランス大統領選挙の決選投票に進むと考えられているのは、これまで一度も政府に参加したことのない政党の候補たち、つまり、国民戦線のマリーヌ・ル・ペンと「前進!」のエマニュエル・マクロンだ。共和党公認のフランソワ・フィヨンは、公的資金乱用のスキャンダルによって、党内でも支持を失いつつある。現政権党の社会党候補のブノワ・アモンも、真剣に考慮すべき候補とは考えられていない。マリーヌ・ル・ペンが手堅い支持を得るなか、社会党や共和党の両方の政治家は公然とマクロンに歩み寄っていく可能性が高いが、社会党政権の元経済相であるマクロンに対しては、主要両党の議員たちが大きな不信感をもっているのも事実だ。マクロンがヨーロッパを支持しているのに対して、ル・ペンはEUからもNATOの統合軍事コマンドからも脱退した方が良いと考えている。だが、フランスにとって最大の問題は、どちらが選ばれるにせよ、政治を運営していく能力があるかどうか、だろう。・・・