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2019.11.18 Mon

欧米経済の衰退と民主的世紀の終わり
―― 拡大する「権威主義的民主主義」の富とパワー

今後を見通す上で現実的なシナリオは二つしかない。一つは中国を含む、世界でもっともパワフルな独裁国家の一部がリベラルな民主国家に移行すること。もう一つは、民主主義の支配的優位の時代が、敵対する政治体制との闘争という新時代が到来するまでの幕間の出来事に過ぎなかったことが立証されることだ。いずれの場合も、欧米民主主義の時代が終わりを迎えるのは避けられない。(モンク、フォア)

途上国は「リベラルな民主主義」よりも「中国モデル」に魅力を感じ始め、習近平自ら、「他の諸国は人類が直面する問題への対策として、中国のやり方に学ぶべきだろう」と発言している。当然、中国モデルが注目を集めているが、それがどのようなものかという質問への答は出ていない。その経済的成功が何によって実現したかも定かではない。懸念すべきは、中国モデルが欧米や途上世界で広く誤解されていること、そして中国のエリートたちでさえ、中国モデルを誤解していることだろう。(アン)

共産主義モデルを取り入れた国が倒れ、マルクスの政治的予測が間違っていたことがすでに明らかであるにも関わらず、その理論が、依然として鋭い資本主義批判の基盤とされているのは、「資本主義が大きな繁栄をもたらしつつも、格差と不安定化をもたらすメカニズムを内包していること」を彼が的確に予見していたからだ。今日における最大の課題は、「人類が考案したもっともダイナミックな社会システムである」資本主義の弊害を制御できる新たな政治システムを特定することにある。しかし、そのためには先ず、社会民主的政策を含めて、過去に答が存在しないことを認識しなければならない。・・・(バーギーズ)

欧米経済の衰退と民主的世紀の終わり
―― 拡大する「権威主義的民主主義」の富とパワー

2018年6月号 ヤシャ・モンク ハーバード大学講師(行政学)  ロベルト・ステファン・フォア メルボルン大学講師(政治学)

北米、西ヨーロッパ、オーストラリア、そして日本という、第二次世界大戦後にソビエトに対抗して西側同盟を形成した民主国家は、19世紀末以降、世界の所得の大半を占有する地域だった。しかしいまや、この1世紀で初めて、これらの国が世界の国内総生産(GDP)に占める割合は半分を割り込んでいる。国際通貨基金(IMF)は、今後10年もすれば、その比率はかつての3分の1へ落ち込むと予測している。今後を見通す上で現実的なシナリオは二つしかない。一つは中国を含む、世界でもっともパワフルな独裁国家の一部がリベラルな民主国家に移行すること。もう一つは、民主主義の支配的優位の時代が、敵対する政治体制との闘争という新時代が到来するまでの幕間の出来事に過ぎなかったことが立証されることだ。いずれの場合も、欧米民主主義の時代が終わりを迎えるのは避けられない。

中国モデルとは何か
―― 権威主義による繁栄という幻想

2018年8月号 ユエン・ユエン・アン ミシガン大学准教授(政治学)

途上国は「リベラルな民主主義」よりも「中国モデル」に魅力を感じ始め、習近平自ら、「他の諸国は人類が直面する問題への対策として、中国のやり方に学ぶべきだろう」と発言している。当然、中国モデルが注目を集めているが、それがどのようなものかという質問への答は出ていない。その経済的成功が何によって実現したかも定かではない。現実には、鄧小平期の北京が、官僚制度の改革を通じて、地方の下級官僚たちが、現地の資源を用いて経済開発を急速に進めるのに適した環境を提供したことが、中国モデルの基盤を提供している。だが、こうした特質は民主国家にとっては、おなじみのものだ。懸念すべきは、中国モデルが欧米や途上世界で広く誤解されていること、そして中国のエリートたちでさえ、中国モデルを誤解していることだろう。

マルキスト・ワールド
―― 資本主義を制御できる政治形態の模索

2018年8月号 ロビン・バーギーズ オープンソサエティ財団・経済促進プログラム アソシエートディレクター

共産主義モデルを取り入れた国が倒れ、マルクスの政治的予測が間違っていたことがすでに明らかであるにも関わらず、その理論が、依然として鋭い資本主義批判の基盤とされているのは、「資本主義が大きな繁栄をもたらしつつも、格差と不安定化をもたらすメカニズムを内包していること」を彼が的確に予見していたからだ。欧米が20世紀半ばに社会民主的な再分配政策を通じて、資本主義を特徴づけたこれらの問題を一時的に制御することに成功して以降の展開、特に、70年代末以降の新自由主義が招き入れた現状は、まさにマルクスの予測を裏付けている。今日における最大の課題は、「人類が考案したもっともダイナミックな社会システムである」資本主義の弊害を制御できる新たな政治システムを特定することにある。しかし、そのためには先ず、社会民主的政策を含めて、過去に答が存在しないことを認識しなければならない。・・・

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2019年11月号(2019年11月10日発売)

Contents

  • 国際政治と指導者のキャラクター
    ―― 政治的潮流に占める指導者の役割

    ダニエル・バイマン 、ケネス・M・ポラック

  • 独裁者の台頭とハンガリーの衰退
    ―― ビクトル・オルバンの変節

    パウル・レンドバイ

  • ポピュリズム独裁の台頭と末路
    ―― 独裁政権の基盤が脆弱な理由

    ヤシャ・モンク 

  • 貿易戦争の本当の目的
    ―― プラスサムへの思考転換を

    ウェイジャン・シャン

  • 封じ込めではなく、米中の共存を目指せ
    ―― 競争と協調のバランスを

    カート・M・キャンベル 、ジェイク・サリバン

  • 温暖化が人体を脅かす
    ―― 高温多湿化した地球と感染症の脅威

    テドロス・アドノム

  • 北極圏と大国間競争
    ―― 中ロに出遅れたアメリカ

    ヘザー・A・コンリー

  • 日本の核ジレンマと国際環境
    ―― 能力も資源もあるが・・・

    マーク・フィッツパトリック

他全10本掲載

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