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2017.4.29 Sat

トランプと戦争
――イラン、中国、北朝鮮との戦争シナリオを考える

・・・もっとも、トランプの主張が正しい可能性もある。大規模な軍部増強、予想できない行動をとる指導者のイメージ、一か八かの交渉スタイル、そして妥協を拒む姿勢を前に、他の諸国が立場を譲り、アメリカを再び安全で繁栄する偉大な国にするかもしれない。だが、彼が間違っている可能性もある。核合意を解体し、中国との貿易戦争を始め、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル実験を力尽くで阻止すれば、そのすべてが紛争へとエスカレートしていく恐れがある。(ゴードン)

「中国を為替操作国のリストに入れ、世界貿易機関(WTO)に提訴し、中国製品の輸入関税を引き上げる」とトランプはこれまで何度も繰り返してきた。彼は中国からの輸入を抑えることで公正な競争基盤を取り戻せば、アメリカ国内の製造業は復活すると主張しているが、それは妄想にすぎない。アメリカの製造業雇用はかつてなく減少しているが、一方で工業生産量が歴史的な高水準に達していることの意味合いを考える必要がある。(カンパネッラ)

北朝鮮民衆が国内外の情勢について、より正確な情報を入手するようになるにつれて、「国に裏切られた」という思いが生まれ、政府に対する不信感が広がっている。北朝鮮は内側から変わるしかない。外国の情報や文化を伝えるデジタルコンテンツの流通は、それを推進するもっとも持続可能かつ費用対効果の高い方法だろう。(ジウン)

トランプと戦争
――イラン、中国、北朝鮮との戦争シナリオを考える

2017年5月号 フィリップ・ゴードン 米外交問題評議会シニアフェロー

歴史を顧みれば、トランプのような指導者が市民の不満を追い風に権力を握り、敵を屈服させると約束しつつも、軍事、外交、経済上の紛争の泥沼にはまり込み、結局は後悔することになったケースは数多くある。もっとも、トランプの主張が正しい可能性もある。大規模な軍部増強、予想できない行動をとる指導者のイメージ、一か八かの交渉スタイル、そして妥協を拒む姿勢を前に、他の諸国が立場を譲り、アメリカを再び安全で繁栄する偉大な国にするかもしれない。だが、彼が間違っている可能性もある。核合意を解体し、中国との貿易戦争を始め、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル実験を力尽くで阻止すれば、そのすべてが紛争へとエスカレートしていく恐れがある。トランプの常軌を逸したスタイルと対決的な政策が、すでに不安定化している世界秩序を崩壊させ、アメリカがイラン、中国、北朝鮮との紛争へと向かっていく恐れもある。

トランプの保護主義路線に中国が報復すれば
―― 勝者なき重商主義と貿易戦争

2017年2月号 エドアルド・カンパネッラ ウニクレディト銀行ユーロ圏エコノミスト

「中国を為替操作国のリストに入れ、世界貿易機関(WTO)に提訴し、中国製品の輸入関税を引き上げる」とトランプはこれまで何度も繰り返してきた。彼は中国からの輸入を抑えることで公正な競争基盤を取り戻せば、アメリカ国内の製造業は復活すると主張しているが、それは妄想にすぎない。アメリカの製造業雇用はかつてなく減少しているが、一方で工業生産量が歴史的な高水準に達していることの意味合いを考える必要がある。アメリカのブルーカラー雇用の減少は、生産性を高めるテクノロジーの進歩によるものだ。しかも大統領の貿易上の権限は150日間にわたって上限15%の関税を課すことだけで、それ以上を望むのなら、議会の承認を得なければならない。しかも、議会の同意を確保しても、彼のやり方はWTOルールに抵触するだろう。結局、アメリカの労働者階級の雇用の改善はほとんど見込めないばかりか、世界経済に取り返しのつかないダメージを与える恐れがある。

世界の現実に気づきだした北朝鮮民衆
―― 流入するデジタル情報と平壌の闘い

2017年2月号 ペク・ジウン ハーバード大学 ベルファーセンター・フェロー

世界でも指折りの外交交渉者が数十年にわたって金日成、金正日、そして金正恩を取り込んで魅了するか、あるいは(平壌の立場の見直しを)強制しようと手を尽くしてきたが、その全てがうまくいかず、クーデターを促す秘密工作も失敗した。核兵器の開発に成功しているために、国際社会が北朝鮮に対する体制変革路線をとり、大規模な武力行使を試みるのも難しくなった。だが一方で、北朝鮮民衆が国内外の情勢について、より正確な情報を入手するようになるにつれて、「国に裏切られた」という思いが生まれ、政府に対する不信感が広がっている。北朝鮮は内側から変わるしかない。外国の情報や文化を伝えるデジタルコンテンツの流通は、それを推進するもっとも持続可能かつ費用対効果の高い方法だろう。

2017年5月号

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2017年5月号(2017年5月10日発売)

Contents

  • トランプと戦争
    ――イラン、中国、北朝鮮との戦争シナリオを考える

    フィリップ・ゴードン

  • トランプから国際秩序を守るには
    ――リベラルな国際主義と日独の役割

    G・ジョン・アイケンベリー

  • 切り崩されたリベラルな秩序
    ―― 格差を是正し、社会的連帯を再生するには

    ジェフ・D・コルガン、ロバート・O・コヘイン

  • 日本のプラグマティズム外交の代償
    ―― 安倍外交の成果を問う

    トム・リ

  • TPPをRCEPで代替せよ
    ―― アジアの自由貿易をいかに実現するか

    シロー・アームストロング

  • トランプ時代のアジア
    ―― アジアを犠牲にした米中合意はあり得ない

    ビラハリ・コーシカン

  • 目的地 ヨーロッパ
    ―― 難民危機を管理するには

    エリザベス・コレット

  • EUのもう一つの移民問題
    ―― 東中欧の人口流出危機

    テジ・パリク

他全11本掲載

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