1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

― イランの核開発に関する論文

イスラエルがイラン強硬策を放棄しない理由
―― 外交交渉と空爆オプションの効果とリスク

2014年3月号

ドミトリ・アダムスキー
IDCヘルツリーヤ・政治外交大学院准教授

「イランは、現在の外交プロセスを核兵器の野望を覆い隠すために利用している。テヘランは最低限の妥協で、最大限の制裁緩和を引き出すことに成功した」。これが欧米とイランが交わした暫定合意に対するイスラエルの見方だ。さらにエルサレムは、欧米の経済制裁だけでなく、空爆を示唆するイスラエルの強硬策も、暫定合意に貢献しているとみている。今後の包括合意についても、「それに応じた方がましだとイランが考えるような状況を作り出す必要がある」とイスラエルは考えている。外交交渉で結果を出すには、一方で、イスラエルによる空爆リスクがあることをテヘランに常に意識させなければならない、と。だが空爆リスクを過度に強く意識させると、「合意に応じた方がましだ」と考えるのではなく、「どのみち攻撃してくるのだから、もはや何も失うものはない」と考え、むしろイランを先制攻撃へと走らせかねない。適切な抑止と過剰抑止のバランスを見極める必要がある。・・・

イラン攻撃論の再浮上という迷走

2014年2月号

ジョージ・パーコビッチ カーネギー国際平和財団副会長(研究担当)

米上院のタカ派集団が、イランにウラン濃縮の能力や施設を維持することを認めるようないかなる最終合意も認めないという内容の法案(イラン非核法案)を提出したことをきっかけに、軍事攻撃論が再浮上している。だが、軍事攻撃を含む、いかなる手段を通じても、イランのウラン濃縮を完全に止めさせるのは不可能だ。むしろ、イスラエルがイランに対する軍事攻撃を実施すれば、イスラエルの国際的正統性は地に落ち、イスラエルの核解体を求める圧力が大きくなるだけでなく、対イラン経済制裁への国際的支持は解体していく。交渉の最終目的はイランのウラン濃縮を完全に止めさせることではない。短期間で核兵器を生産できる能力をイランに与えないようにその能力を枠にはめることだ。オバマ政権の戦略が、イスラエルやうまく考案されていない米議会の冒険主義で損なわれるのを放置すべきではない。

ロウハニはイランのゴルバチョフになれるか

2014年1月号

スティーブン・コトキン プリンストン大学歴史学教授

当時のミハイル・ゴルバチョフは、ソビエトで過激な改革を実施しているとも、していないとも思わせる曖昧な発言をしていたために、専門家もソビエトで何が起きているかを理解できなかった。実際には、ゴルバチョフは「共産党独裁体制を終わらせる」という意図はもっていなかった。むしろ共産党体制の終焉への流れは、彼が、市民団体の組織化を認め、検閲を緩め、自由選挙を導入したことによって作り出された。つまり、イランの穏健派指導者ロウハニが抜本的な改革ではなく、政治や社会に関わってくる名ばかりの改革を表明したときこそ、われわれは注目する必要がある。そうした改革は、改革のアジェンダが想定する以上の社会・経済的流れ、政治的変化を呼び込み、ロウハニ自身管理できないような流れを作り出す可能性がある。

イランは対話・交渉路線を模索する
―― 最高指導者ハメネイの思想

2013年10月号

アクバル・ガンジ
ジャーナリスト

イランの最高指導者、アヤトラ・ハメネイは聖職者としては、一風変わった過去を持っている。青年期に世俗派の反体制指導者たちと交流し、イスラム革命前に彼らの思想を吸収しているだけでなく、西洋の文学を耽読する文学青年でもあった。レフ・トルストイやミハイル・ショーロホフの作品を絶賛し、バルザックやゼバコの小説を愛読した。なかでもビクトル・ユーゴの『レ・ミゼラブル』が大のお気に入りだった。ムスリム同胞団の思想的指導者サイイド・クトゥブの著作からもっとも大きな影響を受けているとはいえ、ハメネイは、科学と進歩は「西洋文明の真理」であり、イランの民衆にもこの真理を学んで欲しいと考えている。彼はクレージーでも、支離滅裂でも、攻撃のチャンスを模索する狂信者でもない。核兵器の開発も望んでいない。ハメネイは「核兵器は人類に対する罪であり、生産すべきではないし、すでに存在する兵器は解体すべきだ」と考えている。ハメネイは欧米はイランの体制変革を狙っていると確信し、欧米への根深い猜疑心を持っているが、その思想にも変化がみられる。・・・・

CFR Interview
イランとの関係改善は実現するか
―― 核協議とシリア危機の新ファクターとは

2013年10月号

モフセン・M・ミラニ
南フロリダ大学戦略外交センター所長

オバマ大統領は「アメリカはイランの体制変革を模索していないし、イランは(核不拡散条約で認められた)原子力の平和利用を試みる権利を持っている」と国連演説で語り、ロウハニ大統領も「イランの国防ドクトリンのなかに核兵器という言葉は存在しない」と明言した。ただし、オバマは、イランが国内でウラン濃縮を進めることを認めるつもりはない。ここが重要なポイントだ。今後、両国の立場をいかに交渉で埋めていくか。イランにはアメリカとの和解を望んでいない力強い強硬派集団が存在するし、ロウハニの動きを監視している。微妙な問題をめぐって拙速な動きをみせれば、彼は国内的に障害を抱え込むことになる。アメリカは、シリア問題をめぐるジュネーブ2にイランを招待するとともに、5プラス1(国連安保理5常任理事国とドイツ)とともにイランとの二国間交渉を試み、外交チャンネルを増やすことで、イランの意図を見極めるべきだろう。・・・・・・

イラン大統領選挙の政治地図
――ラフサンジャニ・ショックと次期大統領ポスト

2013年6月号

ファリデ・ファーヒ
ハワイ大学教授(非常勤)

保守派候補のなかでもっとも人気があるのはテヘラン市長のモハンマド・バゲル・ガリバフだと考えられている。保守系の候補者たちは、特定の段階になれば、もっとも人気のある候補を残して、他の二人は選挙戦から撤退することにすでに合意している。一方、かつて核問題の交渉を務めた中道派のハッサン・ロウハニも独立系候補として出馬している。ラフサンジャニが出馬を認められなかった以上、ロウハニは、自分を保守派候補に対する代替策として位置づけたいと考えている。だがロウハニはハタミ大統領の第1副大統領を務めたモハンマド・レザ・アレフとライバル関係にある。彼らは先ず候補者を、一人か二人に絞ってまとまることに合意できるかどうかを決める必要がある。・・・ハメネイが、保守派候補が好ましいと考えているのは明らかだが、最高指導者の意中の候補がはっきりしないために、誰が選挙で勝利するのか、ますます分からなくなっている。

CFR Interview
イランの核開発プログラム
――曖昧な意図と空爆の可能性

2012年10月号

デビッド・オルブライト 科学国際安全保障研究所(ISIS)会長

これまでイランは自国のウラン濃縮について「小規模な研究炉のための核燃料を生産している」という立場を示してきた。だが、すでに研究炉用の核燃料は十分すぎるほどに生産されている。つまり、民生部門用だけなら、もう核燃料(濃縮ウラン)をつくる必要はない。ここに矛盾がある・・・すでに、イランは相当量の兵器級ウランを生産できる状態にある。核兵器生産を決断すれば、すぐにでも兵器級ウランの生産(濃縮)に取りかかれる。だが、今のところテヘランは核兵器を作ると明確には決断していないようだ。・・・イランの立場は曖昧だ。可能であれば、核兵器を生産したいと考えている。だが、実際に核兵器の開発に乗り出せば、(武力行使を含めて)非常に大きな力がかかってくること、核兵器を手に入れる前に体制が崩壊してしまう危険があることをテヘランは理解している。

CFR Interview
2012年秋、イスラエルはイランを攻撃する?

2012年10月号

リチャード・ハース 米外交問題評議会会長

イスラエルは、イランの核開発によって危機にさらされるものは非常に大きいと考えている。このため、アメリカの説得によってイスラエルに攻撃を思いとどまらせることができるかどうかはわからない。重要なのは、米大統領選挙前の秋にイスラエルがイランに対する予防攻撃を実施する可能性をもはや誰も否定できない状況にあることだ。このシナリオが現実にならないとしても、イスラエル、あるいはアメリカが2013年に行動を起こす可能性は十分にある。問題はイスラエル、あるいはアメリカが軍事力を行使すれば、不可知の連鎖が生じ、どのような事態になるかわからないことだ。だからこそ、多くの人は経済制裁と外交を組み合わせた強硬策が成功することを期待している。だが、これまでのところ、楽観を許すような状況にはない。

北朝鮮、中国、イランに対する毅然たる対応を
―― キューバミサイル危機の教訓

2012年8月号

グレアム・アリソン
ハーバード大学ケネディスクール教授

ケネディは、ソビエトがキューバに核ミサイルを配備しているという事実を前に、「長期的な戦争のリスクを低下させるには、短期的に戦争リスクを高める必要がある」と考えた。キューバ危機の教訓の一つは、戦争、そして核戦争のリスクでさえも引き受ける覚悟がなければ、巧妙な敵に対立局面において何度も裏をかかれてしまうということだ。イラン、中国、北朝鮮と相手が誰であれ、その一線を越えれば戦争も辞さないという「レッドライン」を設定しているのなら、その事実を敵対勢力に認識させ、実際に行動する決意をみせるべきだ。そうしない限り、警告は相手にされなくなる。

CFR Interview
イラン・シリア問題に揺れるロシア外交
――なぜプーチンは中東を歴訪したか

2012年7月号

スティーブン・セスタノビッチ 米外交問題評議会シニアフェロー

(シリア問題をめぐって)「欧米とアラブ世界が連帯し、その一方にロシアとイランがいる」という構図ができあがってしまっている。これまでシリアのバッシャール・アサドを支持してきたために、ロシアは非常に厄介な状況に追い込まれている。プーチンが最近中東を歴訪したのは、まさしく、ロシアの中東外交が手詰まり状況にあるからだ。彼はロシアの立場を中東の指導者に説明する必要があったし、なぜ中東諸国の批判に耳を貸そうとしないかについて弁明を試みる必要があった。いまや、シリアへの路線ゆえに、中東におけるロシアのイメージは大きく失墜し、アラブ諸国は「ロシア政府は経済的、地政学的思惑絡みでアサド政権を支持しており、中東地域の政府と民衆が気に懸けている人道問題を無視している」と批判している。

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