2026.8.7 Fri

<8月号プレビュー>
AIの経済機会と政治危機、米中関係の本質、中東におけるアメリカの未来

技術としてのAIは大いなる経済的ポテンシャルを秘めているが、適切に管理されなければ、雇用危機を引き起こす。状況に不満を抱く若者を中心に深刻な政治的、社会的危機に今後遭遇するかもしれない。(デビッドソン、スローター)

半導体であれ、レアアースであれ、米中双方は相手に対する手段や影響力をもっているが、どちらもそれを決定的には行使できない。これは、米中が「グローバルな経済・技術システムから相手を完全には排除できない状況を共有していること」を意味する。(汪)

米市民は、これ以上の中東関与を望んでいないし、湾岸諸国もアメリカ以外にも防衛パートナーを求め始めている。アメリカにとって、現在の中東における最大の問題は、軍事的成果を戦略的勝利に結びつけられずにいることだ。(ストラウル)

AIの経済機会と政治危機
―― 危機を回避し、創造的破壊を生かすには

2026年8月号 ジェームズ・A・デビッドソン シルバーレーク 前マネージングパートナー マシュー・J・スローター ダートマスカレッジ ビジネススクール 教授(国際ビジネス)

米市民の過半数が、人工知能(AI)は雇用を創出する以上に削減するとみなし、若年層に限れば、81%が「AIは雇用機会を低下させる」と考えている。技術としてのAIは大いなる経済的ポテンシャルを秘めているが、適切に管理されなければ、雇用危機を引き起こす。状況に不満を抱く若者を中心に深刻な政治的、社会的危機に今後遭遇するかもしれない。重要なのは、新技術が引き起こす労働市場の混乱を乗り越え、将来の恩恵を十分に確保できるかだ。歴史が示すところは明白だ。創造的破壊が政府の政策対応のペースと範囲を超えるとき、イノベーションに対する抵抗が生じる。幸い、混乱への解決策はある。

米中関係の本質
―― 競争的共存の条件

2026年8月号 汪錚 シートン・ホール大学 教授(外交、国際関係学)

半導体であれ、レアアースであれ、米中双方は相手に対する手段や影響力をもっているが、どちらもそれを決定的には行使できない。これは、米中が「グローバルな経済・技術システムから相手を完全には排除できない状況を共有していること」を意味する。ともに相手を傷つけられるが、戦略的に無意味な存在に追いやることはできない。だからこそ米中は、デカップリングにも、新たな相互依存にも向かっていない。つまり両国間のダイナミクスは「競争的共存」ということになる。それには、米中がともに自制し、紛争を管理し、特に「台湾をめぐる戦略的安心感」を育むことが必要になる。

中東におけるアメリカの未来
―― 軍事的成果と戦略的敗北?

2026年8月号 中東におけるアメリカの未来<br>―― 軍事的成果と戦略的敗北?

イラン戦争で圧倒的なパワーをみせつけつつも、アメリカは戦略目標を達成できず、中東におけるアメリカへの信頼も失墜している。実際、イラン戦争でアメリカは兵器備蓄を危険なまでに浪費し、もはや、同じレベルの戦争を現状で戦う力は残されていない。米市民は、これ以上の中東関与を望んでいないし、湾岸諸国もアメリカ以外にも防衛パートナーを求め始めている。アメリカにとって、現在の中東における最大の問題は、軍事的成果を戦略的勝利に結びつけられずにいることだ。今回の戦争は、アメリカパワーの決定的な矛盾を象徴するものとして歴史に刻まれることになるのかもしれない。

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2026年8月号(2026年8月10日発売)

Contents

  • AIの経済機会と政治危機
    危機を回避し、創造的破壊を生かすには

    ジェームズ・A・デビッドソン、マシュー・J・スローター

  • 拡大抑止の崩壊と米同盟諸国
    韓国とNATOの選択

    ジェニファー・リンド、ダリル・G・プレス

  • 米中関係の本質
    競争的共存の条件

    汪錚

  • 習とトランプの駆け引き
    揺るがされる台湾の命運

    リチャード・ハース、デビッド・サックス

  • ハートランド対リムランド(上)
    次の世界秩序をめぐる抗争

    マイケル・ベックリー、ハル・ブランズ

  • ハートランド対リムランド(下)
    リムランドはまとまれるのか

    マイケル・ベックリー、ハル・ブランズ

  • 中東におけるアメリカの未来
    軍事的成果と戦略的敗北?

    デーナ・ストラウル

  • イラン戦争のグローバルな帰結
    対米不信と中国の影響力拡大

    イアン・ブレマー、フィラス・マクサド

他全9本掲載

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