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に関する論文

イラン大統領選挙の政治地図
――ラフサンジャニ・ショックと次期大統領ポスト

2013年6月号

ファリデ・ファーヒ
ハワイ大学教授(非常勤)

保守派候補のなかでもっとも人気があるのはテヘラン市長のモハンマド・バゲル・ガリバフだと考えられている。保守系の候補者たちは、特定の段階になれば、もっとも人気のある候補を残して、他の二人は選挙戦から撤退することにすでに合意している。一方、かつて核問題の交渉を務めた中道派のハッサン・ロウハニも独立系候補として出馬している。ラフサンジャニが出馬を認められなかった以上、ロウハニは、自分を保守派候補に対する代替策として位置づけたいと考えている。だがロウハニはハタミ大統領の第1副大統領を務めたモハンマド・レザ・アレフとライバル関係にある。彼らは先ず候補者を、一人か二人に絞ってまとまることに合意できるかどうかを決める必要がある。・・・ハメネイが、保守派候補が好ましいと考えているのは明らかだが、最高指導者の意中の候補がはっきりしないために、誰が選挙で勝利するのか、ますます分からなくなっている。

CFR Interview
シリア和平への困難な道筋
――米ロの役割とイラン、ヒズボラの存在

2013年6月号

フレデリック・ホフ
大西洋評議会シニアフェロー

アメリカはシリアの反体制派を、ロシアはアサド政権を説得して、紛争の終結に向けた交渉テーブルに着かせようとしている。だが、交渉の目的が、「平和的でうまく管理された完全な体制移行を実現すること」だとすれば、国際会議が成功する見込みはほとんどない。・・・現状では、コミュニティ、都市、町ごとにさまざまな武装集団が存在し、これらのすべてが自由シリア軍を自称している。ワシントンは反体制派、自由シリア軍を一つにまとめようと試み、シリア最高軍事評議会に指揮系統を集中させ、支援とコンタクトの一元的な窓口にしたいと考えている。・・・一方、アサド政権を交渉テーブルにつくように説得するというロシアの任務の難易度は非常に高い。しかも、この数週間という単位でみると、アサド政権の部隊は、反体制派から一部の地域を奪回している。これはイランとヒズボラの戦士が戦術を考案し、攻撃を実施した上で、攻略した地域をシリア軍に明け渡したからだと報道されている。・・・・

Foreign Affairs Update
グローバル貿易を蝕む
――政治腐敗と知的財産の盗用

2013年5月号

パメラ・パスマン/CREATe・org代表

多くの国で政治腐敗と知的財産の盗用がビジネスにつきまとう隠れたコストを作り出し、そのダメージは膨大な規模に達している。2010年に国連が発表した推定によると、政治腐敗によって毎年世界のGDPの5%以上が失われている。別の言い方をすれば、賄賂に1・5兆ドル以上が費やされていることになる。知的財産の盗用も同じく大きな問題となっている。2008年当時6500億ドル規模だった偽造品や著作権侵害被害による経済損失は、2015年には1兆7700億ドルに達すると予測されている。偽造と著作権侵害が犯罪ネットワークの大きな資金源となっていることも問題だ。しかも、偽造医薬品や自動車部品・航空機部品の偽造品はうまく作用・作動しないだけでなく、大きな物理的危険を伴う。これらの問題をめぐって、国際機関にできることは限られており、いまこそグローバル・サプライチェーンにおける「責任あるビジネスプラクティス」を促進する民間主導のプログラムを真剣に検討するタイミングだろう。

米・パキスタン同盟の創造的破壊を
―― 同床異夢同盟の歴史と破綻

2013年5月号

フセイン・ハッカニ / 前駐米パキスタン大使

アメリカとパキスタンの関係はすでに修復不能な状態にある。パキスタン人の80%がアメリカを嫌っており、74%が敵だと考えている。米政府はパキスタンへの援助打ち切りを示唆し、一方、パキスタン軍は米軍のドローンによる領空侵犯から主権を守ると反発している。だが、考えてみれば、アメリカとパキスタンの関係が良好だったことはこれまでも一度もない。アメリカは冷戦期にはソビエトと中国に対する拠点として、9・11以降はタリバーンとアルカイダを叩くために、パキスタンとの同盟関係を望み、一方のパキスタンはインドに対するライバル意識から、ワシントンの軍事援助を確保しようと、アメリカとの連帯と同盟関係に応じてきた。結局のところ、共にその価値を信じていない同盟関係に双方がしがみついているにすぎない。いまや「同盟ではない新しい関係」の構築を模索すべきタイミングだろう。関係を前進させる最善の機会が、その関係が終わったことを認めることで始まる場合もあるのだから。

ラデク・シコルスキはポーランドのビドゴシュチで育ち、1981年春に共産党政権に反対する学生ストライキ委員会を主導した経験がある。その年の後半にヤルゼルスキ政権が戒厳令を敷いたとき、彼はイギリスに留学していた。シコルスキは、1982年から1989年までイギリスで政治亡命者として生活している。オックスフォードを卒業した彼は、ジャーナリストになり、1989年の民主革命後にポーランドに帰国し、政界に身を転じた。1992年にポーランドの国防副大臣に就任した後、1998―2001年に外務副大臣、2005―2007年に国防大臣を務めている。2007年末以降は、ポーランドの外相として活動している。聞き手はギデオン・ローズ(フォーリン・アフェアーズ誌編集長)

CFR Interview
「ビッグデータ」のポテンシャルと文化

2013年5月号

ケネス・クキエル
エコノミスト誌データエディター
ビクター・メイヤー=ションバーガー
オックスフォード・インターネット研究所教授
(オックスフォード大学)

これまでは、事件や人々の感情を知的に分析し、不確実で危険な世界にあっても賢明な対策を示す手腕が人々の敬意の対象とされてきた。・・・だが、いまではわれわれの道具箱にはより多くのツールが入っている。低コストでデータを収集し、分析できるようになった。つまり、外交政策を理解し、実践する上でデータを利用しないとすれば、愚かだし、それは危険なまでに情緒的な判断に依存し続けることを意味する。(K・クキエル)

中国では、道路、鉄道、送電グリッドなどの物的インフラの整備、一方で環境汚染や政治腐敗などの問題対策にビッグデータを利用できると考えられている。つまり、中国におけるビッグデータは、・・・変革を求める社会的流れを作り出すポテンシャルも秘めている。(ビクター・メイヤー=ションバーガー) 

東地中海天然ガス資源と領有権論争

2013年5月号

ユーリ・M・ズーコフ
ハーバード大学ウエザーヘッドセンター・フェロー

東地中海の海洋資源開発に派生する論争が、かねて存在した地域的緊張をさらに深刻にしている。イスラエルのハイファ沖合にあるタマルとリバイアサンという二つのガス田には、合計26兆立方フィートの天然ガス資源が存在すると推定され、キプロスの沖合にあるアフロディーテ・ガス田にも7兆立方フィートの資源が存在すると言われる。しかし、イスラエルの資源海域にはレバノンが、キプロスの資源海域には北キプロスが同様に領有権を主張している。トルコもさまざまな思惑をもっている。この環境では、偶発事件が紛争へとエスカレートしていく危険がある。すでに交渉で地域合意を形成する機会は失われつつあり、おそらく、外的パワーの関与なしには、危機は制御できないだろう。問題は、その外的パワーがどの国になるかだ。

パキスタン軍と最高裁と政治
―― 軍事クーデターからソフトクーデターへ

2013年5月号

C・クリスティーン・フェアー
ジョージタウン大学講師

パキスタンにおけるクーデターはいつも同じ筋書きになっている。軍が権力を奪取する場合、先ず社会的支持を確保するために、政治危機を喧伝し、軍の政治介入(クーデター)に正統性があるかのような演出をする。クーデターに成功すると、陸軍参謀総長が大統領に就任し、戒厳令を敷いて法の執行を停止し、議会を解散する。この段階で、最高裁の判事たちは、新大統領としての陸軍参謀総長への忠誠を誓う。忠誠を誓うのを拒んだまともな判事たちは、引退するか、退職させられ、このポストは軍に忠誠な人物に委ねられる。・・・だがここにきてパキスタン軍も、軍事クーデターを民衆がもはや支持しないことに気づき始めたようだ。しかし、軍と裁判所が対立したチョードリー事件以降も、依然として軍と裁判所は手を組んでいる。そしていまや軍は自分たちの名代として私人を使った「ソフトクーデター」という手法を取り始めている。

ブレトンウッズを設計したアメリカ人
―― デクスター・ホワイトはソビエトのスパイだった

2013年5月号

ベン・ステイル
米外交問題評議会シニア・フェロー
(国際経済担当)

イギリスのジョン・メイナード・ケインズとともに、ブレトンウッズ体制の設計に取り組んだのは、当時、まだ無名に近かった米財務官僚のハリー・デクスター・ホワイト。だが、戦後の資本主義金融構造を設計した彼にはもう一つの顔があった。1930年代半ば以降、11年間にわたって、ホワイトはソビエトのスパイとして活動していた。ソビエト側に秘密情報を提供し、アメリカのルーズベルト政権とどのように交渉すべきかをアドバイスし、モスクワに有利な戦後処理をワシントンで唱道した。おそらくソビエトにとって、ホワイトは、国務省内にいたソビエトスパイとして冷戦期に告発されたアルジャー・ヒス以上に重要な情報源だった。しかしなぜ、1944年までには、アメリカの外交と経済政策に広範な影響力をもつようになっていた戦後経済体制の設計者は、ソビエトの経済体制に魅了されていたのか。・・・

ウラジーミル・プーチンはシリア紛争とチェチェン紛争を同列にとらえ、シリア紛争のことを「国家を標的にし(国家解体を狙う)スンニ派の過激主義勢力の、数十年におよぶ抗争の最近の戦場にすぎない」とみている。アフガン、チェチェン、数多くのアラブ国家を引き裂いてきたスンニ派の過激主義勢力と国家の戦いがシリアで起きているにすぎない、とプーチンは考えている。だからこそ、彼は「自分がチェチェンで成し遂げたことをアサドがシリアで再現し、反体制派の背骨を折ること」を期待し、シリアに対する国際介入に反対してきた。仮にプーチンがアサドを見限るとしても、その前に、「体制崩壊に伴う混乱の責任を誰がとるのか」という問いへの答を知りたいと考えるはずだ。誰がスンニ派の強大化を抑え込むのか、誰が北カフカスその他のロシア地域に過激派が入り込まないようにするのか。そして、誰が、シリアの化学兵器の安全を確保するのか。プーチンは、アメリカや国際コミュニティがアサド後のシリアに安定を提供できるとはみていない。だからこそ、シリアという破綻途上国を支援し続けている。

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