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2018.2.16 Fri

イスラム国後の中東
―― 戦後処理と各国の思惑

シリアはすでにアサド政権、反アサド、親トルコ、親イランの勢力、さらにはクルド人という五つの勢力がそれぞれに管理する地域へ実質的に分裂している。今後、外交領域で勝利を収めるのは、戦闘で勝利を収める以上に難しい課題になっていくだろう。(トレーニン)

イスラム国勢力の衰退によってシリア内戦が終わりに近づいても、アサド政権と反政府勢力やクルド人勢力との新しい紛争が待ち受けている。アサド政権を支援するイランがシリアでの影響力を高め、ロシアもプレゼンスを確立している。ここでシリア民主軍、クルド人勢力を助ければ、アメリカは新しい紛争に巻き込まれることになる。(フォード )

中東のパワーバランスを回復する上でもっとも重要な要因は、イラクの安定化ということになる。地域諸国が依然として混乱のなかにあるイラクの権力の空白を埋めていくのを阻止するには、この国を強くしなければならないし、そのためには依然としてアメリカの支援が必要だろう。(スカイ)

プーチンが思い描く紛争後のシリア
―― 戦後処理と各国の思惑

2018年2月号 ドミトリ・トレーニン カーネギー・モスクワセンター所長

バッシャール・アサドはダマスカスの権力を握っているかもしれないが、シリアの政治的風景はもはや元に戻せないほどに変化している。シリアはすでにアサド政権、反アサド、親トルコ、親イランの勢力、さらにはクルド人という五つの勢力がそれぞれに管理する地域へ実質的に分裂している。ロシアは、この現実を受け入れようとしないアサドだけでなく、紛争期の同盟国であるイランの動きにも対処していく必要がある。アサド政権だけでなく、イランやトルコのシリアに対する思惑が変化していくのは避けられず、これに関連するイスラエルの懸念にも配慮しなければならない。今後、外交領域で勝利を収めるのは、戦闘で勝利を収める以上に難しい課題になっていくだろう。

シリア内戦後を考える
―― アメリカに何ができるのか

2017年12月号 ロバート・S・フォード 元駐シリア米大使

イスラム国勢力の衰退によってシリア内戦が終わりに近づいても、アサド政権と反政府勢力やクルド人勢力との新しい紛争が待ち受けている。特に、西部からデリゾールにかけての「イランとロシアが支援するシリア政府軍」と、デリゾール東部を支配している「アメリカが支援するシリア民主軍」がいずれ戦火を交えることになるかもしれない。ワシントンも決断を迫られる。撤退すべきかどうか、撤退するとすれば、いつどのように撤退するかを決めなければならない。アサド政権を支援するイランがシリアでの影響力を高め、ロシアもプレゼンスを確立している。ここでシリア民主軍、クルド人勢力を助ければ、アメリカは新しい紛争に巻き込まれることになる。・・・

イスラム国後のイラクと中東
―― イラク国家の再建で中東秩序の再建を

2017年12月号 エマ・スカイ イェール大学グローバル問題研究所 シニアフェロー

トランプだけでなく、アメリカ人の誰もが、イラクへの関与を終わらせたいと考えているだろう。しかし、かつてイラクの崩壊が現在の中東秩序の解体をもたらしたように、イラクで起きることが中東全体に大きな余波をもたらすことを忘れてはならない。逆に言えば、中東のパワーバランスを回復する上でもっとも重要な要因は、イラクの安定化ということになる。地域諸国が依然として混乱のなかにあるイラクの権力の空白を埋めていくのを阻止するには、この国を強くしなければならないし、そのためには依然としてアメリカの支援が必要だろう。

2018年2月号

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本誌最新号紹介

2018年2月号(2018年2月10日発売)

Contents

  • 信頼性失墜の果てに
    ―― ドナルド・トランプという外交リスク

    カレン・ヤーヒ=ミロ

  • 人種的奴隷制と白人至上主義
    ―― アメリカの原罪を問う

    アネット・ゴードン=リード

  • 北朝鮮限定攻撃論の悪夢
    ―― 結局は全面戦争になる

    アブラハム・M・デンマーク

  • 北朝鮮危機に外交で対処するには
    ―― 非核化は棚上げし、核武装国家の脅威削減を

    マイケル・フックス

  • 最低賃金の真実
    ―― 雇用破壊効果も格差是正効果も小さい

    アラン・マニング

  • 女性を経済活動に参加させよ
    ―― 女性が経済成長を支える

    レイチェル・ボーゲルシュタイン

  • ロシアが歴史に向き合わぬ理由
    ―― 国内的抑圧と対外的膨張主義を正当化するために

    ニキータ・ペトロフ

  • 欧州ポピュリストが演出する「文明の衝突」
    ―― 文明論を語り始めたポピュリストたち

    ロジャーズ・ブルベーカー

他全13本掲載

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