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2021.5.12. Wed

インド変異株の悪夢
―― 変異株と政治災害が引き起こしたインドの悲劇

世界における新規コロナ感染の三つに一つがいまやインドで起きている。だが、こうなる必然性はなかった。その支離滅裂さ、間違い、奢りを通じて黙示録的世界を招き入れたのはモディ政権に他ならない。「国内のコロナを抑え込み、いまや世界のパンデミックを終わらせるのを助ける立場にある」と対外的に表明した彼の強気が裏目に出た。しかも、二つの変異株の特徴を有するB・1・617変異株が定着しつつあることを認識しつつも、この新しい敵を理解しようと政府が力を入れることはなかった。厄介なのは、この変異株がCOVID19の免疫を迂回できると考えられることだ。・・・(ガロット)

ワクチンの接種がすすみ、パンデミックが収束へ向かうことが期待されるなか、コロナウイルス変異株の出現で、逆にパンデミックが長期化するリスクが生じている。変異株は人から人への感染力が高いかもしれない。すでに追い込まれている病院や医療施設へさらに大きな圧力をかける恐れもある。もっとも厄介なのは、ワクチン接種またはCOVID19への感染から得た免疫が、変異株への感染を防げないかもしれないことだ。・・・(オスタホルム、オルシェイカー)

「協調性のない、混沌とした国中心の反応」。これが、世界のCOVID19パンデミック対策の特徴だった。必要とされる「グローバルな危機へのグローバルな対応」からはかけ離れていた。国際協調体制がうまく築かれなかったことについて、世界保健機関(WHO)を非難する分析者もいる。しかし、最大の理由は、米中対立によって対応が政治化され、ナショナリスティックで保護主義的な対応がとられたことにある。必要なのは、パンデミックコントロールを、あらゆる国が貢献すべき「グローバルな公共財」として位置づけることだろう。(ファン)

インド変異株の悪夢
―― 変異株と政治災害が引き起こしたインドの悲劇

2021年6月号 マンダキニ・ガロット  ジャーナリスト / 映画監督

世界における新規コロナ感染の三つに一つがいまやインドで起きている。だが、こうなる必然性はなかった。その支離滅裂さ、間違い、奢りを通じて黙示録的世界を招き入れたのはモディ政権に他ならない。「国内のコロナを抑え込み、いまや世界のパンデミックを終わらせるのを助ける立場にある」と対外的に表明した彼の強気が裏目に出た。人々はマスクを外し、ソーシャルディスタンスのガイドラインを無視し始めた。保健担当大臣が偽医療を公的に紹介しただけでなく、政府はヒンドゥー教の大規模な宗教的祝祭(クンブメーラ)のために(ウッタラカンド州にある聖地ハリドワールへの)巡礼を認めることでも感染を拡大させた。しかも、二つの変異株の特徴を有するB・1・617変異株が定着しつつあることを認識しつつも、この新しい敵を理解しようと政府が力を入れることはなかった。厄介なのは、この変異株がCOVID19の免疫を迂回できると考えられることだ。・・・

変異株とグローバルな集団免疫
―― 終わらないパンデミック

2021年4月号 マイケル・T・オスタホルム ミネソタ大学兼感染症研究政策センター所長  マーク・オルシェイカー  作家

ワクチンの接種がすすみ、パンデミックが収束へ向かうことが期待されるなか、コロナウイルス変異株の出現で、逆にパンデミックが長期化するリスクが生じている。危険な変異株の出現を抑え込む最善の方法は、できるだけ多くの人々を感染から守ることだが、多くの低所得国や中所得国の民衆はまだ1回のワクチン接種も受けていない。変異株は人から人への感染力が高いかもしれない。すでに追い込まれている病院や医療施設へさらに大きな圧力をかける恐れもある。もっとも厄介なのは、ワクチン接種またはCOVID19への感染から得た免疫が、変異株への感染を防げないかもしれないことだ。・・・


なぜ世界はパンデミックに敗れたのか
―― 国際協調を阻んだナショナリズムと保護主義

2021年3月号 ヤンゾン・ファン  米外交問題評議会シニアフェロー (グローバルヘルス担当)

「協調性のない、混沌とした国中心の反応」。これが、世界のCOVID19パンデミック対策の特徴だった。必要とされる「グローバルな危機へのグローバルな対応」からはかけ離れていた。国際協調体制がうまく築かれなかったことについて、世界保健機関(WHO)を非難する分析者もいる。しかし、最大の理由は、米中対立によって対応が政治化され、ナショナリスティックで保護主義的な対応がとられたことにある。米中間の緊張は、アウトブレイクに関する調査だけでなく、ウイルスの拡散を封じ込めるための協調行動をまとめるWHOの能力も抑え込んでしまった。必要なのは、パンデミックコントロールを、あらゆる国が貢献すべき「グローバルな公共財」として位置づけることだろう。

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本誌最新号紹介

2021年5月号(2021年5月10日発売)

Contents

  • グローバルな大国間協調の組織化を
    ―― 多極世界を安定させるために

    リチャード・N・ハース 、チャールズ・A・クプチャン

  • 権威主義へ傾斜する国際システム
    ―― 追い込まれたリベラルな秩序

    アレクサンダー・クーリー 、 ダニエル・H・ネクソン

  • 危機とグローバル化の歴史
    ―― グローバル化が復活する理由

    ハロルド・ジェームズ

  • 新疆における文化弾圧のルーツ
    ―― 帝国の過去とウイグル人

    シーン・R・ロバーツ

  • 中国における大家族時代の終焉
    ―― 中国の野望と人口動態トレンド

    ニコラス・エバースタット、アシュトン・バーデリ

  • 変貌するグローバルヘルスの統治構造
    ―― 分散化、ビッグデータの共有、研究パートナーシップ

    アシシュ・ジャー

  • 新保守主義がなぜ必要か
    ―― アメリカ政治再生の鍵を握る保守主義の再編

    オレン・キャス

  • 偽情報戦略の本当の目的
    ―― 独裁者の真意は国内にある

    ダレン・リンヴィル 、パトリック・ウォーレン

他全8本掲載

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