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2019.6.17 Mon

<6月号掲載論文>
イギリスの混乱は長期化する
―― イギリスの解体か保守党の分裂か

「EUの単一市場と関税同盟を離脱しつつ、(北アイルランドと)アイルランド間にはっきりとした国境が出現するのを回避し、イギリス全体としてのブレグジットの実現」を目指したテリーザ・メイのアプローチが、これまでのところ解決不能なトリレンマを作り出している。しかも、北アイルランドの立場も分裂している。結局、英議会の分裂は国が分裂していることを意味する。・・・(スロート)

二大政党の牙城に第三政党がどこまで食い込み、政治を再編できるか。すでに、労働党はこれ以上の離党者を出さぬように、2019年3月に立ち上げられた新党、チェンジUKの立場を取り入れ、国民投票の再実施を支持している。今後、国民投票をめぐって作り出された分裂が永続化するような、より抜本的な再編が起きるかどうか、これによって今後のイギリス政治は左右される。(メノン)

どのようなブレグジットを望んでいるのか、イギリス国内にコンセンサスはない。長期的には、保守党が分裂して(国民投票のやり直しを示唆している)労働党が政権をとるかもしれないし、あるいは、イギリスは国家分裂してイングランドとウェールズの連合へと縮小していくかもしれない。(マタイス)

イギリスの混乱は長期化する
―― 断ち切れぬヨーロッパとの絆

2019年6月号 アマンダ・スロート  ブルッキングス研究所米欧センター  シニアフェロー

デービッド・キャメロンが、ブレグジットの国民投票に踏み切ったのは、保守党内部で長く続けられていた「ヨーロッパにおけるイギリスの立場」に関する論争に終止符を打ちたいと考えたからだった。だが、国民投票の結果、論争はさらに深刻化した。そして「EUの単一市場と関税同盟を離脱しつつ、(北アイルランドと)アイルランド間にはっきりとした国境が出現するのを回避し、イギリス全体としてのブレグジットの実現」を目指したテリーザ・メイのアプローチが、これまでのところ解決不能なトリレンマを作り出している。しかも、北アイルランドの立場も分裂している。結局、英議会の分裂は国が分裂していることを意味する。・・・

イギリス政治の再編か
―― ブレグジットと伝統的政党の凋落?

2019年6月号 アナンド・メノン  キングス・カレッジ・ロンドン 教授(ヨーロッパ政治) アラン・ウェージャー キングス・カレッジ・ロンドン リサーチ・アソシエーツ

二大政党の牙城に第三政党がどこまで食い込み、政治を再編できるか。すでに、労働党はこれ以上の離党者を出さぬように、2019年3月に立ち上げられた新党、チェンジUKの立場を取り入れ、国民投票の再実施を支持している。だが、そのチェンジUKも(地方選挙で大きな躍進を遂げた)自由民主党と選挙協力をしない限り、中道派の票を奪い合うことになり、保守党の基盤に切り込めない。(一方、ナイジェル・ファラージが4月に旗揚げした「ブレグジット党」が支持を集めていると報道されている)。今後、国民投票をめぐって作り出された分裂が永続化するような、より抜本的な再編が起きるかどうか、これによって今後のイギリス政治は左右される。

イギリスのブレグジット・ジレンマ
―― イギリスの解体か保守党の分裂か

2018年2月号 マティアス・マタイス ジョンズ・ホプキンス大学助教

今後数カ月でEU離脱推進派の主張のまやかしが白日の下にさらけ出される。イギリスは2019年3月にEUを離脱する。しかし短期的にはイギリスが主権を完全に取り戻すことはない。移行期においてEUは現状を維持する一方で、イギリスの声はEUの意思決定に反映されることはなくなる。移行期間中のイギリスはEU加盟国としてのあらゆる義務を負う一方で、EUにおける議決権を失う。しかも、どのようなブレグジットを望んでいるのか、イギリス国内にコンセンサスはない。長期的には、保守党が分裂して(国民投票のやり直しを示唆している)労働党が政権をとるかもしれないし、あるいは、イギリスは国家分裂してイングランドとウェールズの連合へと縮小していくかもしれない。2018年、テリーザ・メイは保守党あるいは国家の統一のどちらを優先するか、その選択を迫られることになるだろう。

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本誌最新号紹介

2019年6月号(2019年6月10日発売)

Contents

  • 人工知能の恩恵とリスク
    ―― 誰も勝者になれない世界を回避するには

    ポール・シャーリ

  • AIと未来の戦争
    ―― アメリカが軍事的に衰退する理由

    クリスチャン・ブローズ

  • トランプの撤退宣言とシリアの現実
    ―― 介入目的を下方修正するしかない

    ブレット・マクガーク

  • 中ロパートナーシップの高まる脅威
    ―― 手遅れになる前に行動を起こせ

    アンドレア・ケンドール=テイラー、デビッド・シュルマン

  • 独裁者と欧米コンサルタント企業
    ―― その功罪をどう判断するか

    カルバート・W・ジョーンズ

  • 米外交と同盟関係を支える価値
    ―― アメリカ・ファーストのコストは何を意味するか

    コーリー・シャーキー

  • イギリスの混乱は長期化する
    ―― 断ち切れぬヨーロッパとの絆

    アマンダ・スロート

  • イギリス政治の再編か
    ―― ブレグジットと伝統的政党の凋落?

    アナンド・メノン、アラン・ウェージャー

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