CFR Interview
追い込まれたサウジアラビア
2016年2月号

サウジ政府がエネルギー補助金の大幅な削減などの緊縮財政策を発表した後、ニムル師の処刑が実施されたのは偶然ではないし、同じタイミングでイエメンでの停戦合意をキャンセルして空爆を再開したのも偶然ではない。リヤドは宗派主義を政治ツールとして用いている。サウジにとって、イエメン、シリアでの紛争も思うようには展開していない。しかも、国内では経済問題を抱え、政治改革も行われていない。サウジが宗派対立や反イラン感情を煽るのは、こうした問題から民衆の関心をそらすためでもある。一方、地域的な反シーア派感情を煽り立て、ニムル師を処刑し、イランとの関係を遮断することで、ロウハニなどのサウジとの和解を求めるイランの穏健派の影響力は抑え込まれ、テヘランでは強硬派を勢いづかせている。一方で、サウジの新しい指導層もかなりの強硬派で、反イランの地域的グレートゲームの図式を、外交政策の基盤に据えている。・・・(聞き手はザチャリー・ローブ、オンラインライター・エディター)