Rawpixel.com / Shutterstock.com
2026.3.20 Fri
トランプ政権と泥棒政治
合意は意図的に曖昧にされることが多く、一部の要素は公表されるが、他の要素は後日明らかにされるか、あるいは完全に隠蔽される。このやり方が続けば、トランプ外交は、アメリカの立憲主義だけでなく、世界における民主主義の存続そのものを脅かすことになる。(クーリー、ネクソン)
トランプは、外交政策や国家安全保障にわずかにでも関連する案件なら、ほぼ思うままにできるようになった。世界各国に追加関税を課し、議会が定めた対外援助を骨抜きにし、同盟国をいじめ、独裁者に言い寄っている。(サンダース)
政治的敵を標的にして、ルールや規制が選択的に利用されれば、法律は兵器と化す。いまや、トランプ政権の報復を恐れて、全米の大学、メディア、弁護士事務所、財団を含む多くの組織や個人が行動を見直し、自己規制することも多くなった。だが、勝負はまだついていない。・・・(レヴィツキー、ウェイ、ジブラット)
トランプ政権と泥棒政治
―― 政治腐敗の手段と化した外交
2026年4月号 アレクサンダー・クーリー バーナード・カレッジ 政治学教授 ダニエル・ネクソン ジョージタウン大学 外交学部教授
トランプは米外交政策を、自分の富を増やし、地位を高め、家族・友人・側近の小さなサークルに利益をもたらすために利用している。外交を支えるインフラを解体して、自分の親族や知人、友人に重要な外交交渉を委ねている。そこで生まれるのは、主権国家間の拘束力のある二国間合意というより、むしろ個人間の取り決めに近い。合意は意図的に曖昧にされることが多く、一部の要素は公表されるが、他の要素は後日明らかにされるか、あるいは完全に隠蔽される。このやり方が続けば、トランプ外交は、アメリカの立憲主義だけでなく、世界における民主主義の存続そのものを脅かすことになる。
トランプは皇帝なのか
―― 独裁を阻む抑制と均衡の再確立を
2025年8月号 エリザベス・N・サンダース コロンビア大学 政治学教授
米大統領は、これまでもまるで帝国の指導者のようだったが、本当に皇帝のように振る舞おうとした大統領は、少なくとも、2期目のドナルド・トランプまではいなかった。米同時多発テロ以降、米議会は外交領域における大統領権限の拡大を認め、それを取り戻そうとしなかった。最高裁も、有意義な抑制を大統領に課すことに乗り気ではなかった。こうして、トランプは、外交政策や国家安全保障にわずかにでも関連する案件なら、ほぼ思うままにできるようになった。世界各国に追加関税を課し、議会が定めた対外援助を骨抜きにし、同盟国をいじめ、独裁者に言い寄っている。あらゆる制約がなくなれば、個人独裁体制下の指導者は間違った軍事的冒険主義をとり、衝動的な決定を下し、自滅的な政策をとりやすくなる。
トランプ政治の恐るべき現実
―― 米民主主義の復活はあり得るか
2026年2月号 スティーブン・レヴィツキー ハーバード大学 教授(政治学) ルーカン・A・ウェイ トロント大学 政治学部 特別教授 ダニエル・ジブラット ハーバード大学 教授(政治学)
政治的敵を標的にして、ルールや規制が選択的に利用されれば、法律は兵器と化す。いまや、トランプ政権の報復を恐れて、全米の大学、メディア、弁護士事務所、財団を含む多くの組織や個人が行動を見直し、自己規制することも多くなった。だが、勝負はまだついていない。今後のアメリカでの選挙は政策対立だけでなく、民主主義対権威主義という、より根本的な選択を伴うものになるはずだ。民主主義を守るために裁判所にだけ頼るわけにもいかない。「王様はいらない」集会だけでは民主主義は復活しない。市民は(投票、法廷、社会という)三つの領域におけるすべての手段を通じて行動しなければならない。もはや流れは止められないと考え、権威主義の衝撃を過大評価して、宿命論に陥るべきではない。


