ideyweb / Shutterstock.com

2020.3.18 Wed

資本主義の副産物
―― 政治腐敗と泥棒政治

「外国で企業が賄賂を支払ったとしても検挙されるリスクは平均5%以下。それでも賄賂を1ドル支払うと、平均5ドルの追加的利益を得られる」。しかも「他の犯罪とは違って、贈賄は時間をかけて進行していくことが多く、その結果もスローモーションのような災害であるため、経済的、政治的、社会的なダメージが作り出されるとしても、誰かが意識的にそれを探し出さなければ社会は気づかない」。結局、政治腐敗による利益があまりにも大きく、リスクがあまりにも小さいとなれば、これを撲滅するのはおそろしく困難になる。(バロー)

民主主義システムは、政府が公益に供する活動をすることを保証する手段として作られたが、システムが腐敗してしまった民主国家にそれを覆す力が残されているだろうか。ロビイストが爆発的に増えて、企業や産業に影響する法案を産業関係者がまとめるようになった。刑務所や戦争を含む公的サービスも民営化され、政治資金上の歯止めも外された。いまや「合法的」と「汚職ではない」の意味を混同しているアメリカの政府高官と、有権者の意識との間にはズレが生じている。・・・(チェイズ)

犯罪組織や途上国の独裁者だけでなく、超富裕層も多国籍企業も「自分にとって好ましくないルールを回避するために」資金や資産を「オフショア」と呼ばれる「他のどこか」に移動させている。好ましくないルールとは「税法、情報開示請求、刑法、あるいは金融規制」だ。タックスヘイブンは租税回避を容易にし、法の支配を弱め、組織犯罪の温床を作り出す。強大な力で保護されているこの世界最大の利権構造に切り込むのは容易ではない。(シャクソン)

ダーティマネー
―― 政治腐敗が規定する世界

2020年3月号 オリバー・バロー ジャーナリスト

「外国で企業が賄賂を支払ったとしても検挙されるリスクは平均5%以下。それでも賄賂を1ドル支払うと、平均5ドルの追加的利益を得られる」。そうだとすれば、賄賂を提供することの恩恵はリスクを大きく上回り、賄賂を支払うことは経済的に合理的な行為となる。しかも「他の犯罪とは違って、贈賄は時間をかけて進行していくことが多く、その結果もスローモーションのような災害であるため、経済的、政治的、社会的なダメージが作り出されるとしても、誰かが意識的にそれを探し出さなければ社会は気づかない」。結局、政治腐敗による利益があまりにも大きく、リスクがあまりにも小さいとなれば、これを撲滅するのはおそろしく困難になる。だが、政府機関の不正が大きくなれば、その国の経済成長は低下し、所得格差が拡大することはすでに明らかになっている。

マフィア国家とアメリカの泥棒政治
――政治腐敗という世界的潮流

2017年9月号 サラ・チェイズ  カーネギー国際平和財団シニアフェロー

政治腐敗は、弱さや無秩序の結果ではなく、権力者を豊かにするために設計されたシステムがうまく機能している証拠にすぎない。例えば、グアテマラの政権与党は「政党というより暴力団に近い。その役割は国を略奪することにある」。この国では「エリートが犯罪集団であり、国庫に入るお金の流れを牛耳る泥棒政治が横行している」。アメリカも例外ではない。民主主義システムは、政府が公益に供する活動をすることを保証する手段として作られたが、システムが腐敗してしまった民主国家にそれを覆す力が残されているだろうか。ロビイストが爆発的に増えて、企業や産業に影響する法案を産業関係者がまとめるようになった。刑務所や戦争を含む公的サービスも民営化され、政治資金上の歯止めも外された。いまや「合法的」と「汚職ではない」の意味を混同しているアメリカの政府高官と、有権者の意識との間にはズレが生じている。・・・

グローバル金融を蝕むタックスヘイブン
―― 犯罪と格差の象徴を粉砕するには

2018年6月号 ニコラス・シャクソン タックス・ジャスティス・ネットワーク スタッフライター

犯罪組織や途上国の独裁者だけでなく、超富裕層も多国籍企業も「自分にとって好ましくないルールを回避するために」資金や資産を「オフショア」と呼ばれる「他のどこか」に移動させている。好ましくないルールとは「税法、情報開示請求、刑法、あるいは金融規制」だ。「他のどこか」であるオフショアでの取引はエキゾチックなどこかではなく、世界経済の中枢近くで行われている。タックスヘイブンは租税回避を容易にし、法の支配を弱め、組織犯罪の温床を作り出す。格差をさらに拡大させてポピュリストの反動を助長し、市場経済を腐敗させる。すでにパナマ文書とパラダイス文書によって、「オフショアシステムはグローバル経済のガンである」ことが明らかにされている。強大な力で保護されているこの世界最大の利権構造に切り込むのは容易ではない。犯罪と格差に対する民衆の怒りを動員する政治家の政治的意思が必要になる。

Current Issues

Focal Points アーカイブ

Focal Points

過去のトップページ特集

Focal Points アーカイブ

最新のSubscribers' Only公開論文

論文データベース

本誌最新号紹介

2020年3月号(2020年3月10日発売)

Contents

  • 新しい勢力圏と大国間競争
    ―― 同盟関係の再編と中ロとの関係

    グレアム・アリソン

  • デジタル独裁国家の夜明け
    ―― 民主化ではなく、独裁制を支えるテクノロジー

    アンドレア・ケンドル=テイラー 他

  • アメリカのリーダーシップと世界
    ―― トランプ後のアメリカ外交

    ジョセフ・バイデン

  • CFR Meeting
    新型ウイルスの脅威
    ―― 封じ込めはできるのか、政府の対応は適切か、経済はどうなるか

    トーマス・R・フリーデン他

  • 習近平とコロナウイルス
    ―― トップダウン型危機管理の弊害

    エリザベス・エコノミー

  • CFR Updates
    コロナウイルスと中国のハイテク企業

    ローレン・ダドリー他

  • 最悪の事態に備えるべき理由
    ―― 新型コロナウイルスにどう対処するか

    トム・イングルスビー

  • ダーティマネー
    ―― 政治腐敗が規定する世界

    オリバー・バロー

他全11本掲載

Page Top