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2017.10.20 Fri

政治腐敗と縁故主義の世界的潮流
――縁故主義が先進国の制度を脅かす

90年代以降、中国共産党が行政の分権化を進めた結果、地方政府のトップはかなりの自己裁定権をもつようになった。うして地方官僚が個人的利得のために、国の資産と資源を用いる政治腐敗の無限大の機会が誕生した。共産党時代を超えて縁故資本主義が続き、中国の未来を不安定化させることになるのか。それとも、共産党はいつもの柔軟性と復元力を発揮するのか。見方は分かれている。・・・(ダリ)

資本主義と社会主義の間で変性したシステムと定義できる縁故主義が世界に蔓延している。冷戦後に勝利を収めた経済システムがあるとすれば、それは欧米が世界へと広げようとした資本主義ではない。縁故主義だ。世界的な広がりをみせた縁故主義は、途上国、新興国だけでなく、アメリカやヨーロッパにも根を下ろした。(カラム)

政治腐敗は、弱さや無秩序の結果ではなく、権力者を豊かにするために設計されたシステムがうまく機能している証拠にすぎない。アメリカも例外ではない。民主主義システムは、政府が公益に供する活動をすることを保証する手段として作られたが、システムが腐敗してしまった民主国家にそれを覆す力が残されているだろうか。(チェイズ)

縁故資本主義と中国の政治腐敗
――共産党は危機を克服できるか

2017年9月号 楊大利(ヤン・ダリ) シカゴ大学教授(政治学)

90年代以降、中国共産党が行政の分権化を進めた結果、地方政府のトップはかなりの自己裁定権をもつようになった。こうして地方官僚が個人的利得のために、国の資産と資源を用いる政治腐敗の無限大の機会が誕生した。安月給の役人が上司に賄賂を渡して、「おいしい」ポジションにつけてもらう巨大な売官市場も存在する。これには賄賂の「元手」が必要になるために、その影響は多岐に及び、しかもスキームに関わる誰もが、最終的に、自分の投資に対する見返りを期待する。この政治腐敗のネットワークが軍、司法、さらには中央の規制当局にまで及んでいる。共産党時代を超えて縁故資本主義が続き、中国の未来を不安定化させることになるのか。それとも、共産党はいつもの柔軟性と復元力を発揮するのか。見方は分かれている。・・・

資本主義と縁故主義
――縁故主義が先進国の制度を脅かす

2017年9月号 サミ・J・カラム Populyst.netエディター

資本主義と社会主義の間で変性したシステムと定義できる縁故主義が世界に蔓延している。冷戦後に勝利を収めた経済システムがあるとすれば、それは欧米が世界へと広げようとした資本主義ではない。縁故主義だ。世界的な広がりをみせた縁故主義は、途上国、新興国だけでなく、アメリカやヨーロッパにも根を下ろした。(1)政治家への政治献金、(2)議会や規制を設定する当局へのロビイング、そして(3)政府でのポジションと民間での仕事を何度も繰り返すリボルビングドアシステムという、縁故主義を助長するメカニズムによってアメリカの民主的制度が損なわれている。一見すると開放的なアメリカの経済システムも、長期にわたって維持されてきたレッセフェールの原則からますます離れ、純然たる縁故主義へと近づきつつある。

マフィア国家とアメリカの泥棒政治
――政治腐敗という世界的潮流

2017年9月号 サラ・チェイズ カーネギー国際平和財団シニアフェロー

政治腐敗は、弱さや無秩序の結果ではなく、権力者を豊かにするために設計されたシステムがうまく機能している証拠にすぎない。例えば、グアテマラの政権与党は「政党というより暴力団に近い。その役割は国を略奪することにある」。この国では「エリートが犯罪集団であり、国庫に入るお金の流れを牛耳る泥棒政治が横行している」。アメリカも例外ではない。民主主義システムは、政府が公益に供する活動をすることを保証する手段として作られたが、システムが腐敗してしまった民主国家にそれを覆す力が残されているだろうか。ロビイストが爆発的に増えて、企業や産業に影響する法案を産業関係者がまとめるようになった。刑務所や戦争を含む公的サービスも民営化され、政治資金上の歯止めも外された。いまや「合法的」と「汚職ではない」の意味を混同しているアメリカの政府高官と、有権者の意識との間にはズレが生じている。・・・

2017年10月号

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2017年10月号(2017年10月10日発売)

Contents

  • 核武装国北朝鮮にどう向き合うか
    ―― 核不拡散の脅威から核抑止の対象へ

    スコット・D・サガン

  • 北朝鮮危機と韓国のトリレンマ
    ―― 経済と安全保障のバランスをどうとるか

    キャサリン・H・S・ムーン

  • 北朝鮮のもう一つの脅威
    ―― 日韓の原発施設に対する攻撃に備えよ

    ベネット・ランバーグ

  • なぜTHAADが必要なのか

    アズリエル・ベルマント イゴル・スチャーギン

  • トランプが日本に突きつけた課題
    ―― トランプ制御策を超えて

    彦谷貴子

  • 無謀な中国と無分別なアメリカの間
    ―― トランプ時代のオーストラリア外交を考える

    マイケル・フリラブ

  • メルケルのトランプジレンマ
    ―― 自立への道をいかに切り開くか

    ステファン・ティール

  • ドライバーレスカーが経済と社会を変える
    ―― ユートピアかディストピアか

    ジョナサン・マスターズ

他全13本掲載

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