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緊縮財政という危険思想

マーク・ブリス
ブラウン大学教授

The Austerity Delusion

Mark Blyth  ブラウン大学教授(国際政治経済学)同大学付属ワトソン研究所ファカルティフェロー。専門は、政治経済体制、経済思想など。特定の学問領域を超えた分析をすることで知られる。フォーリン・アフェアーズでも、「ブラックスワンの政治・経済学 ―― ボラティリティを抑え込めば、世界はより先の読めない危険な状態に直面する」(2011年7月号、ナシーム・ニコラス・タレブと共著)などを発表している。

2013年5月号掲載論文

懐にある以上のカネは使うなという緊縮財政の思想は直感的な説得力をもっている。だが、ユーロ危機後のヨーロッパのケースからも明らかなように、緊縮財政は機能しない。この1世紀を振り返っても、政府支出を減らして成長を呼び込めた歴史的な事例は存在しない。大恐慌期に各国で実施された緊縮財政は状況をさらに悪化させ、最終的に日独を戦争へと駆り立ててしまった。緊縮財政は失業と低成長をもたらし、社会格差を増大させるだけで、それが消費を刺激し、成長を促すことはあり得ない。唯一機能するのは、経済ブームに沸き返る大国を輸出市場にもつ小国が緊縮財政を実施した場合だけだろう。むしろ、政府は民間部門が債務をなくせる環境をつくり、公的支出を維持する必要がある。そうすれば、民間部門が成長するにつれて、税収も増大し、債務や赤字を削減していけるようになる。シュンペーターの言う「創造的破壊」を可能にするのは、「ケインズ主義の浪費」なのだ。技術革新と成長の「原料」は、多くの場合、民間の支出ではなく、政府支出によって作り出される。

  • 緊縮財政という魔法の呪文
  • 緊縮財政はなぜ危険なのか
  • 政府は経済に介入すべきか
  • 清算主義の台頭と衰退
  • 2008年金融危機と戦後ドイツ経済
  • 緊縮財政から第二次世界大戦へ
  • 1980年代の「拡張的財政再建」
  • REBLL同盟
  • ケインズ主義の浪費と成長の「原料」

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