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中東に関する論文

イラン戦争と出口のない交渉
―― 何が交渉の進展を妨げているのか

2026年7月号

モハマド・アヤトラヒ・タバール  テキサスA&M大学 行政・公共サービス大学院 准教授

テヘランは、彼らが「ワシントンのアプローチ」とみなすのものと同じ交渉スタイルをとっている。つまり、予測不能で、強い立場からのみ交渉し、ほとんど譲歩せずに相手に大幅な譲歩を迫るやり方だ。このために、少なくとも現状では、真の平和をほぼ実現不可能にするゼロサムの構図が存在する。こうして、新たなニューノーマル、つまり、アメリカがイランに対してある種の封鎖を続け、イランがホルムズ海峡に対して何らかの封鎖を維持し、双方が絶えず小競り合いを続け、全面的な紛争に逆戻りする可能性も残る状況が形作られていくのかもしれない。

戦争とシーア派の覚醒
―― 呼び覚まされた不安と恐怖

2026年6月号

ハミドレザ・アジジ ドイツ国際政治安全保障研究所 客員フェロー

イラン戦争は、様々な領域でシーア派の不安と恐怖を高め、そのアイデンティティ志向を高めた。シーア派系の政治・軍事アクターも、利益とリスクをどのように判断するかの基準を見直している。こうして、2023年以降、数多くの挫折と弱体化を経験してきた抵抗の枢軸にも、再生の流れが生じている。だが今回は、テヘランによる調整を通じてではなく、むしろ苦境に立たされたシーア派のアイデンティティが促す、より自然な衝動によって、抵抗運動が再生されるだろう。イランとその地域ネットワークを弱体化させることを目的とした戦争が、それを支える社会的・政治的条件を強化してしまうかもしれない。

UAEがOPECから離脱した理由
―― サウジとの対立が作り出した機会

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スティーブン・A・クック 米外交問題評議会(CFR) シニアフェロー(中東・アフリカ研究担当)

アラブ首長国連邦(UAE)のリーダーたちは、サウジアラビアが大きな影響力をもつ石油輸出国機構(OPEC)の意思決定は、アブダビの経済的利益とは合致しないと考えてきた。しかも、UAEとサウジの関係は冷え込んでいた。2025年後半、サウジアラビアとUAEはイエメンをめぐって対立して、その後、イスラエルのソマリランド承認をめぐっても、イラン戦争の外交路線をめぐっても確執を抱え込んだ。かねてOPEC離脱を検討していたUAEは、サウジとの二国間関係の悪化が、カルテルから離脱する機会を作り出していると地政学的に判断した。

イラン戦争とサウジ
―― アメリカ後の中東と新多国間枠組み

2026年6月号

マリア・ファンタッピー イタリア国際問題研究所 地中海・中東・アフリカ・プログラム責任者
バリ・ナスル ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院 教授(国際関係、中東研究)

サウジアラビアは、イランであれ、イスラエルであれ、地域覇権国の出現は望んでいない。一方で、アメリカの安全保障関与はもはや信用していない。引き続きアメリカに一定の支援を求めつつも、サウジは、今後、エジプト、パキスタン、トルコとの地域的連帯を深化させ、中国への依存度を高めていくと考えられる。ペルシャ湾の安全をめぐるイランとの合意も模索するだろう。イランは、リヤドに「サウジ国内の米軍基地がイラン攻撃に利用されないこと」を保証するように求め、一方、サウジはイランに「自国領土がもはやイランやその代理勢力による報復の標的とされないこと」を保証することを期待するだろう。

米国に背を向けたアラブ諸国
―― 中ロと欧米の逆転

2026年6月号

アマネイ・A・ジャマル アラブ・バロメーター 共同創設者
マイケル・ロビンス アラブ・バロメーター ディレクター

アラブ諸国政府はすでにアメリカとの関係を遮断し始めるか、ワシントンとの取引の一部を国内社会に伝えず、隠すようになった。アメリカとイスラエルが、イラン戦争を始めた結果、湾岸諸国は大きな被害を受け、一部の指導者はアメリカの金融機関からの資金引き揚げを検討している。いまやアラブ世界では、中ロの方が、欧米よりも道徳的優位をもつと考えられている。アメリカは、正統性を喪失している。

現代における戦争の本質
―― 消耗戦を回避するには(2026/3/27)

2026年5月号

ジェームズ・F・ジェフリー ワシントン近東政策研究所 特別研究員

現代戦争において、重要なのは武力を超えた部分にある。生産能力、経済コスト、市民の士気や政治的ムード、そして国際社会の懸念が、国が用いる軍事的な選択肢を制限する。ワシントンも、原油価格の高騰によってイラン戦争の余波にさらされている同盟国やパートナー諸国が離反しないように配慮しなければならない。アメリカが同盟国やパートナーの立場を完全に無視すれば、彼らは国内における米軍基地の存続を拒絶し、地域的な軍事協調から手を引く可能性もある。ロシアがウクライナで直面している悲惨な状況に陥らないようにするには、アメリカは出口を模索しなければならない。妥協が必要だ。

イランの戦略目的は何か
―― 戦闘ではなく、戦争に勝利する(2026/3/26)

2026年5月号

ナルゲス・バヨグリ ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際関係大学院 准教授(中東研究)

イランは、アメリカとイスラエルの空爆を生き延びているだけではない。戦略レベルで、敵対国を深刻な経済的・政治的問題に直面させている。テヘランの最終的な戦略目的は、米軍が湾岸地域に駐留し続けることの政治的代償を、維持できないほど高くすることにある。イラン・イラク戦争の経験から、テヘランは攻撃を耐え、戦力を分散し、再編成する能力を強化してきた。多くの高官が殺害されたにもかかわらず、革命防衛隊が機能を維持できているのもこのためだ。すでに、湾岸諸国は対米連携の価値について真剣に疑問を抱き始めている。

テヘランと二つの戦争
―― アメリカとイスラエルの誤算(2026/3/20)

2026年5月号

モハンマド・アヤトッラヒ・タバール テキサスA&M大学 公共政策大学院准教授(国際関係学)

アメリカとイスラエルは、テヘランは弱く、(反撃にも)慎重だとかねて侮ってきた。こうして両国はテヘランが核協議に前向きだったにもかかわらず、繰り返しイランを攻撃した。一方、テヘランは、相手の攻撃にはより攻撃的な対応をとらなければならないと、戦略を劇的に転換し、ホルムズ海峡やバブ・エル・マンデブ海峡についても言及していた。それでもアメリカとイスラエルはテヘランを侮り、イラン戦争を始めた。重要なのは、テヘランが「イランを攻撃すれば、重大な帰結に直面すること」を対外的に示すことを望んでいるだけでなく、かつてのイラン・イラク戦争同様に、今回の戦争を国内での体制基盤の強化につなげたいと考えていることだ。

二つのイスラエル
―― 宗教化する政治と攻撃的対外路線(2026/3/20)

2026年5月号

エラン・ヤシブ テルアビブ大学 経済学教授

イスラエルはより貧しく、抑圧的な国になり、対外的に攻撃的になっている。イラン戦争はその具体例だ。欧米世界の多くでジェノサイドと批判されたガザにおける軍事作戦からも、その攻撃性は明らかだろう。こうした行動の背景には、イスラエル政治の宗教化と社会の経済的分断がある。リベラルで生産性の高い人々の発言力が低下する一方で、保守的で生産性の低い社会層の影響力が拡大している。反ネタニヤフのリベラル派は外への移住を試み、ネタニヤフは、超正統派と宗教的ナショナリストをまとめて政治的連立を維持しようと試みている。イスラエルは、皮肉にも、この流れによって、1979年以降のイランを後追いしようとしている。

ホルムズ海峡とイランの優位
―― 米国にまともな選択肢はない

2026年4月号

ケイトリン・タルマッジ マサチューセッツ工科大学 政治学准教授

イランは、機雷、ミサイル、ドローン、小型潜水艦、ドローンボート、武装高速艇を組み合わせて、ホルムズ海峡のタンカー航行を脅かすことをかねて計画してきた。これらによって、イランによる集中攻撃にさらされる空間がホルムズ海峡で形成され、これを解体するのは容易ではない。アメリカはイランによる機雷敷設を阻止することに集中し、より大規模な戦争からの出口を探るべきだ。そうしない限り、ワシントンは、ホルムズ海峡における船舶航行に対する妨害行為が、イランがかねてより準備し、今まさに展開しようとしている数ある対応策のほんの一部に過ぎないことを思い知ることになる。

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