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テーマに関する論文

いまや国際政治を突き動かしているのは経済競争であり、当然、重要な経済資産や資源へのアクセスをめぐる競争も激化している。さらにやっかいなのは、重要な資源の多くが、ライバルたちが競い合っている地域、あるいは恒常的に不安定な地域に存在することだ。世界の資源動向とそれに関連する政治・地政学的現象は、政策決定者が世界の大枠での安全保障問題の今後を検証する際の優れた枠組みとなるだろう。

米外交問題評議会ミーティング
オルブライトVS.キッシンジャー
――米中・北朝鮮、ミサイル防衛、人道的介入の将来

2001年6月号

ジョージ・シュルツ ウォーレン・クリストファー  マドレーン・オルブライト ヘンリー・A・キッシンジャー

私が懸念しているのは、偵察機接触事故が、権力移行期に突入した中国において強硬派の立場を有利にしはしないか、一方でわれわれが中国を新たな敵対勢力と決めつける動きにつながりはしないかということだ。(オルブライト)

われわれがなすべきこと、われわれにできること、われわれが望むこと、そしてわれわれにはできないこと、これらを区別して理解しなければならないし、国益概念にはこれらのすべてがかかわってくる。(キッシンジャー)

アメリカだけでなく、ヨーロッパも、京都議定書に盛り込まれた削減目標を全うできないだろう。各国が京都議定書を順守できるはずはなく、当然、議定書はすでに死滅しているも同然というのが揺るぎない事実だ。京都合意に代わる多国間対応枠組みを再構築する必要があるが、アメリカはその前に、排出規制に向けた本格的な政策を国内で導入すべきである。

バイオテロリズムの悪夢

2001年5月号

ローリー・ギャレット ニュースデイ紙科学・医学担当記者

テロリストが生物兵器を波状的に連続使用したり、最初から複数の致死的病原菌を組み合わせてテロ攻撃を行えば、いかにすぐれた予防接種プログラムでも状況に対応できない。軍事防衛、危険物質防衛チーム、ハイテクセンサーのどれもが深刻な欠点を抱えているため、バイオテロに対する最も重要な対応ができるのは、軍でも警察でもなく、医師、疫学専門家、救急搬送者、看護婦、そして公衆衛生局である。軍や警察主導型の現在のバイオテロ対策枠組みが、より公衆衛生部門を重視したものへと変化しない限り、バイオテロ対策はおそらく失敗する。

CFRリポート
弾道ミサイル防衛を考える

2001年5月号

ジャン・ローダル 元政策担当国防次官

ブッシュ政権の支持勢力は、核抑止から離れて「防衛支配」(defense dominance)を重視するミサイル防衛構想の実施を求めているが、これは非現実的である。「限定的ミサイル防衛」と抑止力で攻撃を抑止するほうが、防衛支配を目指すよりも優れた戦略である。 アジアでは戦域ミサイル防衛(TMD)システムが必要とされている。中国がミサイル戦力の増強を続けるとしたら、これに加え、日本と台湾は国内でかなりのミサイル防衛能力を整備する必要が出てくる。

以下は二〇〇一年二月に米外交問題評議会から出版されたThe Price of Dominance: The New Weapon of Mass Destruction and Their Challenge to American Leadership, Council on Foreign Relations Book, 2001(仮題『優位の代価、新型大量破壊兵器とアメリカのリーダーシップの課題』)の弾道ミサイル防衛を検証した第三章の全文。

外交問題評議会タスクフォース・レポート
アメリカと東南アジア

2001年8月号

J・ロバート・ケリー   米外交問題評議会・東南アジア政策タスクフォース議長  ロバート・A・マニング   同ディレクター

以下は二〇〇一年六月に公開された、アメリカの東南アジア政策に関する米外交問題評議会タスクフォースによる大統領へのメモランダムと、リポート本文の要約・抜粋。反対意見を含む英文の全文はhttp://www.cfr.orgからアクセスできる。

米外交問題評議会ミーティング
キッシンジャーが読み解く新世界
――元大統領補佐官が語る新政権の課題

2001年5月号

リチャード・V・アレン、ロバート・C・マクファーレン  

アジアは外交的にはグローバル・システムの一部を形成しているが、戦略的には各国が互いに相手国を潜在的な敵対勢力と見なしていた十九世紀のヨーロッパと同じメカニズムでいまも動いている。だが、最大の問題は特定の一国がアジアを支配しようと試みることで、かつてそのような試みをした日本とアメリカは戦争をした。しかし、そのような試みが具体化していない現状では、中国を含むいかなる国も敵対国と見なすべきではない。(キッシンジャー)

知識革命の南北間格差を是正せよ

2001年4月号

アヴィナシュ・パサード ステート・ストリート銀行調査部長

グローバリゼーションはゼロサム・ゲームではなく、万人がそこから利益を引き出すことができる。問題は貧困諸国が、グローバリゼーションという機会の拡大をうまく利用するのに必要な知識や技術をもっておらず、制度が整っていないために、投資も呼び込めず、それを活かせずにいることだ。必要なのは、途上諸国側が投資を呼び込めるような制度を確立し、教育を充実させ、一方で先進諸国がこれまでのダブルスタンダードを改めることだ。先進国は自分達が圧倒的優位にある部門については自由貿易を主張し、一方で、貧しい国からの農産物輸入の関税引き下げをためらってきた。富裕国が今後知的所有権を盾に、このような態度をくずさなければ、発展途上国はグローバル経済に関わっていく気力をなくしてしまい、世界の平和と繁栄も脅かされかねない。

ネットワーク経済における新貿易政策
──知的所有権、電子商取引、電子通信産業の将来

2001年4月号

シャリーン・バーシェフスキ 前アメリカ通商代表部代表

関税、輸入割当などの貿易障壁の引き下げがアジェンダとされた時代は遠のき、いまや、貿易政策の目的は、自由競争に基づく、開放的で規制の行きとどいたインフォメーション・エコノミーを保障することにある。電子商取引はまだ新しい形態で、これを規定している自由貿易合意は、世界を見渡してもアメリカ・ヨルダン自由貿易協定だけだし、一九九八年のサイバースペースの免税合意を別にすれば、WTOもこの領域においてほとんど無力である。今後、WTOの基本理念である非差別主義、内国民待遇、最恵国待遇を、貿易に加えて電子商取引にも適用してゆくべきである。一連のハイテク関連合意やアメリカの「ネットワーク化世界」構想は、今後の方向性をすでに描き出しており、この道筋をたどっていけば、非常に洗練度の高い、自由競争に基づく革新的なインフォメーシ
ョン・エコノミーへとたどり着けるだろう。

資本主義の精神と文化

2001年4月号

ロバート・サミュエルソン/ニューズウィーク誌コラムニスト

アジアにおける親密な個人関係と血縁を基盤とする社会関係は、この地域の経済発展に一役買った。この二つの要素が相まって、欧米の法と独立した司法がはぐくんできたのとまったく同質の、商取引に必要とされる安心感と信頼が作り出された。戦後のアジア諸国はこうした家族支配の企業へ依存することによって、アジア諸国は「商法の整備を待たずに、経済成長を加速できた」。問題なのはアジアが急成長しすぎたため、こうしたシステムでは間に合わなくなっていることだ。

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