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2017.11.22 Wed

中韓の関係修復と米韓関係
―― ミサイルと経済制裁と対米バランス

なぜ韓国政府は対中和解を模索したのか。THAAD導入によって(中国の経済制裁の対象にされ)大きな経済的損失が出ていることについては国内で大きな批判があり、中国とのより緊密な関係を求める圧力も高まっていることに配慮したのかもしれない。トランプの無責任な北朝鮮挑発路線を前に、中国との距離を狭め、アメリカから距離を置こうとしたのかもしれない。だがワシントンにとっては、中国との二国間関係の改善を通じた短期的利益のために、韓国が未来の安全保障上のオプションを閉ざしてしまうとすれば、懸念すべき事態だ。・・・(グレーサー、コリンズ)

韓国は追い込まれている。文在寅は北朝鮮とアメリカ、双方の戦略に巻き込まれるのを回避しようと、両国に対して今後さらに自国の立場を明確に主張していくつもりかもしれない。韓国の安全を守るためのTHAAD配備に反発する中国には、実質的な経済制裁の対象にさえされている。韓国の大統領にとって現状における最大の課題は、アメリカの戦術核の再配備、あるいは独自の核開発をつうじて国を核兵器で守ることを求める国内の声にどのように対処していくかだろう。・・・(ムーン)

北朝鮮が日韓の原子力施設を攻撃すれば、何が起きるか。原子炉が攻撃され、炉心や使用済み核燃料のプールにダメージが及べば、原子炉は、殺戮兵器ではないにしても、実質的にテロ攻撃や大量破壊兵器と同じ作用をする。日韓はアメリカとともに防衛計画をまとめていく上で、原子力発電施設の脆弱性を無視してはならない。・・・(ランバーグ)

中韓の関係修復と米韓関係
―― ミサイルと経済制裁と対米バランス

2017年12月号 ボニー・S・グレーサー 戦略問題国際研究所(CSIS) シニア・アドバイザー(アジア担当)、リサ・コリンズ CSIS コリアチェア担当フェロー

2017年10月末、中国外務省の華春瑩報道官は、中国が韓国に求めているのは「アメリカのミサイル防衛システムに参加しない。日米韓の安保協力体制を全面的な軍事同盟に進化させない。THAADの追加配備をしない」という三つの「不」へのコミットメントだと指摘した。しかし、なぜ韓国政府はこのタイミングで対中和解を模索したのか。THAAD導入によって(中国の経済制裁の対象にされ)大きな経済的損失が出ていることについては国内で大きな批判があり、中国とのより緊密な関係を求める圧力も高まっていることに配慮したのかもしれない。トランプの無責任な北朝鮮挑発路線を前に、中国との距離を狭め、アメリカから距離を置こうとしたのかもしれない。だがワシントンにとっては、中国との二国間関係の改善を通じた短期的利益のために、韓国が未来の安全保障上のオプションを閉ざしてしまうとすれば、懸念すべき事態だ。

北朝鮮危機と韓国のトリレンマ
―― 経済と安全保障のバランスをどうとるか

2017年10月号 キャサリン・H・S・ムーン ウェルズリー大学 教授(政治学)

韓国は追い込まれている。北朝鮮はミサイル発射を繰り返し、核実験も強行した。米戦略への同調を求めるトランプ政権ともうまくいっていない。文在寅は北朝鮮とアメリカ、双方の戦略に巻き込まれるのを回避しようと、両国に対して今後さらに自国の立場を明確に主張していくつもりかもしれない。韓国の安全を守るためのTHAAD配備に反発する中国には、実質的な経済制裁の対象にさえされている。そして、韓国の大統領にとって現状における最大の課題は、アメリカの戦術核の再配備、あるいは独自の核開発をつうじて国を核兵器で守ることを求める国内の声にどのように対処していくかだろう。実際、2016年9月のギャラップ社の調査では、韓国人の58%が国内での核開発を支持すると回答し、反対派はわずか34%だった。

北朝鮮のもう一つの脅威
―― 日韓の原発施設に対する攻撃に備えよ

2017年10月号 ベネット・ランバーグ 元国務省分析官

北朝鮮が日韓の原子力施設を攻撃すれば、何が起きるか。両国の政府はそれに備え、態勢を整えておかなければならない。これは想定外のシナリオではない。中東では建設中の原子炉をターゲットとする攻撃が起きているし、ボスニア紛争でも、インド・パキスタンの対立状況のなかでも、原子炉攻撃のリスクは意識されていた。原子力施設に対する北朝鮮のミサイル攻撃の帰結よりも、数十万人が犠牲になるかもしれない(人口密集地帯への)通常ミサイル攻撃による脅威の方が深刻だと考える者もいるだろう。しかし、原子炉が攻撃され、炉心や使用済み核燃料のプールにダメージが及べば、原子炉は、殺戮兵器ではないにしても、実質的にテロ攻撃や大量破壊兵器と同じ作用をする。日韓はアメリカとともに防衛計画をまとめていく上で、原子力発電施設の脆弱性を無視してはならない。

2017年11月号

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2017年11月号(2017年11月10日発売)

Contents

  • スターリンとヒトラー
    ――二十世紀を分けた独裁者の思想と地政学戦略

    スティーブン・コトキン

  • トランプの何が問題なのか
    ――啓蒙的アメリカ・ファーストへの道筋を描く

    アンドリュー・ベーセビッチ

  • トランプとヨーロッパと米英関係
    ――劇場化する米欧関係

    デービッド・グッドハート

  • 中国経済をめぐる欧米の誤解
    ――債務、貿易、政治腐敗

    ユーコン・ファン

  • 欧米・トルコ関係の分水嶺
    ――懐柔策ではなく、強硬策を

    ニック・ダンフォ―ス イルケ・トイグール

  • 民主国家に浸透する権威主義
    ――蝕まれるリベラルな民主主義

    トルステン・ベナー

  • イランが警戒するクルド独立の動き
    ――クルド独立シナリオが刺激する中東秩序の再編?

    アリアネ・M・タバタバイ

  • クルド住民投票が開けたパンドラの箱
    ――クルドとイラクが歩み寄る余地はあるか

    ギャリップ・ダレイ

他全10本掲載

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