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政治・文化・社会に関する論文

石油の枢軸?―イラク戦争と米ロ関係の行方

2003年4月号

デビッド・G・ビクター 米外交問題評議会 準シニア・フェロー
ナデジャ・M・ビクター イエール大学 リサーチ・アソシエート

米ロ政府は、ロシアの石油輸出を拡大することに大きな共有利益を見いだしている。アメリカにとっては、石油の供給ラインを多角化できるし、ロシアにとって、それは歳入増と雇用創出を意味する。だが、アメリカがイラクを攻撃すれば、石油価格は急落し、逆に、モスクワとアメリカの立場の違いが際立つことになるだろう。
経済の大部分を原油の国際価格に依存しているロシアにとって、石油価格の下落は致命傷となりかねないからだ。むしろ、石油の使用効率の改善を促したり、原子力発電及び核廃棄物処理のための新技術を共同で開発したりすることが、米ロ双方にとってよほど大きな利益となるのではないか。

米外交問題評議会インタビュー
アメリカと戦後イラクの再建

2003年4月号

エリック・シュワルツ 米外交問題評議会シニア・フェロー

以下は、二〇〇三年三月十二日に行われたエリック・シュワルツへのインタビューからの抜粋・要約。同氏はクリントン政権の国家安全保障会議のスタッフを務め、現在は、評議会の戦後イラクに関するタスクフォースのディレクター。評議会は戦後のイラクに関する暫定リポートを三月上旬に発表し、同氏は三月十日にイラクの戦後政策をめぐって上院外交委員会で証言を行った。聞き手はバーナード・ガーズマン、www.cfr.orgのコンサルティング・エディター。インタビュー全文、委員会証言ともにwww.cfr.orgからアクセスできる。

移民の排除ではなく、創造的な受け入れを

2003年4月号

ジャグディシュ・バグワティ 米外交問題評議会シニア・フェロー

先進国の市民社会は、自国にやってくる移民を政府が締め出すことをもはや許さなくなっている。一方、途上諸国は、1960年代の「頭脳流出」現象を思わせる大量の移民流出という事態に頭を悩ませている。
途上国は、外へ出ていく移民に二重国籍を認めて、国内市民と外国で暮らす元市民を、母国を中心とする拡大的共同体の中に組み込むような「ディアスポラ・アプローチ」をとるべきだろう。一方、先進国は、移民の締め出し策ではなく、「どのような形で移民を受け入れるのか」について創造的な政策をとる必要がある。そのためにも、国際レベルでの移民の流れを監視し、移民政策の国際的制度化を目的とする国際機関を創設すべきである。

イラクと北朝鮮に揺れる日本
―日本の「二重保険戦略」のその後

2003年4月号

エリック・へジンボサム 米外交問題評議会 シニア・フェロー
リチャード・J・サミュエルス マサチューセッツ工科大学政治学教授

イラク、北朝鮮という二つの危機への対応をめぐって日本政府が心がけているのは、経済上重要な諸国との協調関係を損なわないように配慮しつつも、ワシントンとの関係悪化につながりかねない行動を慎むことだ。こうしたやり方が、イラクと北朝鮮の危機を前にした日本に大きな課題を突きつけている。

イラン革命体制の終焉は近い

2003年4月号

ジャハンガー・アムゼガー 国際経済コンサルタント、元イラン財務相

イランは、数カ月以内に大規模な憲政の危機、あるいはより深刻な事態に陥るかもしれない。イデオロギーの破綻と経済運営の失敗によって、イスラム神権政治は正統性をめぐる最大の危機に直面させられている。人々はより大きな自由と法の支配を求めており、市民とメディアはそうした社会におけるイスラムの役割を疑問視している。宗教的指導者たちの覇権が脅かされるなか、イスラム国家崩壊への道がすでにくっきりと見えてきている。

米欧対立とメディアの攻防

2003年4月号

リチャード・ランバート 元フィナンシャル・タイムズ紙編集委員

もはやワシントンは、ヨーロッパとの関係を維持していくことが重要だとは感じておらず、ブッシュ政権が大西洋両岸の橋を構築するために大きな努力を行うと考えるのは非現実的だろう。
だからこそ、ヨーロッパ人は自らの考えを示すために、決然と、一貫性のある努力をすべきであるし、史上初めて、そうできる立場を手にしている。20年前は国家の寄せ集めにすぎなかった「ヨーロッパ」も、いまでは大きな実績を持つ世界経済の原動力となっているのだから。

米外交問題評議会インタビュー
米韓対立というもう一つの朝鮮半島危機

2003年3月号

ウィンストン・ロード 前米外交問題評議会会長

以下は、ウィンストン・ロード前米外交問題評議会会長へのインタビュー(二〇〇三年二月十三日)からの抜粋・要約。全文はwww.cfr.orgからアクセスできる。(聞き手はバーナード・ガーズマン、www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)

米外交問題評議会インタビュー
米仏対立とアラブの不安

2003年3月号

レイチェル・ブロンソン ブロンソン米外交問題評議会シニア・フェロー

以下は、湾岸地域での調査から帰米したレイチェル・ブロンソン米外交問題評議会シニア・フェローへのインタビュー。全文はwww.cfr.orgからアクセスできる。(聞き手はバーナード・ガーズマン、www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)

米外交問題評議会リポート
イラク侵攻策と米保守派リアリストの分裂
――いまこの段階で路線変更ができるのか

2003年3月号

スティーブン・ウォルト ハーバード大学政治学教授
ジョン・ミアシャイマー シカゴ大学政治学教授
マックス・ブート 米外交問題評議会中東担当 シニア・フェロー
ウィリアム・クリストル ウイークリー・スタンダード誌編集長

以下は二〇〇三年二月五日に、ニューヨークの米外交問題評議会で開かれたイラク侵攻問題に関するディベートからの抜粋・要約。司会はレスリー・ゲルブ米外交問題評議会会長。

イラクとの戦争に踏み切れば、暴れ者としてのアメリカのイメージはますます強くなり、他の世界からの協調を得られなくなる。われわれが戦争を開始する日、オサマ・ビンラディンはほほえんでいるに違いない。(スティーブン・ウォルト)

サダムの試みを放置すれば、これから三年後には五カ国で国連の核査察が行われ、八年後には十五カ国で査察が行われているような事態に直面する。(ウィリアム・クリストル)

米欧対立を埋めるには
――覇権下の反米主義とリーダーシップ

2003年3月号

フィリップ・H・ゴードン ブルッキングス研究所シニア・フェロー

アメリカが積極的にリーダーシップを発揮しなければ、国際社会に行動を起こさせることはできない。だが、あまりに勇猛すぎると、それは傲慢な単独行動主義と化す。他の諸国は反発を強め、アメリカに続こうとはしなくなる。
米欧間の構造的・文化的なギャップが、アメリカの単独行動主義によってさらに広がりをみせている。一方で、アメリカは短絡的すぎると批判するだけで、真っ当な代替策を示さないヨーロッパも、大いに問題がある。アメリカもヨーロッパも、自分だけでどうにかできる時代ではないことを認識しなければならない。

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