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トランプの保護主義路線に中国が報復すれば
―― 勝者なき重商主義と貿易戦争

エドアルド・カンパネッラ ウニクレディト銀行ユーロ圏エコノミスト

Will China Trump Trump? ―― Antagonizing Beijing for Short-Term Gains

Edoardo Campanella ウニクレディト銀行ユーロ圏エコノミスト。フィナンシャル・タイムズとマッキンゼーが表彰するブラッケン・バウアー賞の最終選考作品の著者。

2017年2月号掲載論文

「中国を為替操作国のリストに入れ、世界貿易機関(WTO)に提訴し、中国製品の輸入関税を引き上げる」とトランプはこれまで何度も繰り返してきた。彼は中国からの輸入を抑えることで公正な競争基盤を取り戻せば、アメリカ国内の製造業は復活すると主張しているが、それは妄想にすぎない。アメリカの製造業雇用はかつてなく減少しているが、一方で工業生産量が歴史的な高水準に達していることの意味合いを考える必要がある。アメリカのブルーカラー雇用の減少は、生産性を高めるテクノロジーの進歩によるものだ。しかも大統領の貿易上の権限は150日間にわたって上限15%の関税を課すことだけで、それ以上を望むのなら、議会の承認を得なければならない。しかも、議会の同意を確保しても、彼のやり方はWTOルールに抵触するだろう。結局、アメリカの労働者階級の雇用の改善はほとんど見込めないばかりか、世界経済に取り返しのつかないダメージを与える恐れがある。

  • 高関税策という妄想
  • 貿易戦争?
  • 中国の報復策

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