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2016.09.29 Thu

アメリカのTPP批准はほぼあり得ない
―― 何をどこで間違えたのか

TPPが2016年に批准されなければ、誰が大統領に選ばれようと、2017年以降に批准される見込みはさらに遠のく。なぜこんなことになったのか。ワシントンの利益団体の抵抗も、合意の欠陥も、市民が貿易は雇用を輸出し、失業を増やすと反発していることもその要因だ。それぞれTPPに反対する国内の利益団体を抱えつつも、それを克服して合意をまとめたアメリカの貿易パートナーたちが、大きな怒りを感じているとしても、無理はない。・・・(カッツ)

現実には、貿易はアメリカに大きな利益をもたらしている。雇用喪失の85%以上はオートメーション化による生産性の向上が原因で、貿易が原因による雇用喪失は13%にすぎない。それでも、大統領候補たちは貿易を激しく批判し、それが歴史的な間違いであるにも関わらず、議会によるTPP批准まで危険にさらされている。・・・(アーウィン)

現在のアメリカ人は、終わりのない外国での戦争にうんざりし、格差に苛立ち、ビジネス・政治エリートたちに不信感をもっている。貿易を敵視し、対外介入を嫌がっている。したがって、次期大統領は貿易をめぐってはより強固な社会的セーフティネットを準備して、国際貿易批判に対する防波堤を築く必要がある。・・・(フォンテーヌ、カプラン)

アメリカのTPP批准はほぼあり得ない
―― 何をどこで間違えたのか

2016年11月号_リチャード・カッツ オリエンタル・エコノミスト・レポート エディター

米議会がTPPに批准するかどうか、かなり難しく情勢にある。クリントン、トランプという2人の大統領候補も、TPPに反対すると明言している。共和党の指導者は11月8日の大統領選挙から12月16日までの議会のレームダックセッションでTPP条約案の採決はしないとすでに表明している。オバマ大統領は、彼らを説得することへの自信を示しているが、そうできるとは考えにくい。TPPが2016年に批准されなければ、誰が大統領に選ばれようと、2017年以降に批准される見込みはさらに遠のく。なぜこんなことになったのか。ワシントンの利益団体の抵抗も、合意の欠陥も、市民が貿易は雇用を輸出し、失業を増やすと反発していることもその要因だ。それぞれTPPに反対する国内の利益団体を抱えつつも、それを克服して合意をまとめたアメリカの貿易パートナーたちが、大きな怒りを感じているとしても、無理はない。・・・

貿易叩きという歴史的な間違い
―― なぜ真実が見えなくなってしまったか

2016年9月号_ダグラス・アーウィン ダートマス大学経済学部教授

ドナルド・トランプは、「愚かな」交渉人がまとめたひどい貿易合意のせいで、中国、日本、メキシコがアメリカを貿易面で追い込んでいると訴えている。ヒラリー・クリントンでさえ、反対派に歩調を合わせざるを得なくなり、いまやTPPに反対であると明言している。現実には、貿易はアメリカに大きな利益をもたらしている。雇用喪失の85%以上はオートメーション化による生産性の向上が原因で、貿易が原因による雇用喪失は13%にすぎない。それでも、大統領候補たちは貿易を激しく批判し、それが歴史的な間違いであるにも関わらず、議会によるTPP批准まで危険にさらされている。現実にはアメリカは貿易上の問題には直面していない。問題は、かつて非熟練労働者が中間層の仲間入りを果たすことに道を開いた経済的なはしごが壊れてしまったことだ。

トランプ・サンダース効果と次期大統領
―― アメリカの貿易政策と外交はどう変化するか

2016年7月号_リチャード・フォンテーヌ/センターフォーアメリカンセキュリティ会長、ロバート・D・カプラン/センターフォーアメリカンセキュリティ シニアフェロー

ドナルド・トランプとバーニー・サンダースはアメリカ社会のムードとアメリカ人が何を望んでいるかについておおむね適切に理解している。現在のアメリカ人は、終わりのない外国での戦争にうんざりし、格差に苛立ち、ビジネス・政治エリートたちに不信感をもっている。貿易を敵視し、対外介入を嫌がっている。したがって、次期大統領は貿易をめぐってはより強固な社会的セーフティネットを準備して、国際貿易批判に対する防波堤を築く必要がある。外交領域では、介入して泥沼に足をとられても、一方で行動を起こさなくても大きなコストを抱え込むことになる以上、相互に関連する慢性的な危機にうまく対処できる政策を形作らなければならない。いずれにせよ、2016年のアメリカの政治を特有なものにしているトレンドが、近い将来に終わることはなく、むしろ現状はその入り口であることを認識する必要がある。

2016年10月号

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2016年10月号(2016年10月10日発売)

Contents

  • EUの衰退と欧州における
    国民国家の復活

    ヤコブ・グリジェル

  • テリーザ・メイのブレグジット戦略
    ―― 交渉パートナーとの妥協点をいかに見出すか

    ティム・キュレン

  • ヨーロッパをテロから守るには

    デヴィッド・オマンド

  • 中国の壮大なインフラプロジェクトに どう関わるか
    ―― 一帯一路への選択的関与を

    ガル・ルフト

  • インフラプロジェクトと政治腐敗
    ―― 新開発銀行は大きな混乱に直面する

    クリストファー・サバティーニ

  • ベネズエラ経済の悪夢
    ―― ディフォルトか抜本的な
    社会・経済改革か

    リサ・ビシディ

  • ブラジルの政治腐敗を断ち切るには
    ―― 制度改革による
    政治ルールの見直しを

    エデュアルド・メロ、マティアズ・スペクター

  • なぜイランはロシアに基地使用を許したか
    ―― 歴史的不信と中東新秩序への野望

    モフセン・ミラニ

他全12本掲載

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