暴かれたアメリカの偽善
―― 情報漏洩とアメリカのダブルスタンダード
2013年12月号

E・スノーデンがリークした情報によって情報源や情報収集の手法が明るみに出たとはいえ、予想外のものは何も出てきていない。専門家の多くは、かねて「アメリカは中国にサイバー攻撃をし、ヨーロッパの政府機関を盗聴し、世界のインターネット・コミュニケーションを監視している」と考えてきた。リークが引き起こしたより深刻な問題は、アメリカのダブルスタンダードが明らかになり、理念と原則の国としてのアメリカのイメージを失墜させたことだ。アメリカは、自分たちが唱道する価値を一貫して擁護し、順守してきたわけではなかった。この矛盾を前に、他の諸国は「アメリカが主導する秩序は正統性を欠いている」と判断するかもしれない。ワシントンは(米情報機関の行動に対する)厳格な監視体制を導入し、政策に関する論争をもっと民主的に進めるべきだろう。安易な偽善(とダブルスタンダード)の時代はすでに終わっている。