Narongsak Nagadhana / Shutterstock.com

2019.3.19 Mon

<4月号プレビュー>
なぜ台湾海峡危機に備えるべきか

アメリカ、中国、台湾での政治的、政策的展開によって新たな台湾海峡危機が起きる危険が高まっている。中国が1995―96年の危機の時よりも、台北を屈服させるよりパワフルでさまざまなオプションをもっているだけに、リスクは高い。台湾統一は、習近平が重視する「中国の夢」における重要なアジェンダの一部であり、国内での正統性を強化するためにも台湾問題を解決しようとするかもしれない。(チェース)

北京は「台湾を締め付けてもアメリカは静観する」と信じているようだ。一方、台湾人の多くは「中国に台湾を侵略するつもりはない」と確信している。かたや、トランプ米大統領は「(中国を刺激するような)波風をたててもたいしたことにはならない」と考えている。問題は、これらがすべて間違っており、こうした希望的観測が重なり合うことで紛争リスクが高まっていることだ。(グリース)

習近平は、「中華民族の偉大なる復興」のためには、あらゆる中国人に繁栄をもたらすだけでなく、台湾の公的な統一が必要になると主張している。しかし、「偉大なる復興」に必要とされる経済成長は停滞期に入りつつあるのかもしれない。実際「力強い市場志向の改革なしでは、中国の経済成長は2010年代末までに終わる」と予測する専門家もいる。(マッザ)

迫り来る中台危機に備えよ
―― 米中台のレッドラインと危機緩和策

2019年4月号 マイケル・チェース ランド研究所シニアポリティカルサイエンティスト

アメリカ、中国、台湾での政治的、政策的展開によって新たな台湾海峡危機が起きる危険が高まっている。中国が1995―96年の危機の時よりも、台北を屈服させるよりパワフルでさまざまなオプションをもっているだけに、リスクは高い。台湾統一は、習近平が重視する「中国の夢」における重要なアジェンダの一部であり、国内での正統性を強化するためにも台湾問題を解決しようとするかもしれない。一方、台湾では台湾人としてのアイデンティティが高まり、一国二制度への支持も低下し、しかも、2020年に総統選挙を控えている。そして、ワシントンはすでに中国を敵視する路線にギアを入れ替えている。状況が悪化していくのを座視するのではなく、それが不可避となった場合にうまく対応できるように態勢を整え、台湾海峡危機を阻止するためオプションを実施できる態勢を整備しておく必要がある。

中国は近く台湾に侵攻する?
―― 重層的誤算と戦争リスク

2019年4月号 ピーター・グリース マンチェスター大学教授(中国政治)、タオ・ワン マンチェスター大学  博士候補生(東アジア政治)

中国で対台湾強硬論が高まっている。「アメリカは台湾を守る戦闘のために部隊を送り込むとは考えにくい」とメディアは指摘し、北京も「台湾を締め付けてもアメリカは静観する」と信じているようだ。しかも、再統一を実現すれば、「習近平は毛沢東や鄧小平に劣る」とは誰も言わなくなる。一方、台湾人の多くは「中国に台湾を侵略するつもりはない」と確信している。かたや、トランプ米大統領は「(中国を刺激するような)波風をたててもたいしたことにはならない」と考えている。問題は、これらがすべて間違っており、こうした希望的観測が重なり合うことで紛争リスクが高まっていることだ。

中台関係の新たな緊張
―― 北京が強硬策をとる理由

2018年9月号 マイケル・マッザ アメリカン・エンタープライズ・インスティチュート 客員フェロー(外交・国防政策)

この20年間の中台関係の歴史からみても、「交渉による統一」が実質的なカードではないことは明らかだ。それでも、習近平は、台湾に焦点を合わせる路線から遠ざかるのではなく、「中国の夢」の重要な一部に統一を据え、「中華民族の偉大なる復興」のためには、あらゆる中国人に繁栄をもたらすだけでなく、台湾の公的な統一が必要になると主張している。しかし、「偉大なる復興」に必要とされる経済成長は停滞期に入りつつあるのかもしれない。実際「力強い市場志向の改革なしでは、中国の経済成長は2010年代末までに終わる」と予測する専門家もいる。あらゆる中国人に繁栄をもたらせないとすれば、習近平は海峡間関係の緊張をむしろ歓迎するかもしれない。台湾海峡の風は強く、波は高い。

関連論文のご紹介

Current Issues

Focal Points アーカイブ

Focal Points

過去のトップページ特集

Focal Points アーカイブ

最新のSubscribers' Only公開論文

論文データベース

本誌最新号紹介

2019年4月号(2019年4月10日発売)

Contents

  • 赤字と債務にいかに向き合うか
    ―― 第3の道は存在する

    ジェイソン・ファーマン、ローレンス・H・サマーズ

  • 中国経済のスローダウンと北京の選択
    ―― 債務危機かそれとも政治的混乱か

    クリストファー・ボールディング

  • 迫り来る中台危機に備えよ
    ―― 米中台のレッドラインと危機緩和策

    マイケル・チェース

  • 中国は近く台湾に侵攻する?
    ―― 重層的誤算と戦争リスク

    ピーター・グリース、タオ・ワン

  • AI軍拡競争を超えて
    ―― 危険な米中ゼロサム志向を回避せよ

    レムコ・スヴェッツロット、ヘレン・トナー、ジェフリー・ディング

  • 動き出したクルド統一国家への流れ
    ―― クルドの覚醒と中東の未来

    アンリ・J・バーキー

  • さようなら、国際主義のアメリカ
    ―― トランプ時代の歴史的ルーツ

    エリオット・A・コーエン

  • 現実主義志向の国際システムを
    ―― 民主国家の拡大志向を抑えよ

    ジェニファー・リンド、ウィリアム・C・ウォールフォース

他全11本掲載

Page Top