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― イランの核開発に関する論文

イランの戦略目的は何か
―― 戦闘ではなく、戦争に勝利する

2026年5月号

ナルゲス・バヨグリ ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院 准教授(中東研究)

イランは、アメリカとイスラエルの空爆を生き延びているだけではない。戦略レベルで、敵対国を深刻な経済的・政治的問題に直面させている。テヘランの最終的な戦略目的は、米軍が湾岸地域に駐留し続けることの政治的代償を、維持できないほど高くすることにある。イラン・イラク戦争の経験から、テヘランは攻撃を耐え、戦力を分散し、再編成する能力を強化してきた。多くの高官が殺害されたにもかかわらず、革命防衛隊が機能を維持できているのもこのためだ。すでに、湾岸諸国は対米連携の価値について真剣に疑問を抱き始めている。アメリカとイスラエルは「軍事的戦闘では勝利している」かもしれない。だが「戦争に勝利している」のはイランかもしれない。

トランプが開けたパンドラの箱
―― 目標もエスカレーション回避策もない(3/1/2026)

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アリ・バエズ 国際危機グループ(ICG) イラン・プロジェクト ディレクター

今回の「壮絶な怒り」作戦は、パンドラの箱を開けてしまった。そこには、達成可能な明確な目標もなければ、エスカレーションを抑えるための道筋もない。空爆でインフラを破壊し、政府の能力を弱体化させ、指導層を排除できるかもしれないが、まとまりのある政治的代替策を準備することはできない。しかも、イランは革命防衛隊、情報機関、治安部隊といった組織を維持しているし、これらはまさにこのような事態に備えて整備されてきた。アメリカの賭けが「空爆で上からイラン政府を叩き、イラン民衆が地上で政府を倒す」ということなら、その賭けには先例とできるような明確な歴史モデルは存在しない。

イラン民衆は状況をどう捉えるか
―― ハメネイ後のイラン

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カリム・サジャドプール カーネギー国際平和財団 シニアフェロー

近い将来、歴史家が今回のイラン攻撃作戦を振り返れば、これを「必要に迫られた戦争」ではなく、「選択による戦争」とみなすはずだ。 イランが核兵器を入手したり、アメリカや中東の同盟国やパートナーを攻撃したりする差し迫った脅威は存在しなかった。イラン国内での抗議行動が再び動き出し、拡大していくかどうかは分からない。多くはイラン市民が状況をどう捉えるかによる。政権の抑圧装置が無力化されたかどうかを人々は注意深く見守っている。対外的には、イランが地域戦争を引き起こす危険はある。イラン民衆の分断状況や民族集団間の扇動を考えれば、国の崩壊や内戦に突入していくリスクも排除できない。いまは、問題が山積し、困惑を禁じ得ない局面にある。トンネルの先に光がみえているが、そのトンネルが崩壊するかどうか分からない状況にある。

体制変革と歴史の教訓
―― イラン、ベネズエラ、ガザ

2026年2月号

リチャード・ハース 外交問題評議会 名誉会長

アフガニスタン、イラク、リビアでの惨憺たる失敗から考えれば、ベネズエラやイランなど、ここにきて体制変革論が突然、復活していることには驚かされる。少なくとも、政権打倒後の計画がなければ、壊滅的な事態に直面することは、歴史の教訓としてわかっている。だが、おそらくもっとも重要なのは、「対応を必要とする現象としての体制変革」と「特定の結末を得るための意図的な政策としての体制変革」をワシントンが区別することだ。ベネズエラ、ガザ、そしておそらくはキューバへのアプローチを考える上で重要なのは、他国におけるトランスフォーマティブな変化を作り出すのではなく、出現した機会を前にそれに対応し、支援することに焦点を合わせることだ。

イランとアメリカ
―― 対立の歴史を終わらせるには

2025年11月号

バリ・ナスル ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際関係大学院 教授(国際問題・中東研究)

12日間戦争は明らかにイランを弱体化させ、これまでのテヘランの戦略は、持続不可能な状態に陥った。この現状なら、ワシントンはイランを封じ込めたままにし、イスラエルに時折「草刈り」をさせることもできる。だが、テヘランに外交を試みることもできるはずだ。テヘランとの関係を新たな軌道に乗せ、イランの外交・核政策と政治指導層内のパワーバランスの双方を変えるような新たな外交取引を模索すべきだろう。たとえ両国の歴史が失われた機会に満ちていようと、過去が必ずしも今後のプレリュードである必要はない。両国はイランの核能力に関する緊急の合意をまとめるためだけでなく、信頼を築き、両国関係の新たな道筋を示すためにも、外交を受け入れる必要がある。

中東の新たな仲介者
―― 湾岸諸国の新しい役割

2025年9月号

ハサン・T・アルハサン 英国際戦略研究所 中東政策担当シニアフェロー
エミール・ホカイエム 英国際戦略研究所 ディレクター(地域安全保障担当)

湾岸諸国の核心的な戦略利益は、イラン、イスラエル、またはトルコのような第3のアクターを含むいかなる国も、地域的支配を確立する力をもてないようにすることだ。ワシントンを、イスラエルを抑え、地域紛争を永続的に終わらせる上での信頼できるパートナーとみなす考えは裏切られた。結局、ホワイトハウスはネタニヤフの戦略を受け入れた。いまや湾岸諸国は、より不安定な中東に備える計画を立てることを迫られている。特に、ネタニヤフが表明した「中東の再編」という考えを彼らは深く憂慮している。中東を戦争態勢から解き放つために、湾岸諸国に何ができるのか。それは、イランとアメリカ間の核合意を調停することかもしれない。

中東の危険な均衡
―― イランとイスラエルのパワーバランス

2025年1月号

スザンヌ・マロニー ブルッキングス研究所 副会長

今後、イランとイスラエルの直接的な軍事衝突が常態化すれば、劇的な変化が生じ、そこにあるのは、ひどく不安定な均衡にすぎなくなる。直接攻撃の敷居が低くなれば、攻撃と報復の応酬が続き、中東でもっともパワフルな二国家が全面戦争、それも、アメリカも巻き込まれ、中東とグローバル経済に大きな悪影響を与えるかもしれない戦争に突入する危険は高くなる。一方で、弱体化したイランが核兵器を保有することで孤立の道を選び、その結果、核拡散潮流が生じる恐れもある。そのような未来を防ぐことが、ドナルド・トランプ次期米大統領の大きな課題になる。

中国を枢軸から切り離すには
―― 食い違う、中国と他の枢軸メンバーの利益

2024年12月号

スティーブン・ハドリー 元米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)

中国と他の枢軸メンバーの利益は必ずしも一致していない。ワシントンは、それぞれの地域でロシア、イラン、北朝鮮に効果的に対抗することで、「敗者の枢軸」に中国を縛り付けることが、世界的影響力を得るための道ではないことを北京に示す必要がある。ロシアに兵器を提供すれば、中国に制裁が広く適用され、かなりの経済的コストに直面する。イランとその代理人たちの活動は、重要な石油資源を含む中国と中東の貿易を混乱させる。枢軸パートナーの冒険主義を厳格に抑え込めば、ワシントンは習近平に軌道修正を促せるし、そうすることは彼の利益にもなる。

中東を一変させたガザ戦争
―― 混乱をいかに安定と秩序に導くか

2024年1月号

マリア・ファンタッピー イタリア国際問題研究所 アソシエートフェロー
バリ・ナスル ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際関係大学院 教授(国際関係論)

ついに実現しつつあるかにみえた、イスラエルとアラブ世界の関係正常化を中心とするアメリカの中東構想も、イスラエル・ハマス戦争によって根底から覆されてしまった。もはやパレスチナ問題は無視できないし、パレスチナ国家への信頼できる道筋がみえるまでは、アラブ・イスラエル関係の今後を含めて、アメリカがこの地域の他の問題に取り組むのは不可能だろう。さらに、中東を動揺させているテヘランの台頭にも対処しなければならない。このためにも、ワシントンは、イラン、イスラエル、アラブ世界全体と実務的な関係を維持しているサウジとのパートナーシップを、新たな中東ビジョンの基盤に据える必要がある。

ハマスのイスラエル攻撃
―― イランの関与レベルは(10/8)

2023年11月号

レイ・タキー 米外交問題評議会シニアフェロー

サウジ・イスラエルの関係正常化が実現すれば、湾岸地域が対イランでまとまる危険があり、テヘランはそのような合意を阻止しようと躍起になっていた。イスラエルとイランの水面下での戦争はしばらく前から展開されてきた。革命防衛隊コッズ部隊のトップ、エスマイル・カアニ将軍が、ハマスの代表を含む過激派と会合を開き、イスラエルへの攻撃を調整するように促したとも報じられている。イスラエルも、イランの高官や科学者、シリアで活動するイラン系民兵組織を攻撃のターゲットにしてきた。一方で、(イランが支援する)ヒズボラの活動、レバノンに紛争が飛び火するかが、ワイルドカードとみなされている。・・・

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