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2016.12.6 Tue

日米同盟の行方
―― オバマのヒロシマ、安倍のパールハーバー

安倍首相が真珠湾を訪問すれば、広島と長崎への原爆投下を(パールハーバーに始まる)歴史の流れのなかに位置づけ、その認識を高めることができる。さらに、日本が過去の歴史を見直すのではなく、平和の促進にコミットしていることを世界に示すことにもなる。(プリスタップ)

超国家主義が日本を近隣諸国に対する侵略と戦争へと向かわせた1930年代と違って、現在の日本は、アジアを豊かさと安定へと導く「リベラルなシステム」を強化し、擁護していくために、古い制約を解体しつつある。再出現した権威主義国家がグローバルな平和を脅かすような世界では、日本の新しいリアリズムが太平洋地域の今後10年を形作るのに貢献し、アジアを特定の一国が支配するような事態にならないことを保証する助けになるはずだ。(オースリン)

ワシントンでは中国による日本の領空や領海の侵犯は厄介な行動とみなされている程度だが、東京では主権の侵害として深刻に受け止められている。このために、「アメリカはいざというときに守ってくれないかもしれない」という懸念が払拭されず、日米同盟は揺らいでいる。重要なのは、同盟関係を強化する一方で、同盟の分断を試みる中国の試みを押し返すことだ。(リンド)

オバマ広島訪問後の日米関係
―― 安倍首相はパールハーバー訪問を

2016年6月号 ザック・プリスタップ タフト大学フレッチャースクール アシスタント・ディレクター

オバマの広島訪問を日米関係の新しいチャプターの幕開けとして位置づけなければならない。安倍首相は、誠意の返礼として、2016年の真珠湾攻撃75周年記念式典に参加すべきだろう。真珠湾を訪問すれば、広島と長崎への原爆投下を(パールハーバーに始まる)歴史の流れのなかに位置づけ、その認識を高めることができる。さらに、日本が過去の歴史を見直すのではなく、平和の促進にコミットしていることを世界に示すことにもなる。両国が共有する痛ましい過去に正面から向き合うことで、日米は、歴史論争によってとかく外交的に紛糾し、機能不全に陥ることの多い東アジアに優れた先例を示すこともできる。歴史を刻む相手国の都市への相互訪問は、両国の指導者がとるべき正しい行動だろう。

日本の新しいリアリズム
―― 安倍首相の戦略ビジョンを検証す

2016年4月号 マイケル・オースリン アメリカン・エンタープライズ研究所 レジデントスカラー、日本研究ディレクター

日本の地域的役割の強化を目指し、民主国家との連携強化を試みるために、安全保障行動の制約の一部を取り払おうとする安倍首相の現実主義的な外交・安全保障路線は、北朝鮮と中国の脅威という地域環境からみても、正しい路線だ。たしかに論争は存在する。市民の多くが平和主義を求める一方で、識者たちは日本の安全保障に対する脅威を憂慮している。しかし、そうした社会的緊張には、孤立主義や介入主義といった極端な方向に日本が進むことを防ぐ効果がある。超国家主義が日本を近隣諸国に対する侵略と戦争へと向かわせた1930年代と違って、現在の日本は、アジアを豊かさと安定へと導く「リベラルなシステム」を強化し、擁護していくために、古い制約を解体しつつある。再出現した権威主義国家がグローバルな平和を脅かすような世界では、日本の新しいリアリズムが太平洋地域の今後10年を形作るのに貢献し、アジアを特定の一国が支配するような事態にならないことを保証する助けになるはずだ。

日米同盟の古くて新しい試金石
―― 中国の脅威をいかに抑え込むか

2014年8月号 ジェニファー・リンド ダートマス大学准教授

「日本が管轄する地域を防衛する」とワシントンが表明するだけでは、日米が直面する戦略的中核問題には対処できない。中国はこれまで通り日本をいたぶり、挑発するためのサラミ戦術を続行できる。ワシントンでは中国による日本の領空や領海の侵犯は厄介な行動とみなされている程度だが、東京では主権の侵害として深刻に受け止められている。このために、「アメリカはいざというときに守ってくれないかもしれない」という懸念が払拭されず、日米同盟は揺らいでいる。重要なのは、同盟関係を強化する一方で、同盟の分断を試みる中国の試みを押し返すことだ。そのためには、重要な利益とそうでない利益を区別する必要がある。尖閣をめぐる重要な利益とそうでない利益をいかに切り分けるか。そのヒントは冷戦期のベルリン危機へのケネディ政権の対応に求めることができる。・・・・

12月号から

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本誌最新号紹介

2016年12月号(2016年12月10日発売)

Contents

  • 民主主義の危機にどう対処するか
    ―― ポピュリズムかファシズムか

    シェリ・バーマン

  • 見捨てられた白人貧困層とポピュリズム

    ジェファーソン・カーウィー

  • トランプ大統領の課題
    ―― 問われる問題への対応能力

    フランシス・フクヤマ

  • トランプ主義のグローバルなルーツ
    ―― ネオリベラリズムからネオナショナリズムへ

    マーク・ブリス

  • トランプ政権と世界の民主主義
    ―― アメリカの原則とトランプ外交

    ラリー・ダイアモンド

  • エリートを拒絶した英米の有権者たち
    ―― ブレグジットからトランプの勝利まで

    ダグラス・マレー

  • 自由貿易は安全保障と平和を強化する
    ―― TPPを捉え直し、実現するには

    ヘザー・ハールバート

  • ヨーロッパを待ち受ける忌まわしい未来
    ―― もはや衰退は回避できない

    アンドリュー・モラフチーク

他全13本掲載

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