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論文データベース(最新論文順)

米日韓の集団的協調を
―― 中国の経済的威圧を抑止するには

2026年3月号

ビクター・チャ 戦略国際問題研究所(CSIS) 会長(地政学・外交政策部門担当)

アメリカと原子力潜水艦協定を結んだ韓国は、現在の日本と同様に、今後、北京の経済的威圧策の対象にされる恐れがある。近隣諸国を経済的に威圧し、圧力行使策に訴えても、北京は、これまでのところ何の代償も支払っていない。単独では、この地域のいかなる国も中国に対抗できる政治的・経済的重みをもっていないからだ。だが、集団としてなら十分な手立てがある。状況を変えるには、中国の経済威圧策を阻止するための集団的抑止協定が必要になる。米日韓は、北大西洋条約機構第5条のように、一国に対する威圧を全加盟国に対する威圧とみなして報復する対中経済抑止協定を形作るべきだろう。

台湾に迫り来る嵐
―― 北京を行動に駆り立てる複合要因

2026年3月号

ユン・サン スティムソン・センター 中国プログラム・ディレクター

台湾を巡る習近平の決断を左右する最大の要因は、アメリカが介入してくるかどうかだ。そして北京は、「ドナルド・トランプほど台湾に無関心で、台湾海峡に軍事介入してくる可能性が低い米大統領は今後現れない」と確信している。だが、2026年11月の中間選挙で民主党が米議会を制し、トランプ支持派の勢いが衰えれば、この見通しも変化してくるかもしれない。トランプ政権の今後、中国の後継プロセスの作用、ロシアのウクライナ戦争、台湾政治の流れからみても、北京は、現状を台湾攻略のチャンスだと考えている可能性がある。

米大統領がもたらした無秩序
―― 制約なき権力行使とアメリカパワーの終焉

2026年3月号

ダニエル・W・ドレズナー タフツ大学 フレッチャースクール学院長
エリザベス・N・サンダース コロンビア大学 政治学教授

いまや米大統領は国の内外で、制約などほとんど気にかけることなく、思うままに行動している。米市民も、トランプが世界に解き放ったのと同じ「ホッブズ的な無秩序」のなかに置かれている。行動へのあらゆる制約を拒み、技術によって旋風のように動けるようになったことで、より大胆になった指導者が作り出すホッブズ的秩序では、「何でもあり」だ。アメリカパワーの基盤は、国内での法の支配と国外における信頼できるコミットメントで形作られているが、トランプは、まさにこれを解体しようとしている。アメリカから距離を置くようになった同盟国は、不安定なアメリカに対する保険策として、すでに中国や他の同盟諸国への接近を試み始めている。

体制変革と歴史の教訓
―― イラン、ベネズエラ、ガザ

2026年2月号

リチャード・ハース 外交問題評議会 名誉会長

アフガニスタン、イラク、リビアでの惨憺たる失敗から考えれば、ベネズエラやイランなど、ここにきて体制変革論が突然、復活していることには驚かされる。少なくとも、政権打倒後の計画がなければ、壊滅的な事態に直面することは、歴史の教訓としてわかっている。だが、おそらくもっとも重要なのは、「対応を必要とする現象としての体制変革」と「特定の結末を得るための意図的な政策としての体制変革」をワシントンが区別することだ。ベネズエラ、ガザ、そしておそらくはキューバへのアプローチを考える上で重要なのは、他国におけるトランスフォーマティブな変化を作り出すのではなく、出現した機会を前にそれに対応し、支援することに焦点を合わせることだ。

追い込まれた民主主義
―― 非自由主義インターナショナルの台頭

2026年2月号

ニック・チーズマン バーミンガム大学 教授(民主主義)
マティアス・ビアンキ アスントス・デル・スール ディレクター
ジェニファー・シール トルクァト・ディ・テラ大学 准教授(政治学)

非自由主義の権威主義国家が台頭を続ける一方で、民主主義国家は衰退している。2025年には45カ国が民主主義から離れて、独裁体制に移行し始めた。いまや完全な民主国家とみなせるのは、世界にわずか29カ国しか残されていないという見方もある。非自由主義の指導者たちの共通項は、権力を個人に集中させ、抑制と均衡を弱体化させ、政治的操作のために偽情報を利用することだ。さらに、多元主義を空洞化させ、反対勢力を非合法化することで、政治的権利と市民的自由を後退させる。しかも、国境を越えた非自由主義のネットワークを形作っている。すでに、世界のパワーバランスは独裁体制にとって有利な方向へ傾きつつある。民主国家連合に流れを覆す方法はあるのか。

中国のニューフロンティア戦略
―― 米中競争の核心

2026年2月号

エリザベス・エコノミー スタンフォード大学フーバー研究所 共同ディレクター(米中・世界プロジェクト)

北京は中国の経済・政治・安全保障利益を反映できるように国際システムを改革したいと考えているだけでなく、海底や北極圏の開発、宇宙探査やインターネットを主導することをイメージし、米ドル支配ではない国際金融システムを構築することを望んでいる。こうした目標を達成するために、北京はこれらの領域にすでに長期にわたって莫大な資源を投入している。もっとも重要なのは、北京がこうした努力を粘り強く続けていることかもしれない。ワシントンは、世界の主要領域で中国がパワーを構築していることの全体像に、ようやく気づき始めたばかりだ。

トルコ帝国の幻想
―― 大いなる野望、ぜい弱なパワー

2026年2月号

アスリ・アイディンタスバス ブルッキングス研究所 フェロー

エルドアンは、オスマン帝国のような歴史的役割をトルコは回復できると考えているのかもしれない。だが、彼が思い描く「トルコ主導の地域秩序」という野望は現在のトルコには実現できない。シリアの復興を含めて、そのような秩序構想を支える経済力はないし、イスラエルとの対立も抱え込んでいる。トランプの支持もあてにはできず、湾岸諸国もトルコの野心を警戒している。エルドアンはオスマン帝国のスルタンになる夢を抱いているのかもしれないが、中東全域をカバーする唯一の支配勢力であった時代へと時計の針を戻す試みは、幻想に終わるだろう。

ロシアのオーウェル的監視社会
―― 戦争と『1984』

2026年2月号

ニーナ・フルシチョワ ニュースクール大学 教授(国際関係学)

ロシアでは何が禁止され何が許されているのか、誰も正確に把握していない。それでも、この4年間であらゆる規制が拡大された。モスクワは、恐怖と不安を蔓延させることで、多くのロシア人を沈黙させるだけでなく、互いを黙らせるように仕向けている。そして、「伝統的な価値の保存」を命じる大統領によって、実質的に西洋文明を構成するすべての要素が拒絶されている。政府の批判派は外国のエージェントとみなされ、弾圧される。この状況のなかで、政治家も市民も、集団的狂気に駆られたかのように抑圧的な規則を次々と生み出している。

米中の大いなる取引を
―― 関係リセットの条件

2026年2月号

呉心伯 復旦大学 国際問題研究院 院長

世界には、米中がともに繁栄する余地が十分に残されている。トランプ大統領と習近平国家主席の相性は悪くなく、生産的なつながりを形作れるかもしれない。トランプは、中国、ロシア、アメリカという主要国が互いの国益を尊重し、紛争を回避する世界秩序を広く模索しており、これは中国の立場とも重なり合う。つまり、北京とワシントンの指導者は、現在の世界では、米中間の勢力均衡だけでなく、大国間協調(米中間の積極的な連携)が必要であることに同意している。米中の経済問題、台湾、朝鮮半島、日本、南シナ海問題をいかに管理し、国際システムをいかに改革していくか。これらで、米中関係の今後は左右されるだろう。

米同盟諸国の苦悩
―― アメリカ後の選択肢を求めて

2026年2月号

フィリップ・H・ゴードン ブルッキングス研究所 スカラー
マーラ・カーリン ブルッキングス研究所 客員研究員

安全保障と防衛をアメリカに依存する同盟民主諸国を中心に形成された戦後世界は、トランプによってすでに破壊されている。国内に分断を抱え、国防より社会保障の支出を優先する傾向のある同盟諸国は、トランプのやり方が永続化しないことを願い、時間稼ぎをして、様子見をしている。だが、それは賢明ではない。同盟を不必要な重荷とみなすトランプの立場を、アメリカ人も共有し、グローバルリーダーの重荷を背負うことにはいまや消極的だからだ。同盟諸国は、早急にアメリカ後に備えるべきだ。核開発を含めて、国防領域の自立を試みる国も出てくるかもしれない。同盟諸国がアメリカに代わる選択肢をもたないことは、危険であるばかりか、無責任と言えるだろう。

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