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介入が許される条件とは何か
―― J・S・ミルと不介入の薦め

マイケル・ドイル コロンビア大学教授(政治学)

When to Intervene ―― What Would John Stuart Mill Do About Syria?

Michael W. Doyle コロンビア大学教授(政治学)、同大学グローバルポリシーイニシアティブ・ディレクター。元国連民主主義基金諮問委員会議長。民主主義国家同士は戦争をしないという民主的平和論を示した。最近の著作にThe Question of Intervention: J.S. Mill and the Responsibility to Protect (Yale University Press, 2015)がある。

2016年1月号掲載論文

いまや(欧米が)いつ地上戦を含むシリアへの軍事介入に踏み切り、政府と市民の間に強引に割って入るのか、というテーマさえ浮上している。軍事介入についてどのような立場をとるかは、人道的介入、主権、国家安全保障を人々がどのように認識しているかに左右される。19世紀のイギリスの哲学者ジョン・スチュワート・ミルは、「自由や民主主義を強制するための軍事介入」を否定し、基本的に不介入主義を説いた。一方ミルは「人道的な懸念」や「国家安全保障上の必要性が相手国の主権以上に重視される場合」、或いは「相手国が分裂し、国家として機能していないために、主権を無視してもかまわない」ケースでは介入が許容されるとしている。現在のシリア紛争はどうだろうか。・・・

  • 介入すべきか、介入せざるべきか
  • 不介入の薦め
  • 介入が許されるケース
  • シリア紛争への介入は?

<介入すべきか、介入せざるべきか>

2015年11月13日のパリの同時多発テロを受けて、フランスはシリアにおけるイスラム国の拠点に対する空爆を強化している。いまや、(欧米が)いつ地上戦を含むシリアへの軍事介入に踏み切り、政府と市民の間に強引に割って入るのか、というテーマさえ浮上している。

大国はこうした(介入の決断を迫られる)局面にこれまで何度も直面してきた。例えば、ロシアとアメリカは、シリア内のそれぞれの勢力に武器を支援しているだけでなく、結局はシリアへの空爆に踏み切った。2011年にもフランス、イギリス、アメリカを含む北大西洋条約機構(NATO)メンバーがリビア内戦に軍事介入している。・・・

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