2018.12.11 Tue

人工知能とデジタル権威主義
―― 民主主義は生き残れるか

人工知能を利用すれば、権威主義国家は市民を豊かにする一方で、さらに厳格に市民を統制できるようになる。・・・中国は、サーベイランスと機械学習ツールを利用した「社会信用システム」を導入して「デジタル権威主義国家」を構築し始めている。21世紀はリベラルな民主主義とデジタル権威主義間の抗争によってまさに規定されようとしている。(ライト)

今後数十年もすれば、人工知能(AI)が戦争の概念を変化させるかもしれない。2017年6月に中国電子科技集団は119台のドローンによる編隊飛行を成功させ、世界記録を更新した。紛争になれば、中国軍が安価なドローン編隊で、空母のように高価なアメリカの兵器プラットフォームをターゲットにするかもしれない。(カニア)

デジタル革命を担うのは、人間の頭脳を代替する人工知能(AI)だ。ロボットはすべての仕事の4分の1(25%)以上を担うことになると考えられている。しかも、デジタル革命による雇用喪失はわずか数十年で加速していく。どの国が世界最高のAIを保有しているかですべては決まるし、政府形態も流動化していく。(ドラム)

人工知能とデジタル権威主義
―― 民主主義は生き残れるか

2018年8月号 ニコラス・ライト インテリジェント・バイオロジー  コンサルタント(神経科学者)

各国にとっての政治・経済的選択肢は「民衆を抑圧し、貧困と停滞に甘んじるか」、それとも「民衆(の創造力)を解き放って経済的果実を手に入れるか」の二つに一つだと考えられてきた。だが、人工知能を利用すれば、権威主義国家は市民を豊かにする一方で、さらに厳格に市民を統制できるようになり、この二分法は突き崩される。人工知能を利用すれば、市場動向を細かに予測することで計画経済をこれまでになく洗練されたものにできる。一方で、すでに中国は、サーベイランスと機械学習ツールを利用した「社会信用システム」を導入して「デジタル権威主義国家」を構築し始めている。20世紀の多くが民主主義、ファシズム、共産主義の社会システム間の競争によって定義されたように、21世紀はリベラルな民主主義とデジタル権威主義間の抗争によってまさに規定されようとしている。

人工知能と中国の軍事パワー
―― 戦場の「技術的特異点」とは

2018年1月号 エルサ・B・カニア 新アメリカ安全保障センター 非常勤フェロー(テクノロジー&国家安全保障担当)

今後数十年もすれば、人工知能(AI)が戦争の概念を変化させるかもしれない。2017年6月に中国電子科技集団は119台のドローンによる編隊飛行を成功させ、世界記録を更新した。紛争になれば、中国軍が安価なドローン編隊で、空母のように高価なアメリカの兵器プラットフォームをターゲットにするかもしれない。AIとロボティクスが戦争で広く応用されるようになれば、AIの急激な技術成長が刺激され、人間の文明に計り知れない変化をもたらす「シンギュラリティ=技術的特異点」が現実になると予測する専門家もいる。この段階になると、AIを導入した戦闘が必要とするスピーディな決断に人間はついていけなくなるかもしれない。軍は人間を戦場から引き揚げ始め、むしろ監視役に据え、無人システムに戦闘の大半を遂行させるようになるかもしれない。

テクノロジー・ワールド
―― 地政学革命としての人工知能

2018年7月号 ケビン・ドラム マザージョーンズ スタッフライター

産業革命は世界を変えたが、機械が人間の筋肉の代役を果たすようになっただけで、人の頭脳が依然として必要とされたために、高賃金雇用が数多く創出された。しかしデジタル革命を担うのは、人間の頭脳を代替する人工知能(AI)だ。本質的に、人間レベルのAIは人間ができることすべてをより巧みに遂行できる。おそらくロボットはすべての仕事の4分の1(25%)以上を担うことになると考えられている。しかも、真に開花するまでに100年以上を要した産業革命とは違って、デジタル革命による雇用喪失はわずか数十年で加速していく。これに比べれば、中国の台頭などの21世紀の地政学的動向は、あと20年もすれば、どれも、取るに足らぬ問題にすぎなくなる。どの国が世界最高のAIを保有しているかですべては決まるし、政府形態も流動化していく。

2018年12月号レビュー

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2018年12月号(2018年12月10日発売)

Contents

  • 個人独裁国家と核の脅威
    ―― 新しい抑止概念の構築を

    スコット・セーガン

  • 中東に迫り来る巨大な嵐
    ―― 石油依存型政治システムの崩壊

    マーワン・ムアシャー

  • 皇太子率いる全体主義国家の誕生
    ―― もはやかつてのサウジにあらず

    マダウィ・アル=ラシード

  • 中東で進行するパワーバランスの再編
    ―― なぜトルコはイラン、ロシアに接近しているか

    コリン・P・クラーク、アリアネ・M・タバタバイ

  • ベネズエラの自殺
    ―― 南米の優等生から破綻国家への道

    モイセス・ナイーム、フランシスコ・トロ

  • 北朝鮮非核化の失敗と予想外の安定
    ―― 非核化という虚構がもたらす機会と脅威

    ジョシュア・シフリンソン

  • 米中戦争を回避するには
    ―― アメリカの新中国戦略に対する10の疑問

    ケビン・ラッド

  • 米中核戦争は絵空事ではない
    ―― なぜエスカレーションリスクが高いのか

    カイトリン・タルマージ

他全11本掲載

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