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中東に関する論文

サダム追放策と中東社会の民主化
―米議会の立場 

2002年11月号

トム・ラントス 米下院議員 ダグラス・E・ショーエン ペン・ショーエン・バーランド・アソシエーツ

サダム後のイラクについて十分な検討をしていないことについては、ブッシュ政権は批判されてしかるべきだ。サダム政権の打倒を、アラブ世界の民主化の序章としなければ意味がない。そうしない限り、われわれは歴史的な機会を失ってしまう。アラブ世界がアメリカのサダム・フセイン追放策に一致団結して反対しているというのは、おとぎ話にすぎない。イラクの近隣諸国政府は、国内の反発を恐れて公にはアメリカのイラク政策に反対しているが、プライベートな場では、アメリカのイラク政策を強く支持している。

中東紛争を経済開発構想で解決せよ

2002年11月号

A・ロバート・アバウド 前ファースト・ナショナルバンク・オブ・シカゴ会長 ニュートン・N・ミノー シドレー・オースチン・ブラウン&ウッド上席顧問

経済的後発性や停滞が生み出す悲惨な現実や絶望が国際的なテロリズムの背景にある。したがって、より豊かな生活ができるようになると人々が希望を抱くようになれば、民衆がテロリズムに魅了されることも少なくなり、アラブ・イスラエル紛争への打開への道も開けてくる。一連の経済開発構想をつうじて生まれる経済的絆が政治的絆を育むようになれば、人々は痛ましい過去ではなく、期待に満ちた未来に目を向け、暴力と敵意は平和と友好に置き換えられることになる。

アメリカのパワーの限界

2002年11月号

マイケル・マンデルバーム 外交問題評議会シニア・フェロー

他の追随を許さぬパワーを手にしたアメリカは、いまやハイパーパワー(超国家)としての地位を手にしているだけでなく、アメリカ的価値を反映する平和・民主主義・市場経済思想がグローバル・スタンダードとされている。だが、そのアメリカも、平和・民主主義・市場経済思想となじみのよい安全保障、経済上の国際的公共財を一人で維持していく力と政治的意思はないし、そうした思想が根付いていない地域にこれを強引に導入させる力もない。今後の秩序は、「アメリカが国際的公共財の維持のためにこれからも大きな役割を引き続き受け入れるのかどうか」、そして、相手地域の文化がいかに変貌するかによって左右されることになる。

中東における反米主義の本当の起源 ―政治的ツールとしての反米路線

2002年11月号

バリー・ルービン  国際関係グローバル・リサーチセンター所長

アラブ世界で反米主義が花盛りである理由は、アメリカの政策に民衆が反発しているからではない。アラブ世界の急進派だけでなく、穏健派の政権にとっても、反米を煽り立てるのが、国内の支持をとりつけ、たいしたコストも支払わずに政治的目的を実現する上で限りなく好都合だからだ。ワシントンが譲歩をこれ以上重ねれば、彼らはますますアメリカを侮辱する態度をとるようになり、反米主義路線を取ることの魅力をますます高めてしまう。反米主義を作りだし、煽るような中東のシステムやメカニズムが淘汰されて初めて、大衆の立場も変化してくることを認識する必要がある。

サダム追放策と中東社会の民主化
―― 米議会の立場

2002年11月号

トム・ラントス/米下院議員
ダグラス・E・ショーエン/ペン・ショーエン・バーランド・アソシエーツ

サダム後のイラクについて十分な検討をしていないことについては、ブッシュ政権は批判されてしかるべきだ。サダム政権の打倒を、アラブ世界の民主化の序章としなければ意味がない。そうしない限り、われわれは歴史的な機会を失ってしまう。アラブ世界がアメリカのサダム・フセイン追放策に一致団結して反対しているというのは、おとぎ話にすぎない。イラクの近隣諸国政府は、国内の反発を恐れて公にはアメリカのイラク政策に反対しているが、プライベートな場では、アメリカのイラク政策を強く支持している。以下は二〇〇二年九月二十四日にニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラムの議事録からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

なぜ米上院は包括的核実験禁止条約を拒絶したか

2002年10月号

テリー・L・デイベル  米国防大学教授

CTBTを米上院が承認しなかったのは、この条約を受け入れれば、「抑止と防衛」を犠牲にして、「脅威を削減するような国際環境を形作る」ことを重視せざるを得なくなると考えたからだ。批准拒否のプロセスは、「条約によって軍備管理を試みる流れが完全に途絶えたこと」を意味する分岐点だったかもしれないし、アメリカ外交にとっての分水嶺だったかもしれない。条約の拒絶は、単独行動主義が国際主義を抑え込んだ歴史的瞬間だったかもしれないからだ。

「対テロ戦争」というレトリックの弊害

2002年10月号

グレンビル・バイフォード 国際問題アナリスト

美しさを人がどうとらえるかと同じことで、テロリズムも立場によってとらえ方が違ってくる。目的を達成するのにどのような手段を用いたかで、それがテロであるかどうかを判断するのは間違っている。同時多発テロへのアメリカの怒りにしても、アメリカが攻撃され、アメリカ人が殺されたことに市民は激怒しているのであって、攻撃の手法自体に怒りを募らせているわけではない。したがって、漠然としたものにしかなり得ず、むしろ問題をつくり出す「対テロ戦争」というレトリックを振り回すのをやめるべきだ。国家安全保障にかかわる特定の具体的課題としてテロ問題に取り組むべきであり、テロ対策について語るときも「利益が一番で、次が目的、そして手段」というアメリカ人の常日頃の優先順位を忘れてはならない。

イラクと大量破壊兵器

2002年9月号

リチャード・バトラー/前国連大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)委員長

「サダム・フセインが国連による査察の再開を拒絶しているのは、何かが発見されるのを阻止して、WMD開発計画を守ろうとしているからだ」。「イラクのWMD能力が、サダム・フセイン及び彼の政権にとって、もはや支えることのできない重荷と化していることを、サダムが認識している様子はない。これは、彼の病理的な問題だろう」。以下は、二〇〇二年七月三十一日、米上院外交委員会におけるリチャード・バトラーのイラクと大量破壊兵器に関する議会証言の邦訳。英文はwww.cfr.orgからアクセスできる。

対イラク「封じ込めプラス」戦略で戦争回避を

2002年9月号

モートン・H・ハルペリン/外交問題評議会シニア・フェロー

軍事行動をとるとすれば、イラクの軍隊を圧倒するのに十分な軍事力を投入しなければならない。米軍部隊や攻撃に参加する同盟国の軍隊だけでなく、イラクの市民、イスラエルを含む近隣諸国の市民にかなりの死傷者が出ることを覚悟しなければならない。(戦闘が終わっても)イラクを占領し、安全保障、経済問題に対処するには、かなりの期間、しかも相当のコストを支払って現地に留まる必要が出てくる。必要なのは戦争ではなく、辛抱強い「封じ込めプラス」戦略を実施して、サダム・フセインの行動を抑止し、近隣諸国、国連とともに、イラク市民に人道支援が間違いなく届くように配慮することだ。加えて、イラクでの人道的悲劇が、制裁措置によってではなく、イラク政府の政策によって引き起こされていることを世界の人々に理解してもらうために大がかりな広報外交を展開する必要もある。以下は、二〇〇一年七月三十一日、米上院外交委員会でのモートン・H・ハルペリンの証言の抜粋。英文はwww.cfr.orgからアクセスできる。

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