
Drop of Light / Shutterstock.com
2016.09.13 Tue
北東アジアの脅威
と日本の選択を考える
日本の地域的役割の強化を目指し、民主国家との連携強化を試みるために、安全保障行動の制約の一部を取り払おうとする安倍首相の現実主義的な外交・安全保障路線は、北朝鮮と中国の脅威という地域環境からみても、正しい路線だ。たしかに論争は存在する。市民の多くが平和主義を求める一方で、識者たちは日本の安全保障に対する脅威を憂慮している。(オースリン)
戦争が始まれば、訓練も装備も十分ではない北朝鮮軍は、どうみてもCFC司令部(米韓連合軍)には太刀打ちできない。北朝鮮軍は総崩れとなって敗走し、CFCが短時間で国境線を越えて、北へと進軍する。この時点で、北朝鮮指導層は「サダム・フセイン、ムアンマル・カダフィに持ち受けていた忌まわしい運命を回避するにはどうすればよいか」という重大な選択に直面する。(リーバー、プレス)
東シナ海をめぐる日中関係は、一般に考えられている以上に緊張している。中国軍の高官が言うように、「わずかな不注意でさえも」、世界で2番目と3番目の経済国家間の「予期せぬ紛争に繋がっていく恐れがある」。もちろん、日中はともに紛争は望んでいない。だが、東シナ海の海上と上空の環境が極端に不安定である以上、誤算や偶発事件が大規模な危機へとエスカレートしていく危険は十分にある。(リッフ 、エリクソン)
-
日本の新しいリアリズム
―― 安倍首相の戦略ビジョンを検証する2016年4月 マイケル・オースリン アメリカン・エンタープライズ研究所 レジデントスカラー、日本研究ディレクター
-
第二次朝鮮戦争の悪夢に備えよ
2013年5月 ケイル・A・リーバー ジョージタウン大学准教授 ダリル・G・プレス ダートマスカレッジ准教授
-
日中軍事衝突のリアリティ
―― 日中危機管理システムの確立を急げ2015年2月 アダム・P・リッフ インディアナ大学助教(国際関係論) アンドリュー・S・エリクソン 米海軍大学准教授(戦略研究)
2016年9月号
-
日韓の核開発をアメリカは容認すべきか
―― 核の傘から
「フレンドリーな拡散」へ日本や韓国が核武装を考えているとすれば、なぜワシントンが彼らの防衛と安全を保証しなければならないのかという考えが浮上してもおかしくない。一方で、ワシントンが日韓への防衛コミットメントを続けるかどうか迷い始めれば、両国を核武装へと向かわせるかもしれない。
-
次期米大統領のための新国防戦略
―― 形骸化した軍事的優位を
再確立するには西太平洋、湾岸地域、ヨーロッパというアメリカが重要な利益をもつ地域で支配的な力をもつ覇権国が登場するのを阻止するというアメリカの戦略目的は今も変化していない。だが、これらの地域には中国、イラン、ロシアというリビジョニスト国家が存在するために、地域的覇権国出現の阻止、グローバルコモンズの擁護という二つの課題をクリアーしていくのは容易ではない。
-
追い込まれた中国にどう対応するか
―― 南シナ海の領有権問題仲裁裁判所は、南シナ海で中国が主張する領有権を全面的に退け、フィリピンの立場を支持した。しかしその結果、中国がこれまで以上に好戦的になれば、この勝利は多くの犠牲をもたらす割の合わないものになる。今後、南沙諸島に造成した人工島を中国が放棄したり、かつての状態に戻したりすることはあり得ない。