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2018.12.14 Fri

テクノロジー・ワールド
―― デジタル企業の市場独占と消費者の利益

グーグル、フェイスブック、アマゾンなどの「デジタルスーパースター企業」は、企業であるとともに、膨大な顧客データを占有する市場でもある。消費者の好みや取引について、運営会社がすべての情報を管理している。買い手は「おすすめ」と選択肢の示され方に大きな影響を受ける。・・・状況を放置すれば、このデジタル市場は、外からの意図的な攻撃や偶発的な障害によってシステムダウンを起こしやすくなる。(ランゲほか)

真に開花するまでに100年以上を要した産業革命とは違って、デジタル革命による雇用喪失はわずか数十年で加速していく。これに比べれば、中国の台頭などの21世紀の地政学的動向は、あと20年もすれば、どれも、取るに足らぬ問題にすぎなくなる。どの国が世界最高のAIを保有しているかですべては決まるし、政府形態も流動化していく。(ドラム)

現在の「インタンジブル・エコノミー」(無形経済)の主要センターはやはり中国だ。アリババ、バイドゥ、テンセントといった中国のインターネット企業は、規模や収益性という側面でも、カリフォルニア州のライバル企業に次ぐ存在となり、もはや他国の企業を寄せ付けない存在となっている。(バポネス)

デジタル企業の市場独占と消費者の利益
―― 市場の多様性とレジリエンスをともに高めるには

2018年10月号 ビクター・メイヤー=ションバーガー オックスフォード大学教授 (インターネット・ガバナンス・規制)、トーマス・ランゲ 独ブランドアインズ誌テクノロジー担当記者

グーグル、フェイスブック、アマゾンなどの「デジタルスーパースター企業」は、企業であるとともに、膨大な顧客データを占有する市場でもある。消費者の好みや取引について、運営会社がすべての情報を管理し、そのデータを使って独自の意思決定アシスタントに機械学習をさせている。買い手は「おすすめ」と選択肢の示され方に大きな影響を受ける。こうした市場は、レジリエントで分散化された伝統的市場よりも、計画経済に近い。しかも、状況を放置すれば、このデジタル市場は、外からの意図的な攻撃や偶発的な障害によってシステムダウンを起こしやすくなる。だが、必要なのは企業分割ではない。むしろ、スーパースター企業が集めたデータを匿名化した上で、他社と共有するように義務づけるべきだろう。データが共有されれば、複数のデジタル企業が同一データから最善の洞察(インサイト)を得ようと競い合うようになり、デジタル市場は分散化され、イノベーションも刺激されるはずだ。

テクノロジー・ワールド
―― 地政学革命としての人工知能

2018年7月号 ケビン・ドラム マザージョーンズ スタッフライター

産業革命は世界を変えたが、機械が人間の筋肉の代役を果たすようになっただけで、人の頭脳が依然として必要とされたために、高賃金雇用が数多く創出された。しかしデジタル革命を担うのは、人間の頭脳を代替する人工知能(AI)だ。本質的に、人間レベルのAIは人間ができることすべてをより巧みに遂行できる。おそらくロボットはすべての仕事の4分の1(25%)以上を担うことになると考えられている。しかも、真に開花するまでに100年以上を要した産業革命とは違って、デジタル革命による雇用喪失はわずか数十年で加速していく。これに比べれば、中国の台頭などの21世紀の地政学的動向は、あと20年もすれば、どれも、取るに足らぬ問題にすぎなくなる。どの国が世界最高のAIを保有しているかですべては決まるし、政府形態も流動化していく。

インターネット企業と中国経済の未来
―― 製造業からインタンジブル・エコノミーへ

2017年12月号 サルバトーレ・バポネス シドニー大学 社会学准教授

アップルは環太平洋地域の至る所に新しい経済システムをつくりあげている。iPhoneとそれが支える技術的エコシステムに多くを依存しているこのシステムをiエコノミーと呼ぶこともできる。そこには数多くのハブがある。マイクロソフトとアマゾンはシアトルを、ソニーと任天堂は日本を、サムスンは韓国を拠点としている。しかし現在の「インタンジブル・エコノミー」(無形経済)の主要センターはやはり中国だ。アリババ、バイドゥ、テンセントといった中国のインターネット企業は、規模や収益性という側面でも、カリフォルニア州のライバル企業に次ぐ存在となり、もはや他国の企業を寄せ付けない存在となっている。いまや中国を含む太平洋諸国にとって、もっとも価値ある経済要素は、生産・組立工程から、ソフトウェアデザインとアプリケーションなどのインタンジブル・エコノミーへとシフトしつつある。

2018年12月号レビュー

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本誌最新号紹介

2018年12月号(2018年12月10日発売)

Contents

  • 個人独裁国家と核の脅威
    ―― 新しい抑止概念の構築を

    スコット・セーガン

  • 中東に迫り来る巨大な嵐
    ―― 石油依存型政治システムの崩壊

    マーワン・ムアシャー

  • 皇太子率いる全体主義国家の誕生
    ―― もはやかつてのサウジにあらず

    マダウィ・アル=ラシード

  • 中東で進行するパワーバランスの再編
    ―― なぜトルコはイラン、ロシアに接近しているか

    コリン・P・クラーク、アリアネ・M・タバタバイ

  • ベネズエラの自殺
    ―― 南米の優等生から破綻国家への道

    モイセス・ナイーム、フランシスコ・トロ

  • 北朝鮮非核化の失敗と予想外の安定
    ―― 非核化という虚構がもたらす機会と脅威

    ジョシュア・シフリンソン

  • 米中戦争を回避するには
    ―― アメリカの新中国戦略に対する10の疑問

    ケビン・ラッド

  • 米中核戦争は絵空事ではない
    ―― なぜエスカレーションリスクが高いのか

    カイトリン・タルマージ

他全11本掲載

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