Focal Points

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2018.8.2 Thu

<8月号プレビュー>
なぜ台湾とカタルーニャの分離独立は難しいのか
―― 運動の制約と課題

国家の仲間入りを果たしたい以上、分離独立運動も主権原則を尊重している。だが独立を果たせば、分離独立しようとする国の主権を犯すことになる。既存の国家は分離独立運動に眉をひそめ、独立を否定する立場を共有しようとする。しかし、既存の国家と国際機関が国として機能できそうな分離独立運動の国際的承認を拒絶し続ければ、運動は自制をかなぐり捨てて、暴力に訴えるようになるかもしれない。一方で、政府の樹立と承認に向けてクリアすべき条件を示せば、必然的に既存の国家主権の基盤を損なうことになる。(ファザル)

現在のスペイン政府とカタルーニャの対立がどこに向かうかを予見するのは容易ではない。スペイン政府の政治的柔軟性のなさ、カタルーニャ州に本社を置く企業の多くがスペインにとどまることを望んでいることを考えると、独立国家を実現するのは難しいかもしれない。だが同時に、住民投票に対して中央政府が高圧的な対応をみせたことで、多くのカタルーニャ住民がスペイン政府に寄せてきた政治的正統性(政治的支持)は失われ、カタルーニャとスペインの亀裂はさらに深くなっている。スペインとカタルーニャは、少なくとも300年前から対立を繰り広げてきたが、スペインでは、なぜかくもパワフルな地域ナショナリズムが根付いているのだろうか。・・・(バルフォア)

北京が台湾を取り戻すことなどあり得ない。台湾を中国の一つの省とみなす神話を永続化させるのは無意味であり、いまや台湾は普通の国家へ歩み出すタイミングだろう。そのためには、中華民国のかつての主張を前提とする南シナ海における領有権の主張を撤回し、「台湾が中華民国である」という虚構を捨てる必要がある。中華民国というこの島の名称を台湾へ公式に変えるべきだろう。これなら、独立宣言でなく、アイデンティティの宣言になる。もはや中華民国という(中国を想起させる)名称を用いない台湾なら、アメリカ、そして世界各国は、現在のパレスチナがそうであるように、今後より積極的に台湾と交流していけるようになる。(バボネス)

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