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資本主義と民主主義の後退に関する論文

国際社会における台湾の役割
―― 「権威主義VS.民主主義」モデル競争のなかで

2021年11月号

蔡英文 中華民国総統  (邦訳文はタイトル、小見出しを含めてフォーリン・アフェアーズ・ジャパンの編集によるものです。より直接的なニュアンスその他については英文をご覧ください。https://www.foreignaffairs.com/articles/taiwan/2021-10-05/taiwan-and-fight-democracy)

パンデミックを経て、(大陸の)権威主義政権は「自分たちの統治モデルが民主主義のそれ以上に21世紀の要請にうまく適応できる」とさらに確信するようになった。これがイデオロギー競争をさらに加速している。台湾は(多くの意味で)競合する二つのシステムが交差するポイントに位置している。力強い民主主義と欧米のスタイルをとりながらも、中国文明の影響を受け、アジアの伝統によって規定されている台湾は、そのプレゼンスと持続的な繁栄を通じて、中国共産党が主張するストーリーへの反証を示すと共に彼らの地域的野心に対する障害を作り出している。・・・中国共産党が突きつける脅威を認識するにつれて、各国は台湾と協力することの価値を理解するだろう。台湾が倒れれば、地域的平和と民主的同盟システムにとって壊滅的な事態になる。

白人至上主義と欧米の極右テロ
―― 社会的レジリエンスの強化を

2021年10月号

シンシア・ミラー=イドリス アメリカン大学教授

9・11後の暴力的なジハード主義の台頭は、アメリカ政治を歪め、極右の過激主義思想の肥沃な温床を作り出した。アルカイダを含むイスラムテロ組織が、欧米における極右勢力の妄想を裏付ける存在だったからだ。こうして、米欧社会は極右勢力が何十年も煽ろうと試みてきた恐怖に取り憑かれた。2020年、米国内おけるテロの件数は1994年以降で最多となり、これらの事件の3分の2が白人至上主義者などの極右過激派によるものだ。依然としてイスラム主義テロが最大の脅威とされるヨーロッパでも極右の社会暴力が増えている。いたるところに巣くう過激主義と闘う最善の方法は、それを抑え込むだけでなく、社会のレジリエンスを高め、極右勢力のアピールに対する脆さを克服していくことだ。

分裂した世界とグローバルな脅威
―― パンデミック・気候変動と大国間競争

2021年10月号

トーマス・ライト  ブルッキングス研究所米欧センター所長

この100年で最悪のパンデミックはいまも収束していない。気候変動危機も加速する一方だ。しかも、大国間競争という環境下で、ワシントンはこれらのトランスナショナルな脅威に対処していく戦略を考案していかなければならない。米中のライバル関係は熱い戦争は引き起こしていないが、冷たい戦争に火をつけかねない状況にある。だが、未来のパンデミックに備え、気候変動と闘うには、ライバル諸国、特に中国との協調を模索しなければならない。だが一方で、協調路線が破綻した場合に備える必要もある。同盟諸国とパートナー諸国が、グローバルな公共財のためにより大きな貢献をするバックアッププランも用意しておくべきだろう。2020年には存在しなかったそうした計画を、次の危機までに間違いなく準備しておかなければならない。

ゾンビ民主主義と空洞化した選挙
―― 権威主義体制の虚構を暴くには

2021年9月号

ケネス・ロス  ヒューマン・ライツ・ウオッチ エグゼクティブ・ディレクター

これまで「独裁的支配を民主主義という名でカモフラージュしてきた」多くの政権は、今やそうした取り繕いさえしなくなった。こうして「制度はあっても中身のない、生ける屍のような選挙制度をもつゾンビ民主主義」が台頭している。ロシア、ハンガリー、エジプト、トルコはその具体例だ。選挙を形骸化させた独裁者が「管理された民主主義」から「ゾンビ民主主義」に移行している以上、人権擁護派も対策を変化させなければならない。見せかけの選挙を実施することで独裁者が政治的正統性を主張することに異議をとなえ、より正面から対抗策をとる必要がある。独裁者たちが、本来は仕えるべき民衆のことなど何も配慮していないことを暴き出す必要がある。どんなに強い独裁者も、市民に完全に背を向けられたら、権力を維持し続けるのは難しくなるのだから。・・・

適切な中ロ離間戦略を
―― ロシアを不幸な結婚から救うには

2021年9月号

チャールズ・クプチャン  米外交問題評議会シニアフェロー ジョージタウン大学国際関係学教授

反欧米による強い絆で結ばれているかにみえる中ロも、水面下では亀裂を抱えている。中国がめざましい勢いで台頭し、自負心を高めているのに対して、ロシアは停滞し、不安を高めている。超大国としての地位を取り戻したいと願いつつも、中国のジュニアパートナーに甘んじている。このギャップと非対称性がバイデンにはチャンスとなる。中ロを離間させるには、中国との関係で明らかになったロシアの脆弱性を是正すること、つまりロシアが自国の問題に対応できるように助けることで、バイデンは、モスクワが北京から距離をおくように促せるだろう。中ロを離間させれば、両国の野心を牽制し、アメリカとその民主主義的なパートナー国家が、イデオロギーの多様化が進む多極化世界で、リベラルな価値観や制度を守り、平和的な国際システムを形作るのも容易になるはずだ。

「帰ってきたアメリカ」は本物か
―― クレディビリティを粉砕した政治分裂

2021年7月号

レイチェル・マイリック   デューク大学研究助教授(政治学)

「本当にアメリカは帰ってきたのか」。トランプだけではない。同盟国はアメリカの国内政治、特に今後の外交政策に大きな不確実性をもたらしかねない党派対立を気にしている。これまでは、外交が政治的二極化の余波にさらされることは多くなかったが、もはやそうではなくなっている。議会での政治対立ゆえに条約の批准が期待できないため、米大統領は議会の承認を必要としない行政協定の締結を多用している。だがこのやり方は、次の政権に合意を簡単に覆されるリスクとコストを伴う。国内の政治的二極化が続き、ワシントンが複雑な交渉に見切りをつけ、新政権が誕生するたびに既存のコミットメントが放棄されるようなら、「敵にとっては侮れない大国、友人にとっては信頼できる同盟相手としてのワシントンの評判」は深刻な危機にさらされることになる。

権威主義へ傾斜する国際システム
―― 追い込まれたリベラルな秩序

2021年5月号

アレクサンダー・クーリー  バーナードカレッジ教授(政治学) ダニエル・H・ネクソン  ジョージタウン大学外交大学院教授

「世界を権威主義にとって安全な場所」にしようと、リベラルな秩序を支える主要な要因を排除しようとする権威主義国もある。特に中国とロシアは外交・経済力そして軍事力を行使して、オルタナティブ(代替)ビジョンを推進している。現在のトレンドをみるかぎり、世界政治を特徴づける非自由主義的要素と自由主義的要素のバランスは大きく変化していくかもしれない。国際システムはより独裁的で非自由主義的になっていくだろう。反動的なポピュリズムが力を増し、権威主義国家が頑迷な路線をとるようになったために、人権、政治的権利、市民権を尊重する思想が切り崩されつつある。現状でもっとも可能性が高いのは、泥棒政治家と利益供与ネットワークのニーズに即した国際秩序へ向かっていくことだ。

偽情報戦略の本当の目的
―― 独裁者の真意は国内にある

2021年5月号

ダレン・リンヴィル クレムソン大学 准教授(コミュニケーション) パトリック・ウォーレン クレムソン大学 准教授(経済学)

国家機関が関与するソーシャルメディア空間での偽情報キャンペーンの多くが、現実には、外国ではなく国内の民衆をターゲットにしていることはほとんど認識されていない。「ソーシャルメディアでの偽情報キャンペーンというグローバルトレンドは、現実には(国家間の影響力を競い合う)地政学ではなく、むしろ国内政治に根ざしている。結局のところ、ロシアの対米攻撃キャンペーンが実際には国内向けであるとすれば、ワシントンはロシアの有権者を念頭に置いて冷静な対応をしなければならない。そうしない限り、モスクワの偽情報を抑え込むのではなく、むしろ、増幅してしまう恐れがある。

グローバルな大国間協調の組織化を
―― 多極世界を安定させるために

2021年5月号

リチャード・N・ハース 外交問題評議会会長 チャールズ・A・クプチャン ジョージタウン大学 教授(国際関係学)

アメリカやヨーロッパにおけるポピュリズムや非自由主義への誘惑がそう簡単に下火になることはない。かりに欧米の民主主義が政治対立を克服し、非自由主義を打倒して、経済をリバウンドに向かわせても「多様なイデオロギーをもつ多極化した世界」の到来を阻止することはできない。歴史は、このような激動の変化を伴う時代が大きな危険に満ちていることをわれわれに教えている。だが、第二次世界大戦後に形作られた欧米主導のリベラルな秩序では、もはや世界の安定を支える役目は果たせないことを冷静に認めなければならない。21世紀の安定を実現するための最良の手段は「19世紀ヨーロッパにおける大国間協調」を世界に広げた、中国、欧州連合(EU)、インド、日本、ロシア、アメリカをメンバーとし、国連の上に位置する「グローバルな大国間協調体制」を立ち上げ、大国の運営委員会を組織することだ。

新保守主義がなぜ必要か
―― アメリカ政治再生の鍵を握る保守主義の再編

2021年5月号

オレン・キャス アメリカン・コンパス  エグゼクティブディレクター

経済リバタリアン、社会的保守派、外交タカ派の連合は、それぞれが自分たちのポートフォリオを重視するあまり、公共政策の多くが(最大公約数的に)市場原理主義者という小さな集団の手に委ねられてしまった。保守派の経済思想が衰退するにつれて、リバタリアンの思想が市場原理主義へ固定され、今日ではほとんどのコメンテーターはそうした原理主義思想の持ち主を「保守派」と呼んでいる。こうして、政治危機が引き起こされている。進歩主義はアイデンティティ政治や高学歴エリート特有のつかみ所のない悩みにますます執着している。だが「家族やコミュニティが依って立つ基盤に関する懸念に焦点を当てた(保守派の)イデオロギー的メッセージ」を前にすると進歩主義に力はない。今こそ保守派が中道右派としての立場を示すときだ。

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