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経済相互依存で日中紛争を抑え込めるか
―― ナショナリズムかそれとも貿易か

リチャード・カッツ
オリエンタル・エコノミック・リポート誌編集長

Mutual Assured Production

Richard Katz オリエンタル・エコノミック・リポート誌編集長。30年以上にわたり日米関係をテーマにしている。ワシントンポスト紙、ウォールストリート・ジャーナル紙、ニューヨークタイムズ紙をはじめとするメディアにも、日本に関するコメントを寄せており、「週刊 東洋経済」のスペシャル・コレスポンデントも務めている。著書に『不死鳥の日本経済』(東洋経済新報社)がある。

2013年7月号掲載論文

尖閣問題をめぐって緊張が高まっているとはいえ、現状では日中の経済相互依存とワシントンの防衛コミットメントによって、何とか平和が保たれている。もちろん、この海域で武装した(日中の)船が偶発的に衝突すれば、意図しない紛争へとエスカレートする危険もある。だが、より重要なポイントは、日中の経済的相互依存が紛争のリスクを抑え込めるかどうかだろう。安倍晋三首相が、2012年の選挙キャンペーンで表明した強硬路線を手控えているのは、日本が経済的に中国に依存していることで、ある程度説明できる。中国も同様で、その輸出主導型経済は(日本からの)輸入に依存している。2013年3月に北京で開かれた日中経済協議の際に中国の李克強首相はメディアに対して「自分が日本の財界指導者と握手している様子を写真にとらないように」と要請したかもしれないが、それでも、日本の経済指導者たちに対中投資を要請している。雇用と歳入を求める中国各省の政府も、危機が先鋭化した後も、日本企業に中国での事業を拡大するように強く求めている。現状では、相互抑止の経済バージョンがエスカレーションを抑え込んでいる。

  • 貿易と領有権論争
  • 対立の発端
  • ナショナリズムか経済相互依存か
  • 日本が支えるメイド・イン・チャイナ
  • 経済が支える平和

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