CFRインタビュー
金融危機を温暖化対策を
先送りする「口実」にするな
2008年11月号
2012年に期限切れとなる京都合意の後継枠組みをめぐる話し合いが続けられるなか、「世界的な金融危機を前に温暖化対策交渉がないがしろにされるのではないか」という懸念が浮上している。
「金融危機を地球温暖化への取り組みを先送りする口実にしてはならない」とケビン・コンラッド、パプアニューギニア環境・地球温暖化問題担当国連特使は警鐘を鳴らす。コンラッドは、2007年にバリで開かれた第13回気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)で、アメリカ政府代表に対して「指導的役割を果たすつもりがないのなら、少なくとも邪魔しないでほしい。出て行ってほしい」と毅然と言い放ったことで知られる人物だ。
「やるべきことをしない口実、間違った判断を正当化する理屈を探すのは非常に簡単だし、特に政治家はそうすることに長けている」と指摘するコンラッドは、実際には金融危機は「もっともコストのかからない温暖化対策の優先順位を引き上げ、実施する機会を提供している」とコメントし、むしろ困難な現実を前にしても、状況を前向きに捉えるべきだと主張する。「温暖化対策をめぐる不作為は大きなコストを伴うし」、すでにパプアニューギニアは海面上昇によって村の住民が移動せざるを得なくなるほど地球温暖化の悪影響を受けていると同氏は語った。聞き手は、トニー・ジョンソン(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。