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2024.3.18 Mon

プーチンが思い描く「極右インターナショナル」とは
―― 反米パートナーシップ、独裁体制のレジリアンス

欧米保守派のレトリックを受け入れることで、彼らの支持を確保し、それを基盤にロシアの国際的地位を向上させたいとプーチンは考えている。要するに、20世紀前半にソビエト革命を推進した共産主義インターナショナルに似た、「極右インターナショナル」を形成しつつある。(ザイガー)

ウクライナ戦争の軍事的膠着状態は北京に恩恵をもたらしている。ウクライナ侵略は、アメリカの関心と資源をインド太平洋地域から遠ざけ、ロシアは経済的生命線を中国に頼らざるを得なくなっている。しかも、重要な天然資源、特に石油やガスをロシアから安価に入手できる。(グラハム)

10年以上にわたって「悪漢たち」が勝利した時代を経て、世界はいまや独裁体制に背を向けつつあるようだ。ロシア、中国、イランという世界の3大悪党は、その権威に対する前例のない脅威に直面している。とはいえ、その脅威は、多くの人が期待するほど大きくはない。中国、イラン、ロシアは、革命を経験していることに深く根ざすレジリエンスをもっているからだ。(ウェイ)

プーチンの立場が欧米の右派のそれと似ているのは偶然ではない。実際、プーチンのアドバイザーたちは、フォックス・ニュースのキャスターなど、米保守の扇動者たちの立場やレトリックを採用している。特に、文化戦争路線を取り入れることで、ワシントンなどのポピュリスト政治家の支持を確保し、欧米社会を内部から切り崩せると考えているようだ。欧米保守派のレトリックを受け入れることで、彼らの支持を確保し、それを基盤にロシアの国際的地位を向上させたいとプーチンは考えている。要するに、20世紀前半にソビエト革命を推進した共産主義インターナショナルに似た、「極右インターナショナル」を形成しつつある。

反米パートナーシップのリアリティ
―― 中露関係をどう評価するか

2023年5月号 トーマス・グラハム 米外交問題特別フェロー ロシア・ユーラシア担当

2023年3月、中露の指導者は「ルールを基盤とする米主導の国際秩序を覆して、多極化を模索する」意図を確認しつつも、習近平はロシアに兵器を提供するとは明言しなかった。現実には、ウクライナ戦争の軍事的膠着状態は北京に恩恵をもたらしている。ウクライナ侵略は、アメリカの関心と資源をインド太平洋地域から遠ざけ、ロシアは経済的生命線を中国に頼らざるを得なくなっている。しかも、重要な天然資源、特に石油やガスをロシアから安価に入手できる。この計算を前提にしたのか、今回も、習近平はロシアが十分に戦いを継続できる道徳的・物的支援を約束しつつも、ロシアが優位を得るのに必要な支援には踏み込まなかった。・・・

中露、イランの政治的強さの秘密
――革命が授ける独裁体制のレジリアンス

2023年9月号 ルーカン・アフマド・ウェイ トロント大学教授(政治学)

10年以上にわたって「悪漢たち」が勝利した時代を経て、世界はいまや独裁体制に背を向けつつあるようだ。ロシア、中国、イランという世界の3大悪党は、その権威に対する前例のない脅威に直面している。とはいえ、その脅威は、多くの人が期待するほど大きくはない。中国、イラン、ロシアは、革命を経験していることに深く根ざすレジリエンスをもっているからだ。実際、革命というルーツが、これら三つの体制が景気低迷や失政、支持率の急落を乗り切り、今後も長年にわたって強さを維持していく支えを提供している。これに対抗する効果的な戦略を考案するには、その本質と、ユニークなレジリエンスのルーツを理解する必要がある。

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本誌最新号紹介

2024年3月号(2024年3月10日発売)

Contents

  • 世界戦争の足音
    歴史は繰り返すのか

    ハル・ブランズ

  • 共和党の国際主義と外交戦略
    軍事・貿易・経済戦略をどう立て直すか

    コリ・シェイク

  • 次期米大統領と欧州
    なぜ欧州の自立が必要なのか

    アランチャ・ゴンサレス・ラヤ他

  • アメリカの新貿易コンセンサス
    ロバート・ライトハイザーの世界

    ゴードン・H・ハンソン

  • 紛争の一方で進む中東の和解と協調
    ポストアメリカの中東秩序へ

    ダリア・ダッサ・ケイ、サナム・ヴァキル

  • 戦後のガザ統治に備えよ
    自治政府をどう改革するか

    ダニエル・バイマン

  • 抵抗の枢軸という新脅威
    ミサイルとSNSで戦う敵の目的は

    ナルゲス・バジョグリ、バリ・ナスル

  • ミャンマーは崩壊するのか
    反体制派と連邦制の夢

    アビナッシュ・パリワル

他全9本掲載

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