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米中に引き裂かれる世界
―― 欧米なき世界と中国なき世界への分裂

マーク・レナード
ヨーロッパ外交問題評議会共同設立者

Why Convergence Breeds Conflict

Mark Leonard イギリスの外交分析者。ヨーロッパ全域をカバーする初めてのシンクタンク、ヨーロッパ外交問題評議会の共同設立者・ディレクター。24歳で、トニーブレア首相の支援を受けて外交政策センターを立ち上げた。米ジャーマン・マーシャルファンドの環大西洋フェローとしてワシントンに、中国社会科学院の客員スカラーとして北京での暮らした経験がある。主な著書にWhy Europe Will Run the 21st Century ,What Does China Think? などがある。

2013年9月号掲載論文

冷戦期には、超大国の社会が次第に似た存在になっていくことで、緊張緩和(デタント)が育まれていった。だが、現在の国際的相互依存環境では、このダイナミクスが逆転する。大国間の立場が違えば関係は相互補完的になり、協調へと向かうが、似通った国へと収斂していけば、むしろ対立と紛争のルーツが作り出される。米中関係はまさにこのパターンに符合する。事実、もはや中国には、欧米が主導する国際アジェンダを支持するつもりはなく、中国はすでにグローバル秩序を変化させようと洗練された多国間外交を展開している。欧米も、TPPやTTIPなど、自らの思い通りに国際システムを作り替えようとする中国の能力を制約するような関係と政策を模索している。緊張が高まっていけば、米中関係においてこれまで機会と考えられてきたものが、脅威とみなされるようになる。今後出現するのは、表面的には冷戦構造に似た、新しく奇妙な二極世界になるだろう。

  • 似てきたがゆえの反目
  • 「チャイメリカ」の時代
  • 金融危機と米中逆転
  • 分断される世界
  • シミラテラリズム

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