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日中軍事衝突のリアリティ
―― 日中危機管理システムの確立を急げ

アダム・P・リッフ インディアナ大学助教(国際関係論)
アンドリュー・S・エリクソン 米海軍大学准教授(戦略研究)

Crowding the Water―― The Need for Crisis Management in the East China Sea

Adam P. Liff インディアナ大学グローバル・国際研究大学院(SGIS)助教(東アジア、国際関係論)Andrew S. Erickson 米海軍大学戦略研究学部准教授。

2015年5月号掲載論文

東シナ海をめぐる日中関係は、一般に考えられている以上に緊張している。中国軍の高官が言うように、「わずかな不注意でさえも」、世界で2番目と3番目の経済国家間の「予期せぬ紛争に繋がっていく恐れがある」。もちろん、日中はともに紛争は望んでいない。だが、東シナ海の海上と上空の環境が極端に不安定である以上、誤算や偶発事件が大規模な危機へとエスカレートしていく危険は十分にある。世論調査結果をみても、日中間の敵意はこれまでになく高まっている。しかも、偶発的衝突を制御していく力強い危機管理メカニズムが存在しない。中国軍と自衛隊の高官たちでさえも、危機エスカレーションリスクが存在することを懸念している。危機管理メカニズムが必要なことは自明だが、日中両国にそれを導入する政治的意思があるかどうか、依然として不透明な状況にある。・・・

  • 緊張を制御するシステムがない
  • 対立の激化
  • コミュニケーションブレイクダウン

<緊張を制御するシステムがない>
2012年9月以降、北京と東京が繰り広げている東シナ海の島をめぐる攻防によって、かつてなく不安定な環境が作り出されている。中国は、その周辺海域や上空で頻繁に軍事・準軍事的な活動をみせるようになり、日本も、統計がとられるようになった1958年以降、もっとも頻繁に自衛隊の戦闘機をスクランブル(緊急発進)させている。

2014年には、朱成虎(ヂュー・チョンフー)中国軍少将は「わずかな不注意でさえも」、世界で2番目と3番目の経済国家間の「予期せぬ紛争に繋がっていく恐れがある」と発言している。そして、日中が軍事衝突すれば壊滅的な事態に直面し、ほぼ間違いなく米軍が巻き込まれる。・・・

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