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2019.1.22.Tue

米国境を目指す中米移民の窮状
―― 貧困と犯罪を逃れて北を目指す人々

アメリカ国境を目指す中央アメリカの人々はなぜ故郷を後にし、ワシントンはこれにどのように対処しているのか。ワシントンは、国境地帯の警備を強化し、近隣諸国に移民抑止に向けて協力を依頼し、現地経済支援のための援助を提供することで、その対応策としてきた。しかし、人々が故郷を後にせざるを得ない状況にワシントンがより真剣に対処しない限り、中南米移民は北を目指し続けることになる。(リュータート)

移民は基本的に社会モデルが機能しなくなった国から逃れてくる。この事実を踏まえて、その影響をよく考えるべきで、「ある時点で受入国と移民出身国の双方にマイナスの影響が出るようになる」と考える研究者もいる。一方、労働市場を移民に開放すると、移民だけでなく受入国の住民の生活水準も改善すると考える研究者もいる。問題は、移民論争がとかく感情的で十分な裏付けが示されないまま、過熱してしまうことだ。(クレメンズ)

メキシコ人を中心とする移民たちは、アメリカ人労働者が嫌がる仕事を引き受けて産業を支えることで、経済的富の拡大、アメリカ人労働者のスキルアップの機会をもたらしている。移民の流入がアメリカ経済にとって有益であることがはっきりしている以上、移民を締め出すのではなく、移民流入をより効果的に管理する制度改革を模索すべきである。(ジャコビー)

米国境を目指す中米移民の窮状
―― 貧困と犯罪を逃れて北を目指す人々

2019年1月号 ステファニー・リュータート テキサス大学オースチン校  ロバート・ストラウスセンター ディレクター

アメリカ国境を目指す中央アメリカの人々はなぜ故郷を後にし、ワシントンはこれにどのように対処しているのか。1980年代には内戦を逃れる難民が数多く押し寄せ、その後も、経済的機会を求めて、犯罪組織の社会的暴力から逃れるために北を目指す人の流れは続いている。最近ではアメリカへの入国を求める家族と子供が増えているのが特徴的だ。ワシントンは、国境地帯の警備を強化し、近隣諸国に移民抑止に向けて協力を依頼し、現地経済支援のための援助を提供することで、その対応策としてきた。しかし、これらは結果を出せていない。人々が故郷を後にせざるを得ない状況にワシントンがより真剣に対処しない限り、中南米移民は北を目指し、アメリカでの未来を思い描き続けることになる。

Review Essay
移民を受け入れるべきか規制すべきか
―― 移民と経済と財政

2014年2月号 マイケル・クレメンズ 世界開発センターシニアフェロー、 ジャスティン・サンドファー 世界開発センター研究員

移民は基本的に社会モデルが機能しなくなった国から逃れてくる。この事実を踏まえて、その影響をよく考えるべきで、「移民を無制限に受け入れれば、ある時点で受入国と移民出身国の双方にマイナスの影響が出るようになる」と考える研究者もいる。一方、労働市場を移民に開放すると、労働力の供給が拡大するだけでなく、投下資本利益率が上昇して経済成長を加速し、労働需要が高まり、移民だけでなく受入国の住民の生活水準も改善すると考える研究者もいる。実際、移民が受入国の財政にプラスの影響をもたらすことを示す研究は数多くある。経済協力開発機構(OECD)が2013年に27カ国を対象に実施した調査によると、移民が受入国の国庫にもたらす金額は、彼らが受け取る社会保障給付よりも一世帯当たり平均4400ドルも多い。問題は、移民論争がとかく感情的で十分な裏付けが示されないまま、過熱してしまうことだ。

移民労働力と経済成長を考える
――移民労働者は脅威か、恩恵か

2007年2月号 タマル・ジャコビー マンハッタン・インスティチュート シニア・フェロー

グローバル世界の新たな潮流のなかでも特に重要なのが、世界の労働市場の統合が進んでいることだ。アメリカでは多くの産業が単純(非熟練)労働力不足という問題を抱え込んでおり、これに呼応するかのように、メキシコ人を中心とする単純労働者がアメリカへとタイミングよく殺到し、増大するアメリカの労働需要を満たしてくれている。こうした移民たちは、アメリカ人労働者が嫌がる仕事を引き受けて産業を支えることで、経済的富の拡大、アメリカ人労働者のスキルアップの機会をもたらしている。移民の流入がアメリカ経済にとって有益であることがはっきりしている以上、移民を締め出すのではなく、移民流入をより効果的に管理する制度改革を模索すべきである。

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本誌最新号紹介

2019年1月号(2019年1月10日発売)

Contents

  • 戦後秩序は衰退から終焉へ
    ―― 壊滅的シナリオを回避するには

    リチャード・ハース

  • 流れは米中二極体制へ
    ―― 不安定な平和の時代

    イェン・シュエトン(閻学通)

  • 幻想に覆われたイギリス政治
    ―― ブレグジットと果たされなかった約束

    ピーター・A・ホール

  • 対北朝鮮外交の破綻に備えよ
    ―― 「最大限の圧力」を復活させるには

    エリック・ブルーアー

  • ポピュリズムとカトリック教会の分裂
    ―― リベラルな教皇フランシスコへの反発

    R・R・レノ

  • 公衆衛生の改善と社会・経済の進化
    ―― 途上国における感染症対策成功のジレンマ

    トマス・ボリキー

  • 次の金融危機に備えよ
    ―― なぜ危機は繰り返されるのか

    カーメン・ラインハート、ヴィンセント・ラインハート

  • 機会のはしごが社会と経済を救う
    ―― 教訓と訓練の「機会」と経済的開放性

    ケネス・F・シーブ、マシュー・J・スローター

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