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ロウハニはイランのゴルバチョフになれるか

スティーブン・コトキン プリンストン大学歴史学教授

What Makes a Genuine Reformer?

Stephen Kotkin プリンストン大学歴史学教授。著書にUncivil Society ―― 1989 and the Implosion of the Communist Establishment などがある。フォーリン・アフェアース誌で「米中露トライアングルの勝者は誰か―中国の影響力拡大は続く」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2009年10月号掲載)を発表している。

2014年1月号掲載論文

当時のミハイル・ゴルバチョフは、ソビエトで過激な改革を実施しているとも、していないとも思わせる曖昧な発言をしていたために、専門家もソビエトで何が起きているかを理解できなかった。実際には、ゴルバチョフは「共産党独裁体制を終わらせる」という意図はもっていなかった。むしろ共産党体制の終焉への流れは、彼が、市民団体の組織化を認め、検閲を緩め、自由選挙を導入したことによって作り出された。つまり、イランの穏健派指導者ロウハニが抜本的な改革ではなく、政治や社会に関わってくる名ばかりの改革を表明したときこそ、われわれは注目する必要がある。そうした改革は、改革のアジェンダが想定する以上の社会・経済的流れ、政治的変化を呼び込み、ロウハニ自身管理できないような流れを作り出す可能性がある。

  • ロウハニは真の改革者か
  • 失くすものは何もない
  • 改革を可能にする三つの条件
  • 1989年と2013年の違い

<ロウハニは真の改革者か>

イランのハッサン・ロウハニ大統領は第2のミハイル・ゴルバチョフになれるだろうか。別の言い方をすれば、自国の政治システムを開放し、米欧との緊張緩和の余地を作り出す、真の改革者になれるだろうか。現実には、改革を主導する政治指導者が「結局は人々を失望させるだけに終わること」を示す歴史的先例は数多くある。

核開発をめぐるアメリカとの交渉で合意が成立すれば、イランに大きな痛みを強いている経済制裁緩和への道が開かれる。だが、アメリカとイランの核交渉が果たして良いアイディアなのかどうかは依然としてはっきりしない。最終合意の詳細がどのようなものになるかが、判断を分けることになるだろう。どちらへ転ぶかは不明だとしても、イスラム共和国がどこへ向かっているかをここで検証するのは有益だろうし、この観点から見守るべき先例と領域がいくつかある。・・・

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