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2021.3.15. Mon

なぜ世界はパンデミックに敗れたのか
―― 国際協調を阻んだナショナリズムと保護主義

「協調性のない、混沌とした国中心の反応」。これが、世界のCOVID19パンデミック対策の特徴だった。必要とされる「グローバルな危機へのグローバルな対応」からはかけ離れていた。国際協調体制がうまく築かれなかったことについて、世界保健機関(WHO)を非難する分析者もいる。しかし、最大の理由は、米中対立によって対応が政治化され、ナショナリスティックで保護主義的な対応がとられたことにある。必要なのは、パンデミックコントロールを、あらゆる国が貢献すべき「グローバルな公共財」として位置づけることだろう。(ファン)

パンデミックの経済的、社会的余波は、今後数十年は続き、おそらく、今回の危機が21世紀最後のパンデミックになるわけでもないだろう。現在の公衆衛生構造は「感染症の(局地的な)アウトブレイク」を前提としている。だが「世界のほぼすべての国が同じようにリスクにさらされるパンデミック」には別のアプローチが必要になる。パンデミックに対する真のグローバルな対応を実現するには、各国はデータ共有を含めて、共同の試みをすることに合意しなければならない。そうしない限り、次の危機でも、対応が小さすぎて、遅すぎることが立証されることになる。(ナッゾ)

将来のアウトブレイクリスクを排除するには、世界人口の70%がワクチンの接種あるいは感染と回復を通じて、コロナウイルスの免疫を獲得する必要がある。COVID19に感染したのは世界人口の10%と推定されるだけに、グローバル規模のワクチン接種でリスクを抑え込むのは非常に難しい。ソーシャルメディアを通じて拡散される反ワクチンのプロパガンダや偽情報が・・・ワクチンへの信頼を貶めるかもしれない。有効なワクチンの供給で、コロナ危機が終わるわけではない。迅速な勝利がもたらされることはなく、むしろ、ウイルスとの長期に及ぶデタントの時代の始まりになる可能性が高い。(ミショー、ケイツ)

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