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CFR Events
原油安リスクと 再生可能エネルギーのポテンシャル
―― 世界エネルギーアウトルック

ファティ・ビロル 国際エネルギー機関 事務局長

World Energy Outlook 2015 with Fatih Birol

Fathi Birolトルコのエコノミストで、国際エネルギー機関(IEA)の事務局長。石油輸出国機構(OPEC)、IEAのチーフエコノミストを経て、現職。エネルギー問題をめぐるもっとも権威ある年次刊行物と広くみなされている『ワールド・エネルギー・アウトルック』の編集責任者を長く務めている。

2016年1月号掲載論文

原油安が好ましいとは限らない。例えば、原油価格が今後10年にわたって50ドル前後で推移した場合、中東産油国へのわれわれの依存度は高まっていく。北米、ブラジル、アフリカなどの原油は生産コストが高いために、生産量は削減され、生産コストの安い一部の中東産油国の石油への需要と依存が高まっていく。一方、中東は、誰もが知るとおり、大きな混乱のなかにある。つまり、石油安全保障の観点からみれば、長期的に原油が低価格で推移するのは、かなりのリスクがある。・・・さらに原油安によって、やっと勢いづいた再生可能エネルギーへの支援策を政府が見直す危険もある。だがそうならなければ、石炭から再生可能エネルギーへの大きなシフトが起きる。電力生産部門での石炭のシェアは低下し、近い将来、再生可能エネルギーが石炭を抑えて最大のシェアをもつようになる。例えば、3人のうち2人が電力へのアクセスをもっていないアフリカのサハラ砂漠以南の地域が、化石燃料ではなく、再生可能エネルギーで経済成長を遂げる最初の大陸になると考えることもできる。彼らは再生可能エネルギー資源に恵まれているし、再生可能エネルギーによる電力生産コストは大幅に減少している。・・・・

  • 原油安の余波
  • 石炭から再生可能エネルギーへ
  • 中国とインド
  • 再生可能エネルギーのポテンシャル

<原油安の余波>

レビ 国際エネルギー機関(IEA)はその後の25年間を見据えた年次エネルギー予測を(世界エネルギーアウトルックとして)発表しており、今回のアウトルックは2040年までを見通している。この数年間で、世界のエネルギーは大きな変化を経験した。あなたはどのような手法で今後25年間を分析しているのか。

ビロル 予測をまとめる上でやるべきことは三つある。まず膨大なデータを集めて、それを理解するために格闘する。次に、そこから何がおきているのか、その流れとトレンドを制御しているイベントを見極める。そして、異なるシナリオを、その政治的帰結とともに描きだす。そうした重要なイベントとしてわれわれが何を指摘してきたか、いくつか例を挙げよう。・・・

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