湾岸戦争とアラブの混沌
――米軍のアラビア半島駐留の意味あい
2001年11月号

サウジアラビア人は、サダム・フセインの軍隊が自国に侵攻してくれば、どのような事態に陥るかを明確に理解していた。イラクは三日もあれば首都リヤドに到達していたかもしれないし、サウジアラビアでの社会契約のすべては履行不能になっていただろう。石油が埋蔵されている東部地方を切り離すことも、サウド家がイブン・サウドから受け継いだ地域を制圧できたかもしれない。このような災難に比べたら、外国軍の駐留が引き起こす政治・文化的摩擦などは取るに足らない問題だった。
湾岸での旧秩序はその幕を閉じた。現在「新しい政治秩序」が話題にのぼっているが、それがどのようなものになるかは誰にもわからない。しかし、大国(アメリカ)が湾岸の見張り番役を務めることになるのは間違いない。