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2024.9.17 Tue

米大統領選挙と外交 part 2
―― アメリカと東アジア

「アメリカは、核兵器を含む、あらゆるパワーを用いて、同盟国の領土と主権に対する外からの攻撃を抑止し、必要なら、相手を打倒する」。ワシントンはこの安全保障コミットメントを守れるのか。東京やソウルを守るために(北朝鮮を攻撃して)、アメリカの都市が核攻撃の対象にされるリスクをワシントンは本当に引き受けるのか。(カッツ、ジョンストン、チャ)

オーストラリア、日本、韓国という緊密な同盟国を含む、インド太平洋におけるすべての米同盟国は、トランプ二期目が新たな問題を突きつけてくる事態にもっと危機感をもつべきだ。トランプは、バイデン政権とアジア諸国がまとめた防衛、経済・貿易構想の再交渉を求めるか、解体を試みるかもしれない。(チャ)

ワシントンは中国に対して、(軍備管理に関する)中身のある交渉に建設的に参加するか、あるいは、東アジアでアメリカが支援する核軍備の大規模な増強という事態に直面するか、という困難な状況にあることを理解させなければならない。中国の指導者たちが軍備管理交渉を拒否するようなら、ワシントンは(核保有国が同盟国と核兵器を共有する)核共有制度について、ソウルや東京と協議を開始することもできる。(ネルソン、ヨー)

東アジアの新戦略環境と同盟関係
―― 同盟国の不安にどう対処するか

2023年3月号 カテリン・フレーザー・カッツ 元米国家安全保障会議ディレクター クリストファー・ジョンストン 前米国家安全保障会議ディレクター ビクター・チャ 元米国家安全保障会議ディレクター

「アメリカは、核兵器を含む、あらゆるパワーを用いて、同盟国の領土と主権に対する外からの攻撃を抑止し、必要なら、相手を打倒する」。ワシントンはこの安全保障コミットメントを守れるのか。東京やソウルを守るために(北朝鮮を攻撃して)、アメリカの都市が核攻撃の対象にされるリスクをワシントンは本当に引き受けるのか。同盟諸国は疑念を払拭できずにいる。いまや韓国人の70%以上が核武装を支持し、50%以上が米軍の戦術核の再配備を求めている。日本でも80%以上が中国、北朝鮮、ロシアを軍事的脅威とみなしている。不安を募らす東京とソウルを安心させるために、ワシントンはどのように対処すべきなのか。

アジアとトランプの脅威
―― 不安定化リスクにどう備えるか

2024年8月号 ビクター・チャ ジョージタウン大学教授(政治学)

オーストラリア、日本、韓国という緊密な同盟国を含む、インド太平洋におけるすべての米同盟国は、トランプ二期目が新たな問題を突きつけてくる事態にもっと危機感をもつべきだ。トランプは、バイデン政権とアジア諸国がまとめた防衛、経済・貿易構想の再交渉を求めるか、解体を試みるかもしれない。同盟国をこれまで以上に貿易上の敵対国とみなし、アメリカの軍事プレゼンスの削減を試みるだろう。独裁的指導者たちと親交を深め、アジアの核不拡散環境を揺るがし、朝鮮半島の核武装化を刺激する恐れさえある。

東アジアと中国の核戦力
―― 核共有と軍備管理の間

2024年9月号 エイミー・J・ネルソン ブルッキングス研究所 フェロー アンドリュー・ヨー 米カトリック大学 教授

中国の核戦力増強は、北朝鮮のそれと同様に、東アジアを変化させている。いまや韓国市民の多くが核保有を望んでいるし、日本の古くからの核アレルギーも緩んできている。アジアはいまや、秩序を不安定化させる軍拡競争に突入していく軌道にある。ワシントンは中国に対して、(軍備管理に関する)中身のある交渉に建設的に参加するか、あるいは、東アジアでアメリカが支援する核軍備の大規模な増強という事態に直面するか、という困難な状況にあることを理解させなければならない。中国の指導者たちが軍備管理交渉を拒否するようなら、ワシントンは(核保有国が同盟国と核兵器を共有する)核共有制度について、ソウルや東京と協議を開始することもできる。

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本誌最新号紹介

2024年9月号(2024年9月10日発売)

Contents

  • 中国経済危機の本質
    過剰生産能力の悪夢

    ゾンユアン・ゾー・リュー

  • 米中対立と第一次世界大戦の教訓
    中国と20世紀初頭のドイツ

    オッド・アルネ・ウェスタッド

  • 新興大国と覇権国
    衝突は不可避なのか

    マンジャリ・チャタジー・ミラー

  • 東アジアと中国の核戦力
    核共有と軍備管理の間

    エイミー・J・ネルソン、アンドリュー・ヨー

  • 気候変動とポピュリスト
    温暖化対策と文化戦争

    エドアルド・カンパネッラ、ロバート・Z・ローレンス

  • 政治暴力の連鎖を防ぐには
    トランプ銃撃事件と政治暴力リスク

    リリアナ・メイソン、ネイサン・カルモー

  • カマラ・ハリスとドナルド・トランプ
    中国にとってどちらが好ましいか

    王緝思、胡然、趙建偉

  • イスラエルとヒズボラ
    かつてない衝突へ

    アモス・アレル

他全9本掲載

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