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国防と安全保障に関する論文

グルジア紛争を解決するには
――米専門家5人に聞く

2008年9月

ドミトリ・トレーニン  カーネギー国際平和財団モスクワ・センター副所長
ラジャン・メノン   ニュー・アメリカン財団研究員
アリエル・コーエン   ヘリテージ財団シニア・リサーチフェロー
チャールズ・A・クプチャン  米外交問題評議会ヨーロッパ担当シニア・フェロー
アラン・メンドーサ  ヘンリー・ジャクソン・ソサイエティ・エグゼクティブ・ディレクタ

グルジアとロシアはこれまでも敵対的な関係にあったが、2008年8月8日、ついに対立は紛争へとエスカレートした。これを侵略戦争と呼ぶ専門家も多い。南オセチア自治州でグルジア軍を圧倒したロシア軍は、そのままグルジア領土へと侵攻し、いくつかの都市を占拠した。
 フランスのニコラ・サルコジ大統領が8月12日にまとめた停戦合意は、ロシア、グルジアの双方に紛争前の現状へと復帰するように求めている。ロシア政府は、今回の行動は、南オセチアとアブハジアという分離地域におけるロシアの市民権を持つ人々と平和維持部隊を守るために必要だったと表明している。ブッシュ大統領は米軍に対して現地へ人道支援物資を届けるように命令し、モスクワに対して「紛争を終わらせるという約束を守るように」と要請している。以下は、「今回のグルジア紛争を経て永続的な平和が実現するか」というテーマでの5人の専門家へのインタビュー。

「パキスタン政府、特にパキスタンの軍部は、国境地帯のタリバーンのことを自分たちの仲間と捉えている部分がある。……軍の情報機関(ISI=統合情報部)は、これまでもタリバーンと接触し、彼らを代理人として利用してきた。パキスタン軍と統合情報部は、タリバーンとの関係をアフガニスタンにおける資産とみなしている。いずれ、外国の部隊は、犠牲者の増大に耐えきれなくなり、アフガニスタンから撤退すると状況を読んでいるからだ」
 パキスタン政府の意向とは裏腹に、タリバーン掃討に軍が力を入れない本当の理由は、インドがアフガニスタンでの影響力を強め、周りを包囲されてしまうことを恐れているからだ。パキスタン軍がタリバーンの掃討作戦に力を入れないのはこのためだ。軍を完全に管理下に置けるような強い政府がパキスタンに誕生しない限り、軍がインドに対して抱く敵対意識を一夜にして変えるのは非常に難しい。
 聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

イスラエルはトルコの仲介でシリアと交渉し、レバノンとの和平にも前向きになっている。シリア、レバノンとの和平に集中するためか、ガザ地区のハマスとは休戦合意を成立させている。シリアとレバノンの双方との交渉を試みているイスラエルの意図について、「シリアと交渉している以上、イスラエルがレバノンとの直接交渉するのを望んでいることには不思議はない。
 ……双方と交渉しない限り、紛争は決着させられない」と説明する米平和研究所の中東専門家モナ・ヤコービアンは、一方でシリアは「欧米の政策が作り出した孤立状況から脱して、グローバル経済への統合」を果たすことを最優先に考え、「もはやイスラエルと軍事的対決路線をとるつもりはない」とみる。
「イスラエルは、フランスが7月にパリで主催する欧州・中東諸国を交えた首脳会議の場で、シリアのアサド大統領とイスラエルのオルメルト首相の直接交渉をセットアップしたいと考えて」おり、これが実現すれば、中東情勢は大きく動くかもしれない。
 聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

新しい中東戦略を提言する
 ――イラン封じ込め戦略は間違っている

2008年6月号

バリ・ナサル  フレッチャースクール法律外交大学院国際政治学教授
レイ・タキー  米外交問題評議会シニア・フェロー

1980年代にアメリカは(シーア派の)イランを封じ込めようとアラブ諸国政府を動員したが、その結果、スンニ派の政治文化を急進化させ、ついにはアルカイダを誕生させてしまった。今回も、同様に忌まわしい結末に直面する危険がある。
  イラン封じ込め戦略は、シーア派のイランに対抗する思想的な防波堤としてスンニ派過激主義思想を助長するだけに終わるかもしれない。これまでのように中東のパワーバランスを回復することを目指すのではなく、地域の統合を働きかけ、すべての関係勢力が現状を維持することに利益を見いだすような新たな枠組みをつくり上げることを目指すことこそ、ワシントンにとって賢明な選択のはずだ。

信仰の時代における外交
――宗教的自由と国家安全保障

2008年5月号

トーマス・F・ファー ジョージタウン大学外交政策学部客員教授

宗教が世界的規模で台頭し影響力を強めつつある。だが、宗教とは本来、感情的かつ不合理なものであり、近代性とは相反するという根強い思い込みが、宗教と民主主義との関係についての明瞭な思考を妨げている。その結果、宗教的迫害に反対し、宗教を理由に拘束されている人物を解放することばかりにとらわれて、宗教的自由を促進するという目的が完全に忘れられてしまっている。
 政策決定者は、宗教に対して経済や政治問題同様のアプローチをとる必要がある。つまり、宗教のことを、人間や政府の行動を駆り立てる重要なインセンティブとして認識しなければならない。政治的、経済的動機のように、宗教的動機も、破壊的、または建設的構造双方を増幅させる力を持ち、より劇的な結果を招き入れることが多いことを理解し、外交に宗教ファクター、つまり、宗教的自由の促進という要素を統合していく必要がある。

CFRインタビュー
戦争と経済
――イラク戦争のもう一つの問題

2008年5月号

ロバート・D・ホーマッツ ゴールドマン・サックス副会長

歴史的にみて、大がかりな戦争を始める前には、戦費のどの程度を税金でまかなえるか、どの程度の債務を背負い込むことになるかについての熱い論争が展開されてきた。南北戦争前には、25%を税金で支払い、75%を借金でまかなうことが合意されていた。
 第二次世界大戦期にも、税金と借金の比率を半々とすることで合意が形成されていた。だが、イラク戦争の場合、そうした戦費調達の議論は一切行われなかったし、同世代で大半の重荷を担うという話もなかった。それどころか、減税の話がでているし、通常、戦期には抑え込まれるはずの国内支出もイラク戦争期には増大している。
 イラク戦争の戦費の多くは透明性に欠けるし、いかにして戦費を調達するかについての議論も事前には行われなかった。今後、われわれはイラク戦争をめぐってこの点を問題として取り上げていく必要がある。

ミャンマー、スーダンの 人道的悲劇にどう対処する
――人間の安全保障と「保護する責任」

2008年5月号

スティーブン・グローブズ  ヘリテージ財団研究員
スチュワート・M・パトリック   グローバル開発センター研究員

「大量虐殺、戦争犯罪、民族浄化、人道に対する犯罪から」他国の人々を「保護する責任」を引き受ければ、「アメリカの主権、国家安全保障や外交政策をめぐる意思決定権の一部を、国際社会の気まぐれに委ねることになる」。「保護する責任」は、説明責任を負わない市民社会のアクターが盛り上げた正統性のない規範であり、この規範は、アメリカの行動の自由を制約し、不必要にアメリを紛争に巻き込んでしまう。(S・グローブズ)

「もちろん、問題が起きている地域のすべてにわれわれが介入するわけにはいかない。だが、これをどこにも介入しないことのいいわけとしてはならない。大量虐殺や人道に対する犯罪が起きないように努め、それでも悲劇的な事件が起きた場合には、介入してそうした行動をやめさせることは、アメリカの道徳的利益に合致する」 (S・M・パトリック)

内からの崩壊を恐れる平壌
―― なぜ平壌は経済改革路線の導入を拒絶するのか

2008年3月号

アンドレイ・ランコフ 韓国国民大学准教授

北朝鮮のエリートたちは、彼らが直面している最大の脅威が、国の外ではなく、内側にあることを理解しており、改革を拒絶することが、民衆を管理するうえでもっとも好ましい政策であることを理解している。中国や韓国による改革導入の要請に平壌が耳をかさないのもこのためだ。たしかに、国境の南にいる同胞たちが北朝鮮では考えられないような物質的な豊かさと社会的自由のなかで暮らしていることを次第に理解するようになれば、早晩、北朝鮮民衆の多くは、韓国市民同様に繁栄を手にしたいと考えるようになり、そのためには、でたらめな政策をとっている政府を排除したいと考えるようになる可能性はある。しかし、これを回避するために北朝鮮の指導者は改革の導入を拒絶し、情報統制を強化するとともに、自国の国益からみて北朝鮮の不安定化を望まない中韓からの支援を引き出すことに成功している。この構図が短期的に変化するとは思えない。

CFRインタビュー
なぜイラクから
撤退すべきではないか

2008年2月号

ジョン・マケイン 米共和党予備選・大統領候補

民主党が求めるように、ここでイラクから撤退すれば「これまでの成果は台無しになるし、この地域はカオスへと陥って大量虐殺事件が起き、アルカイダが再び息を吹きかえすことになる」。
イラクから撤退すべきでない理由をこう指摘した共和党のマケイン候補は、「かなり長期間にわたって(イラクに)米軍を展開させる必要がある」と語る。
イランとの交渉路線については、「私は、テロやイスラエルに対して極端な意見を持っている大統領にそれを宣伝するフォーラムの場をあえて与えたいとは思わない」と述べ、否定的であることを示唆した。
聞き手は、ロバート・マクマホン(www.cfr.orgの副編集長)。(邦訳文は英文からの抜粋)

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