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2017.12.15 Fri

オートメーション時代の失業と社会保障

今後10年間でより多くの雇用を創出する産業は何かに関する予測のトップ10のうちの四つは看護・介護に関係した職業で、介護、看護師、在宅介護、看護師補助(ヘルパー)などだ。問題はこれらの雇用の質(と賃金)がとても低いことだ。(E・ポーター)

「仕事(タスク)のすべてがオートメーション化されなくても、6割の雇用においてその生産活動あるいはタスクの30%がオートメーション化されると考えられる。これは具体的に何を意味するだろうか。雇用がなくなることはないが、仕事の内容が大きく変化する。・・・この仕事の変化がより大きな影響をもつ。機械とともに働くには、労働力に求められるスキルと能力も変化していく」(J・マニュイカ)

グローバル化は大きな低賃金労働力を擁し、安価な資本へのアクセスをもつ国にこれまで大きな恩恵をもたらしてきたが、すでに流れは変化している。労働者も資本家も追い込まれ、大きな追い風を背にするのは、技術革新を実現し、新しい製品、サービス、ビジネスモデルを創造する一握りの人々だろう。所得に格差があれば機会にも格差が生まれ、社会契約も損なわれ、・・・民主主義も損なわれていく。現実がいかに急速に奥深く進化しているかを、まず理解する必要がある。(ブラインジョルフソン)

オートメーション時代の失業と社会保障

2017年6月号 ジョディ・グリーンストーン・ミラー ビジネス・タレントグループCEO 、 エデュアルド・ポーター ニューヨーク・タイムズ紙 コラムニスト、 ハイジ・シアーホルズ 前米労働省 チーフエコノミスト プレサイダー 、スーザン・ルンド マッキンゼー・グローバル・インスティチュート パートナー

ロボットの導入による失業が現実に起きれば、その一方で、膨大な富が作り出され、それがかつてなく一部へ富を集中させることはすでに分かっている。雇用喪失の一方で、巨大な富が集積されていくことのバランスをどうとるか、広く富を共有していくにはどうすればよいかを考えなければならない。(J・ミラー)

今後10年間でより多くの雇用を創出する産業は何かに関する予測のトップ10のうちの四つは看護・介護に関係した職業で、介護、看護師、在宅介護、看護師補助(ヘルパー)などだ。問題はこれらの雇用の質(と賃金)がとても低いことだ。(E・ポーター)

私はオートメーションによって大量失業時代が引きおこされるとは考えていないが、経済的に困難な状況に直面する個人が出てくるのは避けられないだろう。これは対処すべきとても重要な問題だ。だが(その対応策としては)、普遍的な最低所得保障ではなく、雇用保障の方がよいと思う。この場合、政府がすべての人の「最後の雇用主」ということになる。(H・シアーホルズ)

CFR Events 人工知能と雇用の未来
―― 人間と人工知能の共生を

2017年1月号 ジェームズ・マニュイカ マッキンゼー&カンパニー シニアパートナー 、ダニエラ・ラス  マサチューセッツ工科大学(MIT)教授、 エドウィン・ファン・ボメル IPsoft チーフ・コグニティブ・オフィサー

「2010年当時、自律走行車のことを議論する者はいなかったが、6年後のいまや誰もがこのテクノロジーを当然視している。この現状は、驚くべき計算処理能力の進化、優れたセンサーとコントローラー、さらには地図を作り、ローカライズする優れたアルゴリズムによって実現している。しかも、今後、技術的進化のペースはさらに加速すると考えられる」。(D・ラス)

「仕事(タスク)のすべてがオートメーション化されなくても、6割の雇用においてその生産活動あるいはタスクの30%がオートメーション化されると考えられる。これは具体的に何を意味するだろうか。雇用がなくなることはないが、仕事の内容が大きく変化する。・・・この仕事の変化がより大きな影響をもつ。機械とともに働くには、労働力に求められるスキルと能力も変化していく」(J・マニュイカ)

「(人間のようにやりとりできる人工知能プラットフォーム)アメリアが会話を担当できるようになっても、人間に残されるタスクは数多く残されている。例えば、金融部門なら、クライアントへのアドバイスにもっと時間を割くこともできるし、クライアントと今後の市場についてゆっくり話すこともできるようになる。しかも、アメリアやワトソンのような新しいプラットフォームを管理していく新世代の仕事も必要になる。具体的には、これらのシステムが適切に学習しているかどうか、規制内で活動してコンプライアンスを守っているかどうかを確認する人材が必要になる」(E・ファン・ボメル)

デジタル経済が経済・社会構造を変える
―― オートメーション化が導くべき乗則の世界

2014年7月号 エリック・ブラインジョルフソン MIT教授(マネジメントサイエンス)、 アンドリュー・マカフィー MITリサーチ・サイエンティスト(デジタルビジネス)、 マイケル・スペンス ニューヨーク大学教授(経済学)

グローバル化は大きな低賃金労働力を擁し、安価な資本へのアクセスをもつ国にこれまで大きな恩恵をもたらしてきたが、すでに流れは変化している。人工知能、ロボット、3Dプリンターその他を駆使したオートメーション化というグローバル化以上に大きな潮流が生じているからだ。工場のようなシステム化された労働環境、そして単純な作業を繰り返すような仕事はロボットに代替されていく。労働者も資本家も追い込まれ、大きな追い風を背にするのは、技術革新を実現し、新しい製品、サービス、ビジネスモデルを創造する一握りの人々だろう。ネットワーク外部性も、勝者がすべてを手に入れる経済を作り出す。こうして格差はますます広がっていく。所得に格差があれば機会にも格差が生まれ、社会契約も損なわれ、・・・民主主義も損なわれていく。これまでのやり方では状況に対処できない。現実がいかに急速に奥深く進化しているかを、まず理解する必要がある。

2017年12月号

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2017年12月号(2017年12月10日発売)

Contents

  • ロシアの軍事的復活と地政学的野望
    ―― 偶発戦争を回避するには

    アイボ・H・ダールダー

  • 関係修復へと動いたロシアとサウジの思惑
    ―― 中東の影響力をめぐる攻防

    アンナ・ボーシェフスカヤ

  • サウジアラビアとイラン
    ―― ビン・サルマンへの権力集中の意味合い

    トビー・マティーセン

  • 習近平思想における共産党と軍
    ―― 2022年の中国

    サルバトーレ・バポネス

  • レーニン主義と習近平の中国モデル
    ―― 北京のボリシェビキ

    ニック・フリック

  • シリア内戦後を考える
    ―― アメリカに何ができるのか

    ロバート・S・フォード

  • イスラム国後のイラクと中東
    ―― イラク国家の再建で中東秩序の再建を

    エマ・スカイ

  • 政府は格差にどう対処していくべきか
    ―― アフター・ピケティ

    メリッサ・S・カーニー

他全13本掲載

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