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2022.6.28 Tue

<7月号プレビュー>
中国が変える世界

既存の2大核保有国と肩を並べることで、中国は核の三極体制という、きわめて不安定な核システムへのパラダイムシフトを起こしつつある。冷戦期とは違って、核軍拡競争のリスクが高まり、国家が危機に際して核兵器を利用するインセンティブも大きくなる。三つの核大国が競合すれば、二極体制の安定性を高めていた特質の多くが不安定化し、信頼性も低下する。中国がロシア同様に核大国の仲間入りすることをアメリカは阻止できないが、その帰結を緩和するためにできることはある。(クレピネビッチ)

北京は「台湾防衛のコストは極めて高く、たとえ北京が台湾に侵攻しても対抗措置をとることは割に合わない」とアメリカおよびその同盟国を納得させたいと考えるはずだ。北京にとって、核兵器を持ち出すことがアメリカをこの紛争に介入させないもっとも効果的なやり方だろう。実際、アメリカと同盟国の戦略家は、「台湾をめぐる紛争では、中国は通常戦力と核戦力の全選択肢を検討に入れている」という事実を認識しておかなければならない。アメリカが抑止力を強化して「台湾侵攻に成功できるかもしれないと中国が考えないようにするために」残された時間はなくなりつつある。(ペティジョン、ワッサー)

2022年4月、ソロモン諸島は「中国との安全保障協定を締結した」と発表し、5月後半には中国の王毅外相が同様の協定を取りつけようと太平洋の他の島嶼国を訪問した。しかも、ソロモン諸島との協定は「社会秩序を維持する」要請を受けた場合、中国は警察や軍を派遣できるとされている。こうした協定は中国軍の影響圏を拡大して、海上交通の要衝へのアクセスを与えることになる。こうして、太平洋諸島はグローバルな地政学的競争に引きずりこまれ、この地域の安全保障が損なわれる恐れがある。アメリカと同盟国は目を覚ますべきだ。(エデル)

強大化する中国の核戦力
―― 変化するパワーバランスと抑止

2022年7月号 アンドリュー・F・クレピネビッチ ハドソン研究所 シニアフェロー

既存の2大核保有国と肩を並べることで、中国は核の三極体制という、きわめて不安定な核システムへのパラダイムシフトを起こしつつある。冷戦期とは違って、核軍拡競争のリスクが高まり、国家が危機に際して核兵器を利用するインセンティブも大きくなる。三つの核大国が競合すれば、二極体制の安定性を高めていた特質の多くが不安定化し、信頼性も低下する。中国がロシア同様に核大国の仲間入りすることをアメリカは阻止できないが、その帰結を緩和するためにできることはある。先ずアメリカは核抑止力を近代化しなければならない。同時に、核のパワーバランスに関する考え方を刷新し、はるかに複雑な戦略環境において抑止力を維持し、核の平和を維持する方法を新たに検証する必要がある。・・・

台湾紛争と核戦争リスク
―― 米中衝突のエスカレーションシナリオ

2022年7月号 ステイシー・L・ペティジョン 新アメリカ安全保障センター  シニアフェロー(防衛プログラム)  ベッカ・ワッサー 新アメリカ安全保障センター  フェロー(防衛プログラム)

北京は「台湾防衛のコストは極めて高く、たとえ北京が台湾に侵攻しても対抗措置をとることは割に合わない」とアメリカおよびその同盟国を納得させたいと考えるはずだ。そのための手段はいくつかあるが、北京にとって、核兵器を持ち出すことがアメリカをこの紛争に介入させないもっとも効果的なやり方だろう。実際、アメリカと同盟国の戦略家は、「台湾をめぐる紛争では、中国は通常戦力と核戦力の全選択肢を検討に入れている」という事実を認識しておかなければならない。アメリカが抑止力を強化して「台湾侵攻に成功できるかもしれないと中国が考えないようにするために」残された時間はなくなりつつある。最大のリスクは、ワシントンとその友好国が、行動を起こすチャンスをあえて見送ってしまうことだ。1―2年後には、もはや手遅れになっているだろう。

太平洋の断層線
―― 高まる中国の影響力

2022年7月号 チャールズ・エデル 米戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問

2022年4月、ソロモン諸島は「中国との安全保障協定を締結した」と発表し、5月後半には中国の王毅外相が同様の協定を取りつけようと太平洋の他の島嶼国を訪問した。しかも、ソロモン諸島との協定は「社会秩序を維持する」要請を受けた場合、中国は警察や軍を派遣できるとされている。こうした協定は中国軍の影響圏を拡大して、海上交通の要衝へのアクセスを与えることになる。こうして、太平洋諸島はグローバルな地政学的競争に引きずりこまれ、この地域の安全保障が損なわれる恐れがある。アメリカと同盟国は目を覚ますべきだ。北京がこれ以上、太平洋全域に軍事的プレゼンスを拡大するのを阻止するには、従来のアプローチを早急に見直す必要がある。・・・

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本誌最新号紹介

2022年7月号(2022年7月10日発売)

Contents

  • ウクライナ危機と新エネルギー秩序
    地政学・気候変動リスクと政府介入の拡大

    ジェイソン・ボルドフ、メーガン・L・オサリバン

  • 強大化する中国の核戦力
    変化するパワーバランスと抑止

    アンドリュー・F・クレピネビッチ

  • 台湾紛争と核戦争リスク
    米中衝突のエスカレーションシナリオ

    ステイシー・L・ペティジョン、ベッカ・ワッサー

  • 太平洋の断層線
    高まる中国の影響力

    チャールズ・エデル

  • プーチンの歴史との闘い
    ウクライナをめぐる葛藤

    アナ・レイド

  • ポスト・アメリカ世界の基本へ
    大戦略から国家戦略へのシフトを

    エリオット・A・コーエン

  • ウクライナ戦争とインドの選択
    ロシアと欧米、どちらを選ぶのか

    リサ・カーティス

  • プーチンは政治的に敗北する
    ロシア社会の不安定化に備えよ

    アンダース・アスルンド

他全10本掲載

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