貿易で紛争を防げるか
―― 貿易と平和の真実
2024年8月号
貿易の拡大とグローバリゼーションが戦争を抑制すると考えるのも、戦争を促すと考えるのも間違っている。世界経済と国際安全保障の関係は複雑だ。重要な要素も、そうでない要素もある。かつて米政府高官たちは、対中経済エンゲージメントはアメリカの安全保障にプラスの作用しかもたないと信じていたが、いまや、この政策は大失敗だったと考えられているようだ。しかし、政策立案者は、どちらの考え方も間違っていることを理解しなければならない。通商は平和の促進には役立たないし、有害でもない。その両方の作用をもつ。