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2016.07.29 Fri

人工知能が雇用を奪う?
―― 人間が働くことの価値を守るには

今後時給20ドル未満の雇用の83%がオートメーション化されるとみる予測もある。労働市場は大きく変化していく。新しい技術時代の恩恵をうまく摘み取るだけでなく、取り残される人々を保護するための救済策が必要になる。間違った政策をとれば、世界の多くの人を経済的に路頭に迷わせ、機械との闘いに敗れた人を放置することになる。(マカフィー)

ルーティン化された雇用はいずれ消滅し、むしろ、一時的なプロジェクトへの人間とロボットのフォーマル、インフォーマルな協力が規範になっていく。・・・最大の課題は、多くの人が仕事を頻繁に変えなければならなくなり、次の仕事を見つけるまで失業してしまう事態、つまり、「とぎれとぎれの雇用」しか得られないという状況にどう対処していくかだ。(コリン)

すでにわれわれは人工知能が人の交流の相手となる時代の入り口にさしかかっている。ほぼすべての雇用が脅かされ、新しいテクノロジーから恩恵を引き出せる人はますます少なくなり、失業が増大し、経済格差がさらに深刻になる。さらに厄介なのは、伝統的に人間関係を規定してきた倫理・道徳観に相当するものが、人間とロボットの間に存在しないことだ。(ノーバクシュ)

人工知能と「雇用なき経済」の時代
―― 人間が働くことの価値を守るには

2016年8月号 アンドリュー・マカフィー  マサチューセッツ工科大学 首席リサーチサイエンティスト 、 エリック・ブリュニョルフソン マサチューセッツ工科大学 教授

さまざまな事例を検証し、相関パターンを突き止め、それを新しい事例に適用することで、コンピュータはさまざまな領域で人間と同じか、人間を超えたパフォーマンスを示すようになった。道路標識を認識し、人間の演説を理解し、クレジット詐欺を見破ることもできる。すでにカスタマーサービスから、医療診断までの「パターンをマッチさせるタスク」は次第に機械が行うようになりつつあり、人工知能の誕生で世界は雇用なき経済へと向かいつつある。今後時給20ドル未満の雇用の83%がオートメーション化されるとみる予測もある。労働市場は大きく変化していく。新しい技術時代の恩恵をうまく摘み取るだけでなく、取り残される人々を保護するための救済策が必要になる。間違った政策をとれば、世界の多くの人を経済的に路頭に迷わせ、機械との闘いに敗れた人を放置することになる。

ロボットが雇用を揺るがす
―― デジタル経済と新社会保障政策

2015年7月号 ニコラ・コリン ブルーノ・パリアー ザ・ファミリー 共同設立者兼パートナーヨーロッパ研究センターリサーチディレクター

ロボットの台頭に象徴されるデジタル経済のなかで、「すてきな仕事」をしている人は今後もうまくやっていく。だが、製造、小売り、輸送などの部門で「うんざりする仕事」をしている人、決まり切ったオフィスワークをしている人は、賃金の引き下げ、短期契約、不安定な雇用、そして失業という事態に直面し、経済格差が拡大する。ルーティン化された雇用はいずれ消滅し、むしろ、一時的なプロジェクトへの人間とロボットのフォーマル、インフォーマルな協力が規範になっていく。技術的進化が経済を作り替えていく以上、福祉国家システムも新しい現実に即したものへと見直していかなければならない。最大の課題は、多くの人が仕事を頻繁に変えなければならなくなり、次の仕事を見つけるまで失業してしまう事態、つまり、「とぎれとぎれの雇用」しか得られないという状況にどう対処していくかだ。

知能ロボットと暗黒時代の到来
―― 高度に社会的なロボットの脅威

2015年8月号 アイラ・レザ・ノーバクシュ  カーネギーメロン大学ロボット工学研究所 教授

現状では、すべての社会的交流は人対人によるものだが、すでにわれわれは人工知能が人の交流の相手となる時代の入り口にさしかかっている。ほぼすべての雇用が脅かされ、新しいテクノロジーから恩恵を引き出せる人はますます少なくなり、失業が増大し、経済格差がさらに深刻になる。さらに厄介なのは、伝統的に人間関係を規定してきた倫理・道徳観に相当するものが、人間とロボットの間に存在しないことだ。ロボットが、人間のプライバシーや物理的保護を心がけ、道義的な罪を犯すことを避けようとする衝動をもつことはない。知能機械はいずれ人の心をもてあそび、十分な情報をもち、どうすればわれわれの行動に影響を与えられるかを学ぶようになる。つまり、「高度に社会的なロボット」によって人間が操られる危険がある。

8月号から

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本誌最新号紹介

2016年8月号(2016年8月10日発売)

Contents

  • 終末期を迎えた資本主義?
    ―― もはや民主政治では資本主義を制御できない

    マーク・ブリス

  • 人工知能と「雇用なき経済」の時代
    ―― 人間が働くことの価値を守るには

    アンドリュー・マカフィー、エリック・ブリュニョルフソン

  • 逆風にさらされる民主主義
    ―― 内向きのアメリカと衰退する世界の民主主義

    ラリー・ダイアモンド

  • トルコで何が起きているのか
    ―― 宗教化する政治と過激化する社会

    ソーナー・カギャプタイ

  • エルドアンの予言
    ―― 軍事クーデターの政治的意味合い

    マイケル・J・コプロー

  • 国際法と南シナ海の騒乱
    ―― ワシントンが北京の穏健派を支えるには

    アリ・ウェイン

  • EUの存続を左右するイギリスの今後
    ―― EU離脱の余波を考える

    ジョン・マコーミック

  • ブレグジットとヨーロッパの未来
    ―― NATOとユーロへの波及はあるか

    リチャード・ハース、セバスチャン・マラビー、アニヤ・シュメーマン

他全12本掲載

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